国土交通省発表、6月建築着工床面積が3カ月連続減少で前年同月比16%の大幅ダウン

令和7年6月の建築物着工床面積が740万平方メートルとなり、前年同月と比較して16.0%の大幅な減少となったことが明らかになりました。これで3カ月連続の減少となり、建設業界の低迷が続いています。

公共・民間ともに着工面積が大幅減少

建築主別で見ると、公共建築物の着工面積は27万平方メートルで前年同月比24.2%減となり、5カ月連続の減少を記録しました。一方、民間建築物についても713万平方メートルで同15.7%減となり、3カ月連続の減少となっています。

民間居住用建築物の状況

民間の居住用建築物は443万平方メートルで、前年同月比17.6%の大幅な減少となりました。これも3カ月連続の減少で、住宅需要の低迷が顕著に表れています。

非居住用建築物は5カ月ぶりの減少

民間の非居住用建築物は270万平方メートルとなり、前年同月比12.4%減で5カ月ぶりの減少となりました。用途別に詳しく見ると以下のような状況です。

■増加した用途

・製造業用: 70万平方メートル(7.8%増)

・情報通信業用: 2万平方メートル(236.7%増)

・卸売業・小売業用: 39万平方メートル(9.3%増)

・金融業・保険業用: 2万平方メートル(34.1%増)

■減少した用途

・鉱業・採石業・砂利採取業・建設業用: 5万平方メートル(41.2%減)

・不動産業用: 6万平方メートル(34.6%減)

・宿泊業・飲食サービス業用: 16万平方メートル(21.8%減)

・医療・福祉用: 22万平方メートル(26.3%減)

・その他のサービス業用: 15万平方メートル(50.9%減)

主要建物用途の動向

建物の使途別に見ると、以下のような傾向が見られました。

■事務所建築

事務所は29万平方メートルで前年同月比5.4%減となり、8カ月連続の減少が続いています。テレワークの普及や働き方の変化が影響していると考えられます。

■店舗建築

店舗は33万平方メートルで前年同月比11.8%増となり、2カ月連続の増加を記録しました。消費活動の回復傾向が反映された結果と言えるでしょう。

■工場・倉庫建築

・工場: 54万平方メートル(6.8%減)で、前月の増加から再び減少

・倉庫: 88万平方メートル(17.3%減)で、こちらも前月の増加から再び減少

物流施設への需要は高いものの、月ごとの変動が大きい状況が続いています。

新設住宅着工戸数も大幅減少

新設住宅の着工戸数は55,956戸となり、前年同月比15.6%の大幅な減少となりました。利用関係別に見ると以下の通りです。

■利用関係別の状況

・持家: 16,030戸(16.4%減)

・貸家: 24,289戸(14.0%減)

・給与住宅: 562戸(10.2%増)

・分譲住宅: 15,075戸(17.9%減)

給与住宅を除く全ての分野で減少が見られ、住宅市場全体の厳しい状況が浮き彫りとなっています。

地域別の動向

地域別に見ると、関東地方が24,290戸で最も多い着工戸数を記録したものの、前年同月比12.4%減となりました。中部地方は6,697戸で6.4%減、近畿地方は9,381戸で13.5%減となり、主要都市圏での減少が目立っています。

工事費予定額は微減にとどまる

全建築物の工事費予定額は2兆2,285億円となり、前年同月比6.7%減となりました。床面積の減少幅(16.0%減)と比較すると減少幅が小さく、建築単価の上昇が継続していることがうかがえます。

■資金別の状況

・民間資金住宅: 50,496戸(18.0%減)

・公的資金住宅: 5,460戸(15.4%増)

民間資金による住宅建設の減少が顕著である一方、公的資金住宅は増加しており、一定の政策効果がうかがえます。

建設統計まとめ 市場縮小で転換点に

令和7年6月の建築着工統計は、床面積・戸数ともに大幅な減少となり、建設業界の厳しい状況が続いていることが明確になりました。特に民間建築物の減少が顕著で、経済情勢の不透明感や金利動向などが影響していると考えられます。

一方で、製造業用建築物や店舗の増加など、一部の分野では回復の兆しも見られており、今後の動向に注目が集まります。建設業界にとっては、市場の変化に対応した戦略の見直しが求められる状況が続いています。

出典情報

国土交通省リリース,建築着工統計調査報告(令和 7 年 6 月分)について,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kencha706.pdf