大成建設など4社が連携、三田ガーデンヒルズでマンション向けロボットポーターサービス本格稼働

東京都港区の分譲マンション「三田ガーデンヒルズ」で、ロボットを活用した荷物配送サービスが本格的に始まりました。このサービスは、三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスが共同開発した分譲マンション「三田ガーデンヒルズ」において、川崎重工業が開発した配送ロボットと、大成建設の統合管制プラットフォーム「RoboHUB」を活用したものです。
配送ロボットが走行する距離は合計で約6.6キロメートルに及び、マンション向けのロボット配送サービスとしては国内で最も規模の大きなものとなっています。
人手不足解決へ向けた新たな取り組み
このサービス導入の背景には、深刻な人手不足があります。三田ガーデンヒルズでは、配送業務だけでなく、警備や清掃業務にもロボットを導入することで、働く人の負担を軽くし、業務を効率化することを目指しています。
3月から試験的に始めたこのサービスは、配送利用経験者のうち、約50%以上が繰り返し使用しており、配送サービス全体の20%以上をロボットが担っているという結果が出ています。
FORRO PORTERの仕組み
「FORRO PORTER」は、屋内配送専用ロボット「FORRO」を使ったサービスです。住民が帰宅する際は、エントランスで荷物をロボットに預けることで、自分の部屋の前まで運んでもらえます。
外出時には、スマートフォンのアプリを使って部屋の前にロボットを呼び出し、荷物を預けてエントランスまで運搬してもらうことができます。
安全性とセキュリティ
ロボットの荷物室は扉付きで、利用者だけがアプリで解錠できる仕組みになっています。最大30キログラムまでの荷物を運ぶことができ、日常の買い物から旅行用のキャリーバッグまで対応しています。
マンション全体で4台のロボットが稼働しており、これまで人が行っていた荷物運搬業務の負担軽減に貢献しています。
三田ガーデンヒルズの特徴
三田ガーデンヒルズは、約25,000平方メートルの広大な敷地に建つ総戸数1,002戸の大規模マンションです。旧逓信省簡易保険局庁舎の跡地に建設され、中央の中庭を囲むように複数の住居棟が配置されています。
各建物は共用廊下でつながっており、各所にセキュリティゲートが設けられています。ガラスと曲線を多用したデザインが特徴的で、自然と調和した空間となっています。
複雑な構造への対応
このような移動距離が長く、複雑な構造を持つマンションでは、荷物運搬作業の負担が大きな課題でした。ロボット「FORRO」は、このような複雑な空間でも目的地までの最適なルートを自動で選択し、走行することができます。
大成建設が開発したロボット管制システム「RoboHUB」との連携により、エレベーターやオートドアと連動し、複数のセキュリティエリアを通過してスムーズに移動できる仕組みが整っています。
利用者の評価と今後の展望
試験導入から約3か月間のデータを見ると、リピート利用率は50%を超えており、利用者の満足度の高さがうかがえます。また、配送サービス全体の20%以上をロボットが担うまでになっており、実用性の高さも証明されています。
将来への取り組み
三田ガーデンヒルズでは、今後も様々な先進技術を活用していく予定です。住民にとって快適な住環境を提供するとともに、働く人の業務負担を軽減し、労働環境の改善を通じて人手不足の解消と働きがいのある環境づくりの両立を目指していきます。
このような取り組みが、日本の住宅業界における新しい標準となることが期待されています。ロボット技術の発展により、より便利で効率的な住環境が実現される日も近いかもしれません。
出典情報
大成建設株式会社リリース,国内最大規模※1 となる、ロボットによるマンション向けポーターサービス「三田ガーデンヒルズ」にて本格稼働開始~大規模かつセキュリティ性の高い住空間における、荷物配送業務の人的負荷軽減に寄与~,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/assets_cms/pdf/10563.pdf