大成建設、国内初の電動小型杭打機を導入、CO2排出量36%削減を実現し脱炭素化推進

大成建設(社長:相川善郎)が、建設現場における脱炭素化の取り組みを一歩進めました。同社が手がける「東京経済大学国分寺キャンパス第2期整備事業建設工事」において、国内で初となる電動小型杭打機を使用した柱状地盤改良工事を実施したと発表されました。
目次
日本車輌製造とテノックスが共同開発した機種
今回使用された電動小型杭打機「DHJ-15E」は、日本車輌製造株式会社(代表取締役社長:田中守)と株式会社テノックス(代表取締役社長:若尾直)が共同で開発した最新機種です。
この新しい杭打機は、従来のエンジン式小型杭打機「DHJ15-5」と比べて施工能力は同等でありながら、環境への負荷を大幅に軽減することができます。具体的には以下のような性能を有しています。
・オーガ回転トルク:8.7~78.5kN・m
・オーガ回転数:9~58rpm(負荷により変動)
・オーガ押込/引抜力:92.1kN
・電動機定格出力:110kW
・給電方式:有線給電(三相440V)
環境負荷の大幅な削減を実現
テノックスが実施した試験施工の結果、従来の軽油を使用する機種と比較して、施工時の二酸化炭素排出量を約36%削減するという結果が得られています。具体的には、仕事量1kWhあたりのCO2排出量が、従来機の1,035g-CO2/kWhに対し、新機種では658g-CO2/kWhまで減少しています。
さらに、騒音レベルも3~8dB低減され、住宅密集地での施工においても近隣への影響を最小限に抑えることができるようになりました。
脱炭素社会実現への具体的な取り組み
大成建設は2023年から「ゼロカーボン・コンストラクション」という取り組みを開始しており、これは工事施工における二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを目指すものです。今回の電動小型杭打機の活用は、この取り組みの重要な一環として位置づけられています。
工事現場の変化
電動建設機械の導入により、以下のような変化が期待されています。
・排気ガスの完全排除によるクリーンな施工環境の実現
・低騒音施工の普及による近隣住民への配慮
・住宅密集地での施工可能性の向上
今後の展開と技術の発展
同社では、今回の電動小型杭打機の活用を皮切りに、さまざまな電動建設機械を用いた施工ノウハウの蓄積を進めていく方針です。これにより、建設業界全体の脱炭素化に向けた技術基盤の構築を目指しています。
また、電動建設機械の普及により、建設現場における作業環境の改善や、持続可能な建設手法の確立が期待されています。
技術的な特徴と利点
新しい電動システムは、輸送時や停電時に備えたバッテリーも搭載されており、現場での柔軟な運用が可能です。有線給電を基本としながらも、非常時にも対応できる設計となっています。
建設業界では、環境負荷の軽減と作業効率の向上が重要な課題となっており、今回の取り組みは両方の要求を満たす画期的な解決策として注目されています。
建設業界の脱炭素化に向けた重要な第一歩
この国内初の電動小型杭打機による施工は、建設業界における脱炭素化の実現に向けた重要な一歩となります。大成建設では、この成功事例を基盤として、さらなる電動建設機械の活用を推進し、持続可能な建設技術の発展に貢献していく予定です。
今後、このような環境に配慮した建設技術の普及により、建設現場の作業環境改善と環境負荷軽減の両立が期待されています。
出典情報
大成建設株式会社リリース,国内初、電動小型杭打機を用いて柱状地盤改良工事を実施-電動建設機械を活用し建設工事の脱炭素化を推進-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/250702_10559.html