国土交通省・防衛省が人材確保で協定締結、建設業界の担い手不足解決へ新たな一歩

建設業界における人材不足は、日本の社会インフラを支える重要な課題となっています。この問題に対処するため、国土交通省は防衛省と連携し、退職自衛官の建設業界への再就職を促進するため、申合せに基づいた取り組みを進めています。
5月23日に締結された「建設業及び建設関連業並びに自衛隊における人材確保の取組に関する申合せ」は、両省庁と業界団体7団体が申合せを締結しました。
昨年12月の基本方針から始まった連携強化
この取り組みの背景には、昨年12月に関係閣僚会議で決定された基本方針があります。国土交通省はこの方針に基づき、防衛省や各業界団体との間で合計11の申合せを締結してきました。建設業・建設関連業分野での申合せは、その重要な一環として位置づけられています。
人材確保という共通の課題に対して、防衛省と業界団体等との連携を強化することで、より効果的な解決策を見出そうとする姿勢が示されています。
退職自衛官の専門性を活かした即戦力化
退職自衛官の多くは、職業訓練を通じて建設業界で求められる各種資格を取得しています。特に電気工事士などの専門資格を持つ方々は、建設現場において即座に力を発揮できる貴重な人材です。
自衛隊での厳格な訓練と規律ある組織運営の経験は、建設業界が重視する安全管理や品質管理の面でも有利です。また、チームワークを重視する建設現場の特性とも合致しており、スムーズな職場適応が期待されます。
業種説明会と広報活動の充実化
申合せに基づいた具体的な取り組みとして、退職予定自衛官向けの業種説明会が実施されます。この説明会では、建設業界の現状や将来性、必要な資格、キャリアパスなどについて詳しく説明が行われる予定です。
さらに、広報活動の充実化も重要な要素となっています。退職を控えた自衛官に対して、建設業界での活躍の可能性を広く周知し、新たなキャリア選択の選択肢として認識してもらうことが目標です。
防衛省と業界団体の連携強化
この取り組みの成功には、防衛省と業界団体7団体との緊密な連携が不可欠です。それぞれの組織が持つネットワークや情報を活用し、連携を通じて再就職を後押ししていきます。
業界団体側では、退職自衛官の受け入れ体制を整備し、適切な職場環境を提供することで、長期的な雇用関係の構築を目指しています。
今後の展開と期待される効果
この申合せが締結されてから約1か月が経過し、再就職支援の取組が進められています。退職自衛官の建設業界への再就職促進は、単なる人材確保を超えて、両業界の発展に寄与する重要な施策として位置づけられています。
建設業界にとっては経験豊富な人材の確保が実現し、退職自衛官にとっては新たなキャリアの可能性が広がることで、双方にメリットのある関係が築かれることが期待されます。
今後も継続的な取り組みを通じて、より多くの退職自衛官が建設業界で活躍できる環境整備が進められていく予定です。
出典情報
国土交通省リリース,中野大臣会見要旨 建設業等の担い手確保に向けた防衛省・自衛隊との連携について,https://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin250620.html#gm4