【2025年版】今注目の建築デザインとは?トレンドや事例など最新の知見を紹介

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近年、脱炭素や働き方改革の浸透により、建築デザインに求められる要件は急速に高度化しています。しかし「デザイン投資=余計なコスト」というイメージが先行し、価値を数値で示す方法が分からない担当者も多いのが現状です。

環境性能とブランド発信を両立しつつ、ユーザー体験を最大化する建物とはどのような姿なのでしょうか。本記事では2025年現在の最新トレンド6選と国内注目事例を取り上げつつ、実務担当者がすぐに使える選定ポイントまでを解説します。

ビジネスにおける建築デザインとは

建物は単なる箱ではなく、顧客体験や従業員生産性、企業ブランドを左右するビジネス資産です。ここでは建築デザインを経営視点で捉えるポイントに加え、意匠と機能の役割についても見ていきます。

建築デザインがビジネス成果に与える影響

たとえば商業施設では、魅力的なファサード(正面から見た建物外観)や回遊性の高い動線計画が来客数と購買額を押し上げ、企業ブランドを強化します。また、企業本社の建築デザインは文化とビジョンを体現する象徴となり、社員の帰属意識を醸成する役割です。

実際に、あるショッピングモールではデザイン刷新後に年間売上が7%増加し、顧客の平均滞在時間が30分延びた事例があります。そのため、デザイン投資は「早期回収につながる」と評価されつつあります。

意匠設計と機能設計の違い

建物の印象を左右する「意匠設計」、安全・快適性を担う「機能設計」は役割が分かれつつも、両者の連携があってこそ投資効果を最大化できます。

視点意匠設計機能設計
目的美観・ブランド安全・快適
主業務形状・素材・色彩提案構造計算・設備計画
関与段階基本設計実施設計

両段階をPDCAサイクルで連携させれば、デザイン性と性能を高い次元で両立し、投資対効果を最大化できるでしょう。

今トレンドの建築デザイン6選

建築デザインの潮流は環境意識とテクノロジーの進化により目まぐるしく変化しています。ここでは、2025年時点で注目度が高い6つのトレンドと、各特徴や導入メリットを見ていきましょう。

サステナブル建築・木造高層化

住友林業のW350計画は高さ350m・70階を想定し、部材の90%以上を木材で構成しています。鉄骨と木を組み合わせたハイブリッド構法により、耐震・耐火性能を確保しながらCO₂固定と林業振興の両立を図る計画です。木材は製造エネルギーが少なく、完成後も湿度を調整して快適性を高める点が高く評価されています。

バイオフィリック(自然調和型)デザイン

緑や水、自然光を積極的に取り込むバイオフィリックデザインは、来訪者の滞在時間を延ばし、従業員の幸福度を15%高めたとの研究があります。国内では屋上農園や吹き抜け中庭を備えたオフィスなど、都市の硬質な環境下でも四季を感じられるような工夫がされつつある状況です。空間の癒やし効果が、ブランド差別化や採用力向上の観点で注目されています。

環境適応ファサード

“Climate‑Adaptive Building Shell”とも呼ばれる環境適応ファサードは、外気温や日射量に応じて羽板や膜材が自動開閉し、冷暖房負荷を最大30%削減する仕組みです。関西国際空港の改修案などで実証が進み、ユーザーが操作を意識せずに快適な室内環境を得られる点が高く評価されています。

AI・スマート技術による空間制御

センサーとAIを組み合わせ、照明・空調・セキュリティをリアルタイムで最適化するスマートビルが標準化しつつある状況です。

米国最大の建築設計事務所であるGenslerは、利用者の行動データを基に空間を再構成する「ハックアブルスペース」により、設備稼働コストを20%削減できると提唱しています。働き方の多様化に伴い、可変性と省エネを両立する仕組みが求められるでしょう。

ジャパンディスタイル

北欧のミニマリズムと和の侘び寂びを融合したジャパンディは、無垢材や漆喰、真鍮金物など自然素材を生かしながら視覚的ノイズを削減します。住宅やホテルでの採用が拡大し、海外観光客からも高く評価されています。温かみと清潔感を両立できるため、今後も長期的な資産価値を重視する施主に選ばれる傾向が強まるでしょう。

共生デザインの建築

年齢や文化、能力の差を超えて誰もが直感的に利用できる共生デザインは、ユニバーサルデザインをさらに深化させた考え方です。多言語・触覚サイン、段差ゼロ動線、ジェンダーニュートラルトイレなどを標準装備し、公共施設から商業ビルまで導入が拡大しています。企業のCSR評価や自治体の認証取得にも直結するため、今後必須の視点となるでしょう。

注目の国内事例

国内でも建築デザインの革新が加速しています。ここでは万博会場で話題を集める2つの事例から、サステナブル構造がビジネスや地域に与える影響を見ていきましょう

万博シンボル「大屋根リング」

延長約2kmの円環が来場者を包み込む大屋根リングは、面積6万㎡超で「世界最大の木造建築」として2025年にギネス認定されました。国産スギ・ヒノキを主体に伝統的な貫工法と最新構造解析を掛け合わせ、CO₂固定と林業振興を両立しています。

閉幕後は約200〜600mを保存し、残材を循環利用する方針も議論されているため、レガシーとしての可能性が期待できます。

Cartier Women’s Pavilion(大阪万博 2025)

Womenʼs Pavilionは、ドバイ万博日本館の格子構造を再活用した動的ファサードが特徴です。日本の組子文様を想起させるスチール骨組みにPTFE膜を合わせ、光と風を透過させながら軽量化を実現しました。

内部では映像作家・河瀨直美らが手掛ける没入型展示が展開されています。終了後は構造を解体・再利用し、植栽も大阪近郊に移植される計画です。

建築デザインに強い外注先の選定方法

外部にデザイン業務を委託したいものの、どの手段が自社に合うのか分からないという声は少なくありません。ここではさまざまな業者の中から、最適な外注先を選定するコツを紹介します。

一括見積・マッチングサイトを利用する

比較ビズなどの一括見積サイトでは、案件内容・地域・予算を入力するだけで複数の設計事務所から提案が届きます。選択肢を横並びで比較できるため、価格と提案力のバランスを短時間で見極められます。掲載順位や手数料体系を確認し、過去事例と資格者の有無を必ずチェックするとミスマッチを防げるでしょう。

建築特化クラウドソーシングで探す

スタジオアンビルトなどの専門クラウドでは、建築家や構造・設備技術者が用途別に登録されており、図面作成やCGパースだけの依頼も可能です。オンラインで契約から納品まで完結するため、スピードとコストを抑えたい小規模案件に最適です。評価とポートフォリオを確認し、著作権や修正回数の取り決めを事前に交わすと安心できます。

まとめ

建築デザインの潮流を理解したうえで、適切なパートナーと連携すれば、環境対応と企業価値向上を同時に実現できます。本記事では最新トレンドと国内事例、外注先の選び方について解説しました。

まずは自社の課題を棚卸しし、選定した候補業者に相談してみましょう。最適なデザインパートナーとの出会いがプロジェクト成功への第一歩につながります。