大成建設の2025年度IRニュースから読み解く技術革新、無線給電・AI活用で建設業界を牽引

大成建設の技術革新とサステナビリティへの取り組みが加速しています。2025年度のIRニュースを通じて、同社の最新の動向と事業展開について詳しく見ていきましょう。
先進技術による建設業界の変革
大成建設は2025年7月18日、国内初となる画期的な技術開発を発表しました。最高時速60kmで高速走行中の電気自動車に対し、最大10kWの連続無線給電を実現したのです。この技術は、電気自動車の普及における最大の課題の一つであった航続距離の問題を解決する可能性を秘めています。
走行中の車両への無線給電技術は、従来の充電インフラの概念を大きく変える革新的な取り組みです。この技術により、電気自動車は走行しながら充電が可能となり、長距離移動における不安が大幅に軽減されることが期待されます。
AI技術の積極的な活用
同社は7月11日、国内初となる既存超高層複合施設へのAIを活用した「クラウド型CEMS(エネルギー管理システム)」の導入を発表しました。この技術は、建物全体のエネルギー管理を効率化し、大幅な省エネルギー効果をもたらします。
さらに、7月9日には生成AIを用いた医薬品の製造・品質管理基準検索システム「GMPナビゲーター」の開発も公表されました。これらの取り組みは、建設業界におけるデジタル変革の先駆けとなっています。
持続可能な社会の実現に向けた取り組み
大成建設は環境負荷の軽減に向けた技術開発にも力を注いでいます。6月5日には、公道走行可能なCO2排出量を51%削減する次世代バイオ燃料を国内の建設現場で初導入したことを発表しました。この燃料は、従来の軽油に代わる環境に優しい代替燃料として注目されています。
5月27日には、国内建設現場で軽油の代わりに新燃料「RD40」を初導入したと発表しました。これらの取り組みは、建設業界全体の脱炭素化に向けた重要な一歩となっています。
地域社会との連携強化
同社は地域社会との連携にも積極的に取り組んでいます。7月17日には、環境教育の一環として東京都あきる野市立一の谷小学校で出前授業を実施しました。また、6月には環境月間イベント「ヤマネの巣箱づくりボランティア」を実施し、環境保護活動を通じた社会貢献を行っています。
ロボット技術の実用化
7月7日には、国内最大規模となるロボットによるマンション向けポーターサービスが「三田ガーデンヒルズ」にて本格稼働を開始しました。この技術は、マンション管理の効率化と住民サービスの向上を同時に実現する画期的な取り組みです。
4月18日には、医療施設内における注射薬カートの自律搬送ロボット「PoBOT」の開発も発表されました。これらのロボット技術は、様々な分野での作業効率化と安全性向上に貢献しています。
安全性向上への取り組み
同社は建設現場の安全性向上にも注力しています。6月25日には、DX対応型次世代多機能保護具「スーパーSCヘルメット」を開発し、5月16日には自動緊急停止装置「ロボストップシステム」を開発しました。これらの技術は、建設現場での事故防止と作業員の安全確保に大きく貢献することが期待されます。
海外事業の拡大
大成建設は海外市場での事業拡大にも積極的に取り組んでいます。4月22日には米国ベンチャーキャピタルファンドへの出資を発表し、4月11日には米国テキサス州ダラス市における賃貸住宅開発プロジェクトへの参画を明らかにしました。
これらの取り組みは、同社の技術力と経営力を海外市場で展開し、グローバルな建設企業としての地位を確立することを目的としています。
今後の展望
大成建設の2025年度の取り組みは、技術革新、環境配慮、社会貢献という三つの軸で展開されています。無線給電技術やAI活用システムなどの先進技術開発は、建設業界の未来を切り開く重要な要素となっています。
同時に、環境負荷軽減に向けた新燃料の導入や省エネルギー技術の開発は、持続可能な社会の実現に向けた同社の強い意志を示しています。これらの多角的な取り組みにより、大成建設は建設業界のリーディングカンパニーとしての地位をさらに強固なものにしていくことでしょう。
出典情報
大成建設株式会社リリース,2025年度 IRニュース,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/