「京橋三丁目東地区市街地再開発」とは|事業概要とKK線再生もわかりやすく解説

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「京橋三丁目東地区市街地再開発」は、東京高速道路(KK線)の再生計画に伴い、新たに高層ビルを建設する計画です。本記事では、京橋三丁目東地区市街地再開発の事業概要と再開発のポイント、環境・防災への取り組みについて解説します。
「京橋三丁目東地区市街地再開発」とは|事業概要
ここからは、「京橋三丁目東地区市街地再開発」の事業概要について、ディベロッパーである東京建物株式会社の資料などからわかりやすくご紹介します。

所在地

「京橋三丁目東地区市街地再開発」の所在地は、東京都中央区京橋三丁目地内です。京橋周辺はKK線の日本橋区間地下化と合わせて、高速道路が歩行者専用の公共空間に再整備される区間です。京橋エリアは「骨董通り」(区道440号線)と呼ばれ、ギャラリーやアンティークショップが軒を連ねるエリアでもあります。
これまで、東京メトロ銀座線京橋駅周辺には滞留空間が少ないこと、歩車道の分離が不十分で安全性に問題があるなどの課題がありました。そこで、地下歩行者ネットワークの整備と、アート・ものづくりのまちとしてのにぎわい創出を目的に本プロジェクトが計画されています。
構造・規模

「京橋三丁目東地区市街地再開発」の建物の構造は、こちらです。
建物 | 構造 |
---|---|
京橋三丁目東地区 | 鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄筋コンクリート造 地下4階、地上35階、高さ約180m |
建物の主な用途は、オフィス、ホテル、店舗、住宅、地域貢献施設などです。高層部には国際水準の宿泊施設、低層部にはアート・ものづくり文化発展のための「(仮称)京橋アートセンター」が整備されます。建物の2階部分で、KK線の高架が再整備された歩行者公共空間「Tokyo Sky Corridor」(トウキョウ スカイ コリドー)と接続される計画です。
面積
「京橋三丁目東地区市街地再開発」の主な面積は、こちらです。
- 敷地面積:約6820㎡
- 建築面積:約5710㎡
- 延床面積:約 164,900 ㎡
着工日・竣工予定日
着工日や竣工予定日は、こちらです。
- 解体工事:2024年~2025年
- 着工日:2026年
- 竣工日:2030年(予定)
ゼネコン|鹿島建設
「京橋三丁目東地区市街地再開発」の特定業務代行者は、鹿島建設です。実施設計は、日本建設と鹿島建設の共同企業体(JV)が担当します。
京橋三丁目東地区市街地再開発のポイント
ここからは、京橋三丁目東地区市街地再開発のポイントとなる3つの注目点についてご紹介します。
地上:KK線を歩行者通路として整備

「京橋三丁目東地区市街地再開発」の地上部分は、関連する基盤整備として、東京高速道路(KK線)の歩行者通路化が進められます。KK線の上部空間は、歩行者中心の緑あふれる公共的空間として再整備され、新たな歩行者ネットワーク「Tokyo Sky Corridor」として生まれ変わります。
京橋三丁目東地区市街地再開発で建設される高層ビルの2階部分が、「Tokyo Sky Corridor」とつながり、これまで京橋エリアで滞留空間が不足していた人々を誘導する計画です。
地下:新京橋連絡路、地下歩行者ネットワークの整備

https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/toshiseibi/pdf_bunyabetsu_kotsu_butsuryu_pdf_kk_gaiyou,参照日2025.9.10
「京橋三丁目東地区市街地再開発」の地下部分では、新京橋連絡路の整備が進められます。新京橋連絡路は、首都高速道路の八重洲線からC1築地川を結ぶ区間で、新たな都心環状ルートとして整備されます。新京橋連絡路整備後は、箱崎JCTからの最大渋滞長が約半分に抑えられる見込みです。

https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/tokyoken/tokyotoshisaisei/dai23/siryou1.pdf,参照日2025.9.10
地下歩行者ネットワークの整備としては、建設される高層ビルと京橋駅が接続されます。さらに京橋駅から東京スクエアガーデン、八重橋二丁目中地区、京橋エドグランといった主要な施設への地下歩行者ネットワークが整備され、周辺を回遊できるようになります。
(仮称)京橋アートセンターによる周辺エリアのにぎわい創出

https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/tokyoken/tokyotoshisaisei/dai23/siryou1.pdf,参照日2025.9.10
「京橋三丁目東地区市街地再開発」と「Tokyo Sky Corridor」が接続された低層階部分には、「(仮称)京橋アートセンター」が整備されます。「(仮称)京橋アートセンター」は約600㎡の規模となる交流施設で、アート・ものづくり文化の発展のため、若手アーティストの発信・育成・交流を促進します。
高層階には、京橋エリアのにぎわい創出のために、国際水準の宿泊施設が整備されます。京橋駅・銀座駅の周辺は外国人観光客が多いものの、これまでは国際水準の宿泊施設が世界都市と比較して少ないという課題がありました。そこで、「京橋三丁目東地区市街地再開発」では約17,000㎡の宿泊施設が整備される計画です。
「京橋三丁目東地区市街地再開発」の防災・環境への取り組み
「京橋三丁目東地区市街地再開発」では、京橋エリアの都市機能と防災対応強化に向けた取り組みが盛り込まれています。ここからは、本事業の防災と環境への取り組みについてご紹介します。
帰宅困難者の一時滞在施設としての整備の充実

https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/tokyoken/tokyotoshisaisei/dai23/siryou1.pdf,参照日2025.9.10
「京橋三丁目東地区市街地再開発」では、防災対応力強化の取り組みとして、一時滞在施設の整備と、自立・分散型エネルギーシステムの導入が行われます。一時滞在施設は、低層階の屋内広場、地下広場、オフィスロビーに約900人が一時滞在できる空間を確保します。さらに、地域住民と帰宅困難者双方のため、約150㎡の防災備蓄倉庫を整備します。
災害時のエネルギーは、CGSと72時間対応の非常用発電機によって確保します。計画では、災害時も非常用発電機によって平常時の50%となる電力が確保できるとされています。
ZEBの4段階目「ZEB Oriented」の達成を目指す

「京橋三丁目東地区市街地再開発」では、環境負荷低減に向けた取り組みとして、「ZEB Oriented」の達成を目指します。「ZEB Oriented」とは、建物のエネルギー消費量の収支ゼロを目指す「ZEB」(Net Zero Energy Building ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の4つの取り組みのうち、もっとも取り組みやすい目標となる4段階目の項目です。
「ZEB Oriented」は、延べ面積10,000㎡以上の非住宅で、未評価技術を導入し、30~40%以上の省エネ達成を目指すものです。「京橋三丁目東地区市街地再開発」では、熱負荷低減のための高性能ガラスの採用や、太陽光発電設備設置による再生可能エネルギーの利用などを通して、建物の省エネルギー化に取り組みます。
まとめ
京橋三丁目東地区市街地再開発は、KK線の再整備と並行して行われ、地上・地下ともに周辺環境の大幅な改善が期待されています。にぎわいの創出だけでなく、環境負荷低減や災害時の防災対応なども充実する予定です。京橋エリアの拠点としての活躍に注目していきましょう。