首都高都心環状線 日本橋区間地下化とは|地下ルートや大成建設の工事区間をわかりやすく解説

目次
トレンドワード:首都高都心環状線 日本橋区間地下化
今回は、「首都高都心環状線 日本橋区間地下化」プロジェクトについてピックアップします。本事業は、日本橋周辺の区域において、これまで高架であった高速道路を地下化することで、渋滞緩和や周辺環境の改善を目指す計画です。
この記事では、首都高都心環状線 日本橋区間地下化の事業概要と建設工法、工事の流れについて、わかりやすく解説します。
「首都高都心環状線 日本橋区間地下化」とは|事業概要
ここでは、首都高都心環状線 日本橋区間地下化の事業概要について、首都高速道路株式会社の資料などをもとにご紹介します。
工事開始日・完了予定日
「首都高都心環状線 日本橋区間地下化」の工事開始日や完了予定日は、こちらをご参照ください。
- 準備工事開始:2020年
- 本工事開始:2025年4月
- 地下ルート完成(予定):2035年
- 撤去工事完了(予定):2040年
対象区間
https://www.shutoko.jp/ss/nihonbashi-tikaka/gallery/nihonbashi_pamphlet_2nd.pdf,参照日2025.8.25
「首都高都心環状線 日本橋区間地下化」の対象区間は、神田橋JCTから江戸橋JCTまでの、約1.8kmの区間です。この約1.8kmの区間をさらに3つのエリアに分け、それぞれ同時に工事を進めます。
常盤橋地区トンネル工事区間
対象区間西部の「常盤橋地区トンネル工事区間」は、八重洲線の約0.3kmにわたるエリアです。日本橋の真下になるため、川の流れを止めない工法によるトンネル工事が行われます。
シールドトンネル工事区間
対象区間中央部となる「シールドトンネル工事区間」は、銀座線の約1.1kmにわたるエリアです。地下鉄や地下埋設物が多い区域のため、モグラのようにトンネルを掘り進めるシールドマシンを使い、精密なコントロールで進められます。
6号向島線接続地区高架橋工事区間
対象区間東部の「6号向島線接続地区高架橋工事区間」は、江戸橋JCT付近の約0.4kmにわたるエリアです。この区域は本工事で唯一の高架となるため、う回路を設置して通行止めを行わないなど、交通規制を最小限にとどめるための施工方法が計画されています。
ゼネコン|大成建設ほか
「首都高都心環状線 日本橋区間地下化」は、3つのエリアごとに担当するゼネコンが決定しています。
- 常盤橋地区トンネル工事:共同企業体(大成建設、川田工業の2社)
- シールドトンネル工事:大成建設
- 6号向島線接続地区高架橋工事:共同企業体(JFE、エム・エム・ブリッジ、鹿島建設、東亜建設の4社)
3つの工事エリアの建設工法と工事の流れ
ここからは、「首都高都心環状線 日本橋区間地下化」の3つの区間ごとの課題と、課題解決のために採用された工法についてご紹介します。
ポイントとなるのは、日本橋エリアの歴史・交通・川の3つの流れを「止めないための施工方法」です。
常盤橋地区トンネル工事区間
https://www.shutoko.jp/ss/nihonbashi-tikaka/gallery/nihonbashi_pamphlet_2nd.pdf,参照日2025.8.25
常盤橋地区トンネル工事区間は、共同企業体(大成建設、川田工業の2社)の担当区域です。この区間には、国指定史跡の常盤城門跡や、常盤橋など、重要な文化財が多く残っています。さらに、日本橋川が工事区間の真上を通っている区間では、トンネル工事の際に治水への配慮が必要です。
このような文化財や川の流れを守りながらトンネル工事を進めるために、地上ではなく地中から掘り進める「非開削工法」でのトンネル工事が計画されています。
https://www.shutoko.jp/ss/nihonbashi-tikaka/construction/01/,参照日2025.8.25
日本橋川直下の区域では、川底に鋼鉄の床「鉄樋(てっぴ)」を敷設して、川の流れを止めずに工事を進めます。文化財の多いエリアのトンネル掘削は、地上部にある構造物を保護するために、既設八重洲線トンネルから行われます。
シールドトンネル工事区間
https://www.shutoko.jp/ss/nihonbashi-tikaka/construction/02/,参照日2025.8.25
シールドトンネル工事区間は、大成建設の担当区間です。銀座周辺の区間で、地下鉄や地下埋設物が多く存在しています。この区間は直径12.7mのトンネル工事が予定され、地下を掘削するシールドマシンによって慎重に進められる計画です。
本工事は都心エリアのため、通常のシールドトンネル工事で必要な工事ヤードが確保できません。そこで、工事ヤードを最小限に収めるため、2階建て構造の工事ヤードが構築される予定です。さらに、防音対策としてトンネル内と地上付近にかけて「防音ハウス」が設置されます。
6号向島線接続地区高架橋工事区間
https://www.shutoko.jp/ss/nihonbashi-tikaka/construction/03/,参照日2025.8.25
6号向島線接続地区高架橋工事区間は、共同企業体(JFE、エム・エム・ブリッジ、鹿島建設、東亜建設の4社)の担当区間です。このエリアは、1日に10万台以上の交通量があるもっとも重要なエリアです。
この区間の交通機能を止めることなく工事を進めるために、高架によるう回路を構築し、段階的な交通の切り替えが行われます。地下ルート完成後は、高架がすべて撤去される予定です。
「首都高都心環状線 日本橋区間地下化」完了後のイメージ
「首都高都心環状線 日本橋区間地下化」完成後は、日本橋エリアの交通渋滞緩和や景観の向上が期待されています。ここからは、工事完了後にどのような効果が得られるのか、3つのポイントを見ていきましょう。
道路幅が増し、走行性が向上
https://www.shutoko.jp/ss/nihonbashi-tikaka/overview/#c06,参照日2025.8.25
「首都高都心環状線 日本橋区間地下化」の地下ルートは、地下化によって走行性が大幅に向上することが期待されています。
地下ルート完成後は、道路幅がこれまでの7.5mよりも1m広い8.5mとなります。これにより、空間的な余裕が増すことで、走行性が向上します。さらに、路肩が0.5mから1.25mに増えることで、車両が緊急停止している場合も通行することができるようになります。
首都高都心環状線の渋滞緩和
https://www.shutoko.jp/ss/shinkyobashi-renketsuro/,参照日2025.8.25
「首都高都心環状線 日本橋区間地下化」完了後は、首都高都心環状線の渋滞緩和が見込まれています。
首都高都心環状線では、箱崎JCTから最大3.0kmの渋滞が発生していることが課題でした。地下ルート完成後は、「C1 都心環状線連結路」が廃止され、新たに地下トンネル「新京橋連絡路」が整備されます。
新京橋連絡路は、「C1 高速都心環状線(築地川区間)」と、「高速八重洲線」をつなぐ路線です。この整備により、都心環状線へ進む場合は八重洲線からのルートを利用することになるため、江戸橋ジャンクションの渋滞が緩和される予定です。
70年ぶりに青空がよみがえる
https://www.shutoko.jp/ss/nihonbashi-tikaka/overview/,参照日2025.8.25
「首都高都心環状線 日本橋区間地下化」によって高速道路の高架の多くが地下に埋設されるため、周辺の景観が向上します。
これまで高架に隠れて見えづらくなっていた日本橋が青空のもとによみがえり、まちの姿が新たに生まれ変わります。日本橋の上空から高架がない状態になるのは、約70年ぶりのことです。
まとめ
「首都高都心環状線 日本橋区間地下化」は、これまで高架であった高速道路を地下に埋設することによって、老朽化や渋滞、景観向上などの課題解決を目指すプロジェクトです。
地下ルートの完成は2035年、撤去工事の完了は2040年を予定しています。日本橋周辺の利便性と景観がどのように改善されていくのか、変化に注目していきましょう。