ICTで施工現場を革新!3つの事例とプラットフォームを徹底比較

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現場ごとに異なる進捗管理や情報共有の遅れ、手作業による品質チェックの手間に悩んでいる企業は多いでしょう。しかし、課題を放置すると、コスト増や安全リスクの拡大を招きかねません。

本記事では、ドローン測量やスマートグラス、ICTバックホウなどの導入手順を解説します。具体的な事例とプラットフォーム比較を通して、効率化と安全性向上を実現するステップを見ていきましょう。

施工現場で今注目のICT活用ケーススタディ3選

ここでは、国内トップクラスの施工事例を通じてICTツールがもたらす具体的な効果を解説します。いずれの事例も生産性・安全性向上に顕著な効果を示しており、他現場への展開ポテンシャルが高いです。

事例1:清水建設(新東名高速 川西工事)

清水建設は、ドローンと3D点群技術を組み合わせ、VR会議を通じて現場進捗をリアルタイムに共有し、従来の写真報告や対面会議を劇的に改善しました。ドローンによる連続撮影データの3D点群化によって、現場状況を高精度に可視化し、生成した3DモデルをVR空間に取り込むものです。

遠隔地にいる複数の関係者が同時に現場確認を行い、出来高管理や仮設計の検討を効率化した結果、作業効率が8〜9割向上しました。定例会議をVR上で実施したことで会議時間を80%削減し、安全性の高い意思決定を可能にしました。

ドローン測量とVR会議を組み合わせた本事例は、物理的な移動を伴わない効率的な情報共有を実現しました。今後はさらなるデータ連携やAI解析を取り入れることにより、予測精度や自動化レベルの向上が期待できるため、他工程への応用も視野に入れるべきでしょう。

事例2:奥村組

現場映像をスマートグラスで遠隔共有し、発注者や監督官とリアルタイム連携を実現しました。立ち合い業務のデジタル化により、移動時間と待機時間を大幅に削減しました。

現場作業者がスマートグラスを装着し、目線映像をV-CUBEコラボでライブ配信します。音声認識によりコメントや指示をテキスト化して記録し、複数拠点での効率的な進捗確認を可能にしました。そのため安全性も向上し、現場監督の業務がさらに円滑化されました。

スマートグラスによる遠隔立ち合いは、移動コスト削減だけでなく、現場担当者と発注者の意思疎通を強化できています。次のステップとして、AIによる画像解析を組み合わせれば、リアルタイムで問題箇所を自動検出し、さらに迅速な対応が可能になるでしょう。

事例3:日本国土開発

ICTバックホウとGNSSを連動させた自動バケット制御により、高精度な土工と施工の自動化を実証しました。具体的には、ICTバックホウ「PC200i-10」にGNSS/RTKおよびVRS技術を組み込み、施工計画の3Dモデルと連動させるというものです。

掘削深度や勾配を自動制御して土工精度±70mmを実現し、熟練者の経験に依存しない均一品質を確保しました。作業工数を削減し、将来的な全自動化に向けた重要な成果を達成しました。

ICTバックホウの自動制御技術は、手動オペレーションに比べて品質のバラつきを大幅に低減します。今後はIoTセンサーからのリアルタイムデータを連携し、予測メンテナンスや自動リソース配分を取り入れることで、さらなる効率化とコスト削減が期待できます。

主要ICTプラットフォーム3社の導入メリット・価格比較

ここでは、国内建設現場における主要ICTプラットフォーム3社について、導入メリットと価格モデルを比較しました。各社の特徴を踏まえ、自社のニーズに合わせた最適な選択が可能となるポイントを解説します。

現場Plus(株式会社ダイテック)

現場Plusは写真・図面の共有、指摘管理、日報作成、チャット連携機能を搭載し、現場情報の一元管理を実現します。導入コストは1IDあたり167円/月(税抜)です。60IDプランを選択した場合は月額10,000円(税抜)となり、少人数から大規模案件まで柔軟に対応できます。

低価格帯の定額制モデルにより、導入後のランニングコストを抑制しつつ、業務効率化が可能です。

GaNett(NTTコミュニケーションズ)

GaNettはリアルタイム工程表の作成・共有、属性情報の付与、他アプリ連携機能を備え、工程管理の高度化を支援します。価格は要問い合わせとなるものの、NTTコミュニケーションズの営業担当を通じてカスタマイズ見積を取得可能です。

大手通信事業者のインフラを活用した安定したサービス提供と、複数システムとの連携による柔軟な運用を実現します。

Smart Construction Dashboard(株式会社小松製作所)

Smart Construction Dashboardは土工出来高・出来形管理自動化、Komtrax連携、点群・3Dデータ活用機能を提供し、重機管理と施工品質の可視化を強力に推進します。価格は代理店経由の見積が必要で、導入規模や機能要件に応じたカスタムプランを提案します。

Komtraxとの連携により、高度な分析とレポーティングを実現し、施工品質向上とコスト削減を同時に達成できます。

ICT導入を成功に導く社内体制のつくり方

ICT導入を成功に導くためには、単にツールを導入するだけでなく、経営層のコミットメントや専任組織の設置など、社内の体制づくりが大切です。ここでは社内体制構築のポイントを、経営層のコミットメント、推進組織の整備、小規模実証の3点に分けて解説します。

経営トップ自らがメッセージを発信する

ICT導入を最重要戦略と位置付け、トップ自らがビジョンを繰り返し社内に発信します。経営トップが定期的に全社向け説明会やメッセージ動画を通じてDXの必要性を共有し、現場や管理職に期待値を明確化しましょう。抵抗を低減し、全社員の参加意識の醸成が可能です。

ICT推進リーダーを選定する

ICT推進部署の中核となるリーダーを選出し、役割と権限を明確化してプロジェクトを牽引しましょう。現場経験者やIT知見を持つ人材からICT推進リーダーを任命し、部署横断チームを編成します。デジタルリテラシー研修から応用運用研修まで段階的に実施し、定期的なレビューで課題抽出と改善策を迅速に実行します。

小規模から段階的に導入していく

条件の良いモデル現場を選び、小規模実証を通じて運用フローと効果を検証していきます。1〜2拠点で既存業務フローとのギャップ分析を行い、短期間でPDCAサイクルを回してKPI(出来高、検査合格率、移動時間削減率など)をモニタリングしましょう。また、検証結果をマニュアル化し、全社展開のテンプレートとして標準化することを推奨します。

まとめ

自社の現場課題に最適なツール選定と社内体制構築を進めることで、持続的な改善とDX推進を加速できます。ドローン測量やスマートグラス、ICTバックホウなどの先進技術が生産性や安全性を飛躍的に向上させたといえるでしょう。

また、経営トップのリーダーシップや専任チームの体制整備、小規模実証現場による段階的導入が成功の鍵となる点も整理しました。まずは社内でのICT導入計画を立案し、小規模現場での実証から始めてみてはいかがでしょうか。