全国建設業協会がICT施工・BIM/CIMの現状について全国規模でのアンケート調査を実施|深堀り取材【毎月15日・月末更新】

全国建設業協会(全建)では、2025年7月1日付けで、「令和7(2025)年度 生産性向上の取組に関するアンケート」の調査結果を公表した。

アンケート調査は2025年4〜5月にかけて実施され、全国から1,958社が回答している。建設業において収益の可否に直結する現場でのICT施工が地方の中小組織にまで広がる中で、BIM/CIMの活用が進んでいない現況が明らかとなった。本稿では、それら公表された調査内容を二回に分けて概説し、今後のデジタル援用の進展に向けた参考としてほしい。

全建は、1948年に設立された我が国の建設業界を代表する一般社団法人。全国47都道府県の建設業協会が結集して構成されており、各種資料を総合すると、約18,000社の建設企業を傘下に収め、会員企業の97.1%が資本金1億円以下の中小企業となっている。活動の主な目的は、建設業の経済的、社会的、技術的な向上を図り、業界の健全な発展を促進することとしている。

企業属性

ICT施工の取組については57%が「取り組んでいる」と回答するなど普及が進む現況も判明

調査内容は、主に「ICT施工の取組状況について」「BIM?CIMの活用状況」に大別されている。第一回目は、前段の「ICT施工の取組状況について」概説する。
 「生産性向上のために取り組んだことは?(複数回答可)」では、前年度と概ね同様の傾向を示しており、「施工管理アプリの活用」「電子黒板の活用」「ICT施工」が5割を超え、「ドローンの活用」「電子契約サービスの活用」「経理システムの活用」、「ASP情報共有システムの活用」が4割前後を占め、「特に行っていない」は7.9%に減少したのが目をひいている。

生産性向上のための取組

 57%が「ICT施工に取り組んでいる」としており、それらの内で約8割がICT活用工事の受注実績があったとしている。前年度と比べると、ICT活用工事を受注していないが自主的にICT施工に取り組んでいる企業が増加している。

 加えて、ICT活用工事の受注実績がある企業の内、6割以上が発注者指定型工事、7割以上が施工者希望型工事を受注している。前年度に比べて「発注者指定型を受注」が増加し、「施工者希望型を受注」が減少している。

ICT施工の内製化に一定程度の成果が上がるため直近または数年前からICT施工を推進

ICT施工に取り組んでいる企業の内、ICT建機の調達方法について見てみると「自社によるレンタル・リース対応」が54.1%、「自社所有機械」が38.9%、「協力業者の所有機械」が38.9%、「協力業者によるレンタル・リース対応」が35.9%となっている。

自社所有機械においては、「測量機器(TS・TLS等)」が最も多く、次に「ICTバックホウ」「3次元設計ソフトウェア」となっている。また、自社レンタル・リース対応においては「ICTバックホウ」が最も多かった。
 「自社所有機械」と回答した企業の現況。自社所有した理由を見てみると、「ICT施工の内製化を図るため」が最も多く、次いで「工事成績や総合評価での加点」「他社との差別化」の順となった。取得時期としては「今年~約3年前」が最も多かった。このことからICT施工の内製化に一定程度の成果が上がるため、直近または数年前からICT施工を推進していることがわかる。

自社所有した理由

今後の取組については「積極的に取り組む」40.3%+「準備を進めたい」37.1%と前向き

  ICT施工に対する今後の取組についても聞いている。それによると、「積極的に取り組む」が40.3%、「状況によっては取り組みたい(準備を進めたい)」が37.1%となっており、ICT施工への関心の高さがうかがえる。

 「積極的に取り組む」「状況によっては取り組みたい(準備を進めたい)」と回答した企業においては、「ICT施工が生産性向上の主流となるため」「今後必要な技術であるため」「効率化が見込めるため」と、極めて前向きで積極的に取り組む姿勢が垣間見られた。

「積極的に取り組む」「状況によっては取り組みたい」を選択した理由

 反面で、「取り組みたいが課題により取り組めない」「取り組み予定なし」と回答した企業の内実を見てみると、「コストに見合った利益が回収できるか疑問」「メリットがない」との回答の割合が多く、その他の回答としては、「規模や業種の関係から取り組み可能な工事がない」「人材不足のため」といった内容が主であり、「従業員の高齢化によって対応できる技術者が育たない」という意見もあった。

ICT施工の導入補助金は「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」が多数

ICT施工の導入に際して「利用している」または「利用予定の補助金や助成金等はあるか」については、「利用予定なし」が最も多く、次いで「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」が多かった。全建が執行団体となっている「建設市場整備推進事業費補助金」については3.3%に留まっている。そのことから、次の図にもあるように、利用できる補助金についてはより積極的に情報収集に努め、利用促進すべきである。

ICT施工導入に係る補助金や助成金の利用

次への展開を見越して、ICT施工に関するニーズやICT施工の拡大にはどのようなことが必要なのかについても聞いている。それによると、ICT施工の拡大に必要なこととしては、「受注者側の人材育成・体制整備」「ICT建機の価格(リース料)・機能面の充実を含めた体制の充実」が5割を超え、次いで「官積算への適切な反映」「助成制度の拡充」「工事成績への適切な加点措置」が4割を超えるなど多くの企業が課題点を明確に捉えている。

ICT施工の拡大に必要なこと

多くの意見が寄せられて興味深いものがあるICT施工における施工効率への課題や要望

ICT施工全般について感じている課題や要望についても意見を取りまとめている。特に、ICT施工における施工効率についての回答には興味深いものがある。以下、原文のまま。

  • ICT機器を用いた出来形計測を実施した場合、従来の出来形取りまとめ作業を不要とするなどの簡素化措置が導入されれば普及が一層進むと思う。
  • 出来形計測が3次元データ等に移行することを想定し、適切な運用のためにも発注者側の人材育成・教育の充実をあわせてお願いする。
  • ICT施工は工期短縮、施工管理で非常に助かる。しかしながら、データー入力する技術者やソフト、機器、機械に経費がかかりすぎる。
  • 受注した工事の電子データに精度の悪いものが含まれていると、設計照査、起工測量後の設計変更に多くの時間や労力を要することとなり効率化が進まないことがある。発注前に現地の確認や設計図書の精査を確実にしていただきたい。
  • ICT施工を行っているが、確認のために従来通りの計測で二重管理を求められるので業務効率化にならない。
  • ICTのための現場における事前準備が手間で、効率化のためのICTの妨げになっている。
  • ICT、BIM/CIMに対応している設計データを提供してほしい。設計データの提供がなくデータ作成を施工業者が行うことそのものが間違っていると思う。
  • 設計データの作成に時間と技術を要するのが課題と思う。ICT施工が生かせる工事の割合が増えてほしい。ICT施工用の3次元データを工事発注時に受け取れるようにしてほしい。
  • 地方自治体においてはICT施工に対する認識が低く、3次元設計データを受注者が作成するにも必要な断面図が足りなかったりするため、設計データ作成についての負担が大きい。 ◇ICT施工時の出来形管理方法、検査方法について発注者が全く理解しておらず、ICT施工であるのに巻き尺を用いて検査を行っている。