国土交通省発表 法人不動産取引が4.4%増加、非住宅分野では20%超の大幅上昇

国土交通省が7月31日に発表した最新の法人取引量指数によると、令和7年4月の法人取引量指数(合計・季節調整値)が前月比4.4%上昇したことが分かりました。この指数は、登記データを基に法人が取得した住宅および非住宅の移転登記量を分析したものです。

全国の取引動向

4月の法人取引量指数(季節調整値)は277.6となり、3月の266.0から大幅に改善しました。この数値は平成22年(2010年)の平均を100とした基準で算出されています。

住宅分野に限定して見ると、戸建住宅とマンションを合わせた住宅全体(季節調整値)は前月比0.7%減の287.7でした。一方で、非住宅分野では前月比20.2%という大幅な増加を示し、265.9を記録しています。

住宅種別ごとの詳細分析

戸建住宅の季節調整値は336.3となり、前月の336.4からわずか0.02%の減少にとどまりました。この微細な変動は、市場の安定性を示すものと考えられます。

マンション市場の状況

マンション(区分所有)の季節調整値は245.1で、前月の248.5から1.4%減少しました。マンション市場では、床面積30平方メートル未満の物件を除いた場合の数値も併せて公表されており、これは既存住宅販売量指数との比較を可能にするための措置です。

地域別の取引状況

主要都市圏では以下のような結果となりました。

・南関東圏:前月比12.1%増の280.9

・名古屋圏:前月比14.3%増の291.2

・京阪神圏:前月比1.1%増の276.2

特に南関東圏と名古屋圏では二桁台の成長率を記録し、法人による不動産取得が活発化していることを示しています。

主要都府県の詳細データ

都府県別では、東京都が特に顕著な伸びを見せました。

・東京都:前月比32.2%増の310.2

・愛知県:前月比20.0%増の292.8

・大阪府:前月比3.1%増の276.2

東京都の急激な上昇は、首都圏における法人の不動産投資意欲の高まりを反映していると分析されています。

非住宅分野の大幅成長

今回の発表で最も注目すべきは、非住宅分野の大幅な成長です。前月比20.2%増という数値は、オフィスビルや商業施設、工場などの取得が活発化していることを示しています。

この背景には、経済活動の回復とともに、企業の設備投資や事業拡大への意欲が高まっていることが考えられます。また、働き方の変化に対応したオフィス環境の整備や、物流施設への需要増加なども影響していると推測されます。

季節調整と原系列の違い

同指数では、季節性を除去した季節調整値と、調整前の原系列値の両方が公表されています。4月の原系列値は261.4となっており、季節調整値の277.6と比較すると、春季における通常の市場動向を考慮した調整が行われていることが分かります。

今後の市場見通し

法人による不動産取得の増加傾向は、日本経済の回復基調を反映している可能性があります。特に非住宅分野での大幅な伸びは、企業の事業展開や投資活動が活発化していることを示唆しています。

ただし、住宅分野では微減傾向も見られるため、今後の動向を注意深く観察する必要があります。金利環境の変化や不動産価格の動向、さらには企業の投資戦略の変化などが、今後の指数に影響を与える要因として挙げられます。

国土交通省では、この指数を毎月発表することで、不動産市場の動向を継続的に監視し、政策立案の参考資料として活用していく方針です。法人による不動産取引は、経済全体の活力を測る重要な指標の一つとして、引き続き注目が集まっています。

出典情報

国土交通省リリース,法人取引量指数 令和7年4月分を公表(試験運用)~全国において、前月比 4.4%上昇~,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001903342.pdf