【2025年版】Autodesk Navisworksとは?Manage/Simulate/Freedomの違い・価格・無料版の使い方を徹底解説

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Category:コラム建築

著者:上野 海

建設や土木のBIM業務で「複数の設計データをまとめて確認したい」「施工前に干渉をチェックしたい」という場合に役立つのが、Autodeskが提供するNavisworks(ナビスワークス)です。

しかし、NavisworksにはManage/Simulate/Freedomの3種類があり、料金や機能の違いが分かりにくいという声も少なくありません。

そこでこの記事では、Navisworksの基本と役割、3種類の違い(価格・機能・用途)、実際にできること(干渉チェック・4Dシミュレーションなど)をわかりやすく解説します。

Autodesk Navisworksとは?

AutodeskのNavisworksは、建築・土木・設備などの3Dモデルをひとつにまとめ、施工計画や干渉検証を行えるBIMソフトです。

設計段階から施工・維持管理までを効率化するBIM/CIMの流れのなかで、次の範囲を担当します。

  • 統合:AutoCADやRevit、IFCなど異なる形式のデータをまとめる
  • 検証:干渉チェックで衝突を事前に確認
  • 説明:4Dシミュレーションやアニメーションで分かりやすく伝える
  • 共有:NWDファイルを軽量化して配布、無料ビューアで閲覧可能

現場の手戻りを減らし、クラウド共有で最新の統合データを届ける便利な管理ソフトです。ほかのAutodesk製品(Revit・Civil3Dなど)と組み合わせて利用するのが一般的です。

Navisworksの種類と違い【価格・機能・用途を比較】

NavisworksにはManage/Simulate/Freedomの3種類があります。

項目ManageSimulateFreedom
主目的干渉検証+4D/5D4D/アニメ・統合閲覧・レビュー
干渉チェックありなしなし
工程シミュレーションありあり再生のみ
編集/集計ありあり不可
配布形式NWD/DWF/他NWD/DWF/他NWD/DWF閲覧
価格目安月額56,100円
年間445,500円
月額22,000円
年間180,400円
無料
主な対象病院/プラント/大規模設備一般建築/土木/社内教育発注者/現場/協力会社

出典:Autodesk「Navisworks公式ページ」

以下より、それぞれの違いをわかりやすく解説します。

Navisworks Manage

Navisworks Manageは「全部入り」の最上位版です。SimulateやFreedomには搭載されていない、干渉チェック(Clash Detective)を利用できます。

特に現場では、「施工が始まってから配管同士がぶつかる」といったトラブルが大きな損失につながります。Manageを導入すれば、設計段階で衝突を洗い出して修正できることから、工期短縮やコスト削減が可能となります。

Navisworks Simulate

Navisworks Simulateは「施工シミュレーションに特化」したスタンダード版です。Manageのように干渉チェックはできませんが、それ以外の統合やシミュレーション機能はほぼ揃っています。

また、TimeLinerという機能で工程表と3Dモデルを組み合わせれば、「この日にここを造る」「重機はここを通る」といった施工計画・工程の流れを可視化できます。安全確認や合意形成を重視するBIM業務におすすめです。

Navisworks Freedom

Navisworks Freedomは「無料で使えるビューア」です。

作成や編集はできませんが、データの閲覧やレビューには活用できます。BIMデータの閲覧だけに対応できればいいという場合に最適です。

無料でありながら、関係者全員に配布して同じモデルを共有できます。

(出典:Autodesk「無償のNavisworksビューア」

Navisworksでできること(機能一覧)

Navisworksは「設計データを集める」「衝突を確認する」「工程を見える化する」「わかりやすく伝える」までを、一貫して行えるソフトです。ここでは代表的な機能を紹介します。

設計・施工データの統合

Navisworksでは、異なるソフトでつくられた次のような拡張子データをひとつにまとめられます。

  • DWG(AutoCAD)
  • IFC
  • FBX
  • NWD
  • NWC など

たとえば、建築はRevitのデータ、外構はCivil 3Dのデータというように、別ソフトのデータをレイヤーに分けて1画面に統合可能です。またAutodesk製品以外のソフトから出力したデータも読み込めるため、ひとつの3DモデルとしてBIMモデルを確認したい場合に役立ちます。

干渉チェック(Clash Detective)

Manage版限定の機能ですが、ソフト内で配管・鉄筋・設備の衝突を自動検出できます。

設計段階で干渉を洗い出すことができ、工事着工後に発生しやすい干渉による手戻りを抑えられる便利な機能です。干渉の問題は多くの現場で発生するため、干渉の検証が必要な案件(病院・プラント・再開発など)では、Navisworks Manageが役立ちます。

4Dシミュレーション(TimeLiner)

Navisworksでは、工程表(スケジュール)と3Dモデルを組み合わせることで、施工の流れを「時間軸」で再現できます。

たとえば、ある工事で「夜間規制中の重機配置」をシミュレーションして、どのような配置になるのかを可視化することで、発注者や住民への説明時に、安全性や遅延リスクなどを共有できます。

関係者の合意形成がスムーズにしたい場合や、プレゼンの作成に役立ちます。

アニメーション・レビュー機能

Navisworksでは、BIM特有の3D画面を活用し、カメラの動きや作業シーンをアニメーション化できます。以下に活用場面を整理しました。

  • クレーンや重機の動きをアニメーション化することで安全確認に役立つ
  • 作業員の動線や現況地形を3D化することで、危険箇所を洗い出せる

また作成したアニメーションは、クラウド共有で関係者にレビューしてもらうことも可能です。

Navisworksを無料で使う方法

「Navisworksは便利そうだけど、価格が高い…」と感じる方は、以下に示す無料で使う方法を試してみるのがおすすめです。

  • 完全無料:Navisworks Freedomを利用する
  • 期間限定で無料:30日間の無料体験版を使う
    (Manageの全機能を使える)
  • 学生限定で無料:学生・教育機関向けライセンスを使う

また、Navisworks以外にもAutodesk製品を複数導入する場合には、AECコレクションという複合パッケージを契約するのがおすすめです。

単体で複数ソフトを契約すると年間数百万円かかりますが、AECコレクションならAutodesk製品をまとめて、年間数十万程度(2025年時点は年間578,600円)で利用できます。

(参考:Autodesk「Autodesk Architecture, Engineering & Construction Collection」

Navisworksのインストール方法

出典:Autodesk「Navisworks: 3D モデルのレビュー、コーディネーション、干渉チェック」

NavisworksはAutodesk公式サイトの販売ページもしくは、代理店経由でインストールが可能です。参考として以下に、公式サイトからの導入手順を整理しました。

  1. Autodesk公式サイトにアクセスする
  2. 契約プランを選んで「カートに追加」をクリックする
  3. 支払い手続きを済ませてインストーラーをダウンロードする
  4. PC上でNavisworksをインストールする

導入は一般的なECサイトと同じであり、簡単です。ただし、NavisworksといったBIMソフトは1つ当たりの容量やスペックが大きいため、事前に現在のPCスペックで対応できるかを確認しましょう。

Autodesk Navisworks 製品の動作環境」をチェックすれば、各バージョンごとの最低スペック・推奨スペックがわかります。

Navisworksの活用例

Navisworksは「データを統合して干渉を減らし、施工手順を見える化する」ため、建設・土木・設備の幅広い現場で導入されています。ここでは代表的な活用パターンを紹介します。

分野事例効果
建築大規模病院で建築・設備・電気のデータを統合配管・配線の衝突を事前発見し、施工後の手戻りを防止
土木橋梁工事でTimeLinerを使い施工スケジュールを3D化工期遅延リスクを事前把握、資機材配置を最適化
プラント・設備化学プラント改修で配管・ダクト・鉄骨を統合モデル化数百件の干渉を施工前に洗い出し、事故リスク・追加工事費を削減
発注者・自治体再開発事業でアニメーションを住民説明会に活用完成イメージや工事ステップを直感的に理解してもらい、反対意見を減少

このようにNavisworksは「設計士・関係者の調整」から「住民・発注者との合意形成」まで、幅広い場面で役立つソフトです。導入の目的を整理すれば、自社に最適なプランが見えてきます。

AutodeskのNavisworksについてよくある質問【FAQ】

Autodesk Navisworksとは何ですか?

NavisworksはAutodeskが提供するプロジェクトレビューソフトで、建築・土木・設備の3Dデータを統合し、干渉チェックや施工シミュレーションを行えるのが特徴です。設計者や施工者だけでなく、発注者や自治体も含めて「同じモデルを共有」できる点が強みで、合意形成やトラブル防止に役立ちます。

Navisworksの料金はいくらですか?

Navisworks Manageは年額445,500円、Simulateは年額180,400円が目安です(2025年時点、地域差あり)。また、契約は月額・年額・3年契約が選べ、長期契約ほど割安になります。Freedomは無料で利用でき、商用でも閲覧用途に限れば追加費用なし。まずは体験版や無料版で試すのがおすすめです。

Navisworks Freedomは商用利用できる?

商用利用も可能です。ただし機能は「閲覧とレビュー」に限られ、干渉チェックやシミュレーションはできません。実務では、設計者がManageやSimulateで作成したデータを、発注者や協力会社がFreedomで確認する使い方が一般的です。

Navisworksのファイル形式は?

Navisworks独自形式のNWD・NWF・NWCのほか、DWG(AutoCAD)、IFC、FBX、3DSなど多くの形式に対応しています。異なるソフトのデータを統合できるのが最大の強みです。また、FreedomはNWD・3D DWFのみ対応ですが、閲覧専用には十分対応できます。

まとめ

Navisworksは、建築・土木・設備などの現場で「データを統合して確認し、干渉を防ぎ、工程を見える化する」ための強力なソフトです。

まずはNavisworks Freedomや30日間の体験版で使いやすさや機能を試してみて、必要に応じて有償版に移行するのがおすすめです。