国土交通省発表、2025年度建設投資75.6兆円見通し 民間が4.5%増で牽引

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Category:建築
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国土交通省は、2025年度の建設投資総額が75兆5,700億円に達する見通しを発表しました。これは2024年度と比較して3.2%の増加となり、建設業界にとって明るい展望を示しています。

この建設投資額は、日本国内における全ての建設活動を出来高ベースで推計したもので、国の経済活動において重要な指標として位置づけられています。政府の経済政策や民間企業の設備投資動向を反映した数値として、多方面から注目を集めています。

政府投資と民間投資の内訳

政府による建設投資は25兆2,100億円となる見込みで、全体に占める割合は33%となります。前年度比では0.7%の増加と、比較的安定した推移を示しています。

政府投資の中でも、公共事業関連が14兆3,900億円で前年度比0.7%増となっており、インフラ整備や社会資本の維持更新に向けた継続的な取り組みが見て取れます。

民間投資の拡大

民間による建設投資は50兆3,600億円と予測され、全体の67%を占めています。前年度比4.5%増という力強い成長を見せており、民間セクターの旺盛な建設需要が建設市場全体を牽引している状況です。

民間投資の詳細分析

民間住宅建築投資は16兆3,600億円となる見通しで、前年度比1.2%の増加を見込んでいます。構成比率は全体の22%を占めており、住宅市場の安定した需要が継続していることを示しています。

近年の住宅市場は、新築需要に加えて既存住宅の改修やリフォーム需要も堅調に推移しており、多様化する住宅ニーズに対応した投資が行われています。

非住宅建設の好調な伸び

特に注目すべきは、民間非住宅建設投資の大幅な増加です。20兆9,500億円という規模で、前年度比8.7%増という高い伸び率を記録する見込みです。

この分野には、オフィスビルや商業施設、工場などの建設が含まれており、企業の設備投資意欲の高まりや事業拡大の動きが反映されています。構成比率は28%となり、建設投資全体の重要な柱となっています。

建築補修工事の拡大

民間建築補修工事、すなわち改装・改修投資は13兆500億円となる予測で、前年度比2.5%の増加を見込んでいます。

既存建物の価値向上や機能改善を目的とした工事需要が拡大しており、新築だけでなく既存ストックの有効活用に向けた投資が活発化していることがわかります。

建設投資の推移と今後の展望

過去数年間の推移を見ると、建設投資は着実な成長を続けてきました。2021年度から2025年度にかけて、総投資額は65兆円台から75兆円台へと約10兆円の増加を記録しています。

特に民間投資の伸びが顕著で、企業の積極的な設備投資や不動産開発が建設市場の拡大に大きく寄与しています。一方、政府投資は安定的な水準を維持しており、社会インフラの整備と維持に継続的に取り組んでいる状況です。

経済政策との連動性

この建設投資見通しは、政府の「令和7年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」や「令和7年度内閣府年央試算」などの経済指標と整合性を持って算定されています。

国の経済成長戦略や財政政策との整合を図りながら、建設業界の持続的な発展を目指す姿勢が明確に表れています。

建設業界が迎える成長の局面

2025年度の建設投資見通しは、日本の建設業界にとって力強い成長を予測する内容となりました。特に民間投資の拡大は、企業活動の活発化や経済の好循環を示唆しており、関連業界にとって明るい材料となっています。

今後も政府投資による社会インフラの整備と民間投資による経済活動の活性化が両輪となって、建設業界の発展を支えていくことが期待されます。

出典情報

国土交通省リリース,令和7年度(2025年度) 建設投資見通し 概要,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001907483.pdf