日本橋本町1丁目3番計画(日本橋本町三井ビルディング &forest)とは|国内初適用となる木造耐火技術も解説

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今回は、「(仮称)日本橋本町1丁目3番計画」、正式名称「日本橋本町三井ビルディング &forest」についてピックアップします。

日本橋本町1丁目3番計画は、「日本橋に森をつくる」をコンセプトにした、国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビルです。本記事では、日本橋本町1丁目3番計画の事業概要のほか、竹中工務店が開発した耐火・木造技術についてもわかりやすく解説します。

「日本橋本町1丁目3番計画」とは|事業概要

出典:三井不動産株式会社,国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル着工「日本橋に森をつくる」 “終わらない森”創りを通じた持続可能な社会の実現に貢献,
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2024/0111_01/,参照日2025.8.18

ここからは、「日本橋本町1丁目3番計画」の事業概要についてご紹介します。施工担当である竹中工務店の資料等から、ポイントをわかりやすく解説します。

所在地

出典:三井不動産株式会社,国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル着工
「日本橋に森をつくる」 “終わらない森”創りを通じた持続可能な社会の実現に貢献,
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2024/0111_01/,参照日2025.8.18

「日本橋本町1丁目3番計画」の所在地は、東京都中央区日本橋本町一丁目3番地です。計画地は、昭和通りに面した土地で、JR 新日本橋駅から徒歩5分、東京メトロ 三越前駅から徒歩3分の立地です。

日本橋本町のエリアは、江戸時代に城下町として栄えた場所であり、現在では多くの大手企業の本社が立ち並んでいます。「日本橋本町1丁目3番計画」では、リモートワークが浸透する現代でも「行きたくなるオフィス」として、木ならではのやすらぎを感じられるオフィスの実現を目指します。

構造・規模

「日本橋本町1丁目3番計画」の構造は、木造・鉄骨造のハイブリッド木造です。建物の規模は、地上18階建て・地下1階建て、高さ84mとなります。

竣工予定は2027年とされていますが、すでにオフィスビルとしての営業が始まっており、2~4階には即入居可のフロアも用意されています。

面積

主な面積は、下記をご参照ください。

  • 敷地面積 約 2,500㎡ 
  • 延床面積 約 28,000㎡ 
  • オフィス基準階(専有面積) 約1,180㎡ (約357坪)

着工日・竣工日

着工日と竣工日は、下記を予定しています。

  • 着工日:2024年1月
  • 竣工日:2027年1月(予定)

ゼネコン|竹中工務店

日本橋本町1丁目3番計画の設計・施工は、竹中工務店が担当しています。本プロジェクトは2024年1月に着工し、27年1月の竣工に向けて順調に進んでいます。

「日本橋本町1丁目3番計画」のポイント

ここからは、「日本橋本町一丁目3番計画」で初となる取り組みや、本プロジェクトのポイントをご紹介します。

①国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル

出典:三井不動産株式会社,国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル着工
「日本橋に森をつくる」 “終わらない森”創りを通じた持続可能な社会の実現に貢献,
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2024/0111_01/,参照日2025.8.18

「東京都中央区日本橋本町一丁目3番計画」は、国内最大・最高層、地上18階建ての木造賃貸オフィスビルです。ここ数年、東京駅周辺では木造高層ビルの建設が相次いでいますが、本プロジェクトはその中でももっとも高い建築物となります。

本プロジェクトで使用される木材は1,100㎡ 超となり、国内最大級の使用量になるほか、一般的な鉄骨造のオフィスビルと比較すると、建築時に約30%のCO2排出量削減効果が想定されています。

②「終わらない森創り」に向けた国産材の活用

出典:三井不動産株式会社,国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル着工「日本橋に森をつくる」 “終わらない森”創りを通じた持続可能な社会の実現に貢献,
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2024/0111_01/,参照日2025.8.18

日本は戦後の造林事業により、国土の7割ほどが豊かな森林となりました。現在では、フィンランドに次いで世界第二位の森林大国です。その森林のうち、50年以上経過している人工林の割合は6割を超え、伐採の時期を迎えています。

こうした日本の森林の現状から、三井不動産グループは保有林の木材の大規模な活用を進めています。「東京都中央区日本橋本町一丁目3番計画」では北海道赤井川村の保有林を中心に、植える、育てる、使うのサイクルを循環させて、「終わらない森創り」をコンセプトにした持続可能な森林経営にも取り組んでいます。

③環境配慮型オフィスビルとしての取り組み

出典:三井不動産株式会社,国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル着工
「日本橋に森をつくる」 “終わらない森”創りを通じた持続可能な社会の実現に貢献, フィルム型ペロブスカイト太陽電池(イメージ)提供:東芝エネルギーシステムズ株式会社https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2024/0111_01/,参照日2025.8.18

「日本橋本町一丁目3番計画」は、最先端の技術を取り入れた環境配慮型オフィスビルとしての取り組みも盛んです。最先端技術の実証実験としては、「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」の実装とシステム構築に取り組みます。

フィルム型ペロブスカイト太陽電池は、手で曲げられるほど薄くて軽いフィルム型の太陽電池で、軽量で柔軟性があることから、従来では施工が難しかった場所への設置と活用が期待されています。

ほかにも、廃材を利用したベンチや、ECMコンクリート(セメントの一部をスラグ粉末に置き換え、CO2排出量を6割削減可能なコンクリート)など、建築廃材のアップサイクルにも積極的に取り組んでいます。

「東京都中央区日本橋本町一丁目3番地」で導入された国内初適用の耐火・木造技術

ここからは、竹中工務店が「日本橋本町一丁目3番地」のプロジェクトで導入した、国内初となる木造建築の最新技術についてご紹介します。

鉄骨造と同等の耐火性能が実証された耐火集成材「燃エンウッド」

出典:三井不動産株式会社,国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル着工「日本橋に森をつくる」 “終わらない森”創りを通じた持続可能な社会の実現に貢献,
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2024/0111_01/,参照日2025.8.18

「東京都中央区日本橋本町一丁目3番地」はハイブリッド木造建築として、最下部は鉄骨造、中部から上部は耐火集成材「燃エンウッド」を採用した構造となっています。

出典:竹中工務店,耐火集成材「燃エンウッド®」の豊富なバリエーション,
https://www.takenaka.co.jp/solution/environment/moenwood/,参照日2025.8.18

耐火集成材「燃エンウッド」とは、竹中工務店が開発した新素材です。表面は木材、内部は難燃性の素材でつくられていて、荷重支持部を火災から守る構造になっています。外側から、炭化して熱を通しにくくする「燃え代層」、せっこう・モルタルによる「燃えどまり層」、中心部の「荷重支持部」となる3層構造で、国土交通大臣による耐火構造の認定を受けています。

出典:竹中工務店,耐火集成木材「燃エンウッド®」(3時間耐火)を開発,
https://www.takenaka.co.jp/news/2022/11/02/,参照日2025.8.18

「燃エンウッド」には柱や梁など多くのバリエーションがあり、さらに「燃え止まり層」の厚さごとに「1時間耐火仕様」「2時間耐火仕様」「3時間耐火仕様」のシリーズが用意されています。

出典:竹中工務店,耐火集成木材「燃エンウッド®」(3時間耐火)を開発,
https://www.takenaka.co.jp/news/2022/11/02/,参照日2025.8.18

このうち、「3時間耐火仕様 燃エンウッド」は耐火試験で性能が確認され、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の耐火部材と同等の性能があることが実証されました。この高い耐火性能が確認できたことから、国内初適用として「東京都中央区日本橋本町一丁目3番地」の構造部材に採用されています。

耐火構造部材「KiPLUS TAIKA for CFT」と「KiPLUS TAIKA for BEAM」

出典:三井不動産株式会社,国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル着工
「日本橋に森をつくる」 “終わらない森”創りを通じた持続可能な社会の実現に貢献,
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2024/0111_01/,参照日2025.8.8

「東京都中央区日本橋本町一丁目3番地」では、主要な構造部材を木材で構成するため、竹中工務店が新たに開発した耐火・木造技術が使われています。

出典:竹中工務店,日本初、木材を用いたCFT柱・鉄骨梁の耐火被覆技術「KiPLUS® TAIKA」で2時間耐火の認定取得,
https://www.takenaka.co.jp/news/2023/10/03/,参照日2025.8.18

「KiPLUS TAIKA for CFT」は、CFT柱(鋼管コンクリート柱)の周囲をアングルや鉄板で覆い、その外側にスギやヒノキなどの木材を貼りつけた耐火構造部材です。木材と鉄骨の間の空気層により、断熱性能が向上する構成となっています。

出典:竹中工務店,日本初、木材を用いたCFT柱・鉄骨梁の耐火被覆技術「KiPLUS® TAIKA」で2時間耐火の認定取得,
https://www.takenaka.co.jp/news/2023/10/03/,参照日2025.8.18

「KiPLUS TAIKA for BEAM」は、鉄骨梁の外側をせっこうボードで覆い、さらに外側に木材を貼りつけた耐火構造部材です。木とせっこうボードで覆われているため、梁に配管用の穴を開けることもできます。

「東京都中央区日本橋本町一丁目3番地」は、こうした最新の木造建築技術を活用したことが評価され、国土交通省が推進する「令和5年度 優良木造建築物等整備推進事業」に採択されました。

「CLT」と波形鋼板耐震壁による耐震壁・制振壁

出典:竹中工務店,CLTを活用した大規模・高層建物に適用可能な耐震壁技術「KiPLUS WAVY」を開発,
https://www.takenaka.co.jp/news/2024/11/01/,参照日2025.8.18

「東京都中央区日本橋本町一丁目3番地」では、CLTと波形鋼板耐震壁を組み合わせた耐震壁と制振壁を採用しています。「CLT」とは、ひき板を重ねた面材で、各層を直交で重ねていることから、「直交集成板」とも呼ばれます。

CLTは多層に圧着されていて厚みがあるため、構造部材としてコンクリートを上回る高い強度と安全性が確認されています。このCLTと高い耐震性能を誇る波形鋼板耐震壁を組み合わせ、木造による快適性の高い空間と、安全性の両立を実現しています。

まとめ

「東京都中央区日本橋本町1丁目3番計画」には、日本の森を守るための国産材の活用や、最先端の環境配慮型オフィスビルとしての実証実験など、未来に向けての取り組みが多数盛り込まれています。国内最大の賃貸オフィスビルが今後どのように周りの環境に影響を与えていくのか、注目していきましょう。