国土交通省の建設統計、5月は設備工事好調も総額は微減 公共・民間で明暗分かれる

国土交通省が令和7年7月10日に発表した建設工事受注動態統計調査によると、同年5月の建設工事全体の受注総額は8兆8,884億円となり、前年同月に比べて1.9%減少しました。減少は2か月連続で、主に下請け工事の受注が減ったことが要因と見られます。

目次
元請は堅調、下請は大幅減少
受注形態別に見ると、元請工事の受注額は5兆8,930億円で、前年同月比8.9%増となり、8か月連続での増加を記録しました。一方、下請工事の受注額は2兆9,953億円で、17.9%の大幅減少となりました。
業種別では以下のような傾向が見られました。
・総合工事業:5兆1,190億円(前年同月比0.2%減)
・職別工事業:1兆1,360億円(同28.3%減)
・設備工事業:2兆6,333億円(同12.3%増)
総合工事業が15か月ぶりに減少へ転じた一方、設備工事業は9か月連続の増加を示しました。
公共と民間の発注動向
元請工事のうち、公共機関からの発注額は1兆3,551億円で、前年同月より4.7%増えました。6か月連続の増加です。民間などからの発注額も4兆5,380億円に達し、こちらは前年同月比で10.2%増、8か月連続で増加しています。
工事の内容別では以下のような動きがありました。
・土木工事:1兆3,333億円(前年同月比1.0%減)
・建築工事:3兆6,274億円(同4.8%増)
・機械装置等工事:9,323億円(同54.2%増)
特に機械装置等工事は、前月の減少から一転して大きく伸びています。
公共機関からの受注は3か月連続で増加
5月に公共機関から発注された工事(1件あたり500万円以上)は、全体で1兆2,508億円となり、前年同月比で2.1%増加しました。
発注元の内訳は次の通りです。
■国の機関:3,728億円(前年同月比13.5%減)
・政府機関:1,934億円(7.7%減)
・独立行政法人:421億円(115.4%増)
・政府関係企業:1,373億円(32.0%減)
■地方公共団体など:8,780億円(10.5%増)
中でも、市区町村からの発注が多く、特に「教育・病院」関連で2,101億円、「道路工事」で1,059億円の受注がありました。
民間工事も全体的に増加傾向
5月の民間発注による建築工事・建築設備工事(1件あたり5億円以上)は、1兆1,044億円で、前年同月比8.2%の増加となりました。
主な発注元は次の通りです。
・不動産業:3,497億円(同1.0%増)
・製造業:2,408億円(同7.0%減)
・サービス業:1,723億円(同54.8%増)
建築工事の内容別では、「住宅」が2,660億円、「工場・発電所」が1,990億円、「事務所」が1,786億円と続きました。
特に不動産業による「住宅」工事の発注が多く、2,127億円に達しています。
土木・機械装置関連も好調
民間発注による土木および機械装置関連の工事(1件あたり500万円以上)は、1兆688億円で、前年同月比36.2%増という大幅な伸びを記録しました。
主な受注内容は以下の通りです。
・機械装置等工事:6,411億円
・鉄道工事:1,228億円
・その他の土木工事:1,033億円
この分野では、製造業と電気・ガス・水道業からの発注が多く、特に「機械装置等工事」で大きな伸びが見られました。
今後の発表予定
今回の5月分に続き、6月分の統計は8月12日に公表される予定です。今後の動向を注視することで、建設業界全体の景気や投資動向をより深く理解する手がかりとなるでしょう。
出典情報
国土交通省リリース,建設工事受注動態統計調査報告(令和 7 年 5 月分)について,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001900225.pdf