「麻布台ヒルズ」とは|麻布台周辺再開発まとめ一覧

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「麻布台ヒルズ」についてピックアップします。麻布台ヒルズは「緑に包まれ、人と人をつなぐ広場のような街」をコンセプトに、森ビルが理想とするコンパクトシティを実現した大規模複合施設です。本記事では、麻布台ヒルズの事業概要や、周辺の再開発状況についてわかりやすく解説します。
「麻布台ヒルズ」とは|事業概要

ここからは「麻布台ヒルズ」の事業概要について、森ビルの資料等を参考に解説します。
所在地

「麻布台ヒルズ」の所在地は、東京都港区虎ノ門5丁目、麻布台1丁目および六本木3丁目の各地内です。交通アクセスは、東京メトロ日比谷線「神谷町駅」5番出口直結、都営大江戸線「六本木駅」から徒歩10分となっています。麻布台ヒルズが位置するエリアは高低差の大きい地形で、開発前は小規模な住宅やビルが密集し、建物の老朽化が進んでいました。そのため、インフラ整備による都市機能の更新を目的として再開発計画が始まった経緯があります。
森ビルは港区を「虎ノ門ヒルズエリア・アークヒルズエリア・六本木ヒルズエリア」の3つのエリアに区分して、東京の新たな経済圏「国際新都心」とするプロジェクトを推進しています。麻布台ヒルズは、アークヒルズエリアの一部として港区の中央に位置しています。
構造・規模

建物の構造は、下記をご参照ください。
建物 | 構造 |
---|---|
麻布台ヒルズ森JPタワー | S造、SRC造、RC造 B5-64F-PH2 |
ガーデンプラザ | RC造、SRC造、S造 B5-54F-PH2 |
麻布台ヒルズレジデンス A | RC造、SRC造、S造 B5-54F-PH2 |
麻布台ヒルズレジデンス B | S造(一部SRC造) 他 |
約8.1haの広大な敷地に、高さ約330m(64階建て)の森JPタワー、麻布台ヒルズレジデンス A・B、ガーデンプラザが建設される計画です。東西と南北の道路もあわせて整備され、これまで通り抜けができなかった交通問題が解消できることから、周辺エリアの回遊性も大きく向上する見込みとなっています。
面積
主な面積は、下記の通りです。
- 敷地面積:約63,900m²(19329.75坪)
- 建築面積:約37,100m²(11222.75坪)
- 延床面積:約861,700m²(260664.25坪)
竣工日・オープン予定日
竣工日やオープン予定日は、下記となっています。
- 着工日:2019年8月
- 竣工日:2023年11月(麻布台ヒルズレジデンス Bは2025年8月予定)
- 開業日:2023年11月
ゼネコン|清水建設株式会社ほか

麻布台ヒルズの施工は、清水建設、三井住友建設、大林組などが担当しています。2023年11月にはほとんどのビルが竣工しました。三井住友建設が施工する麻布台ヒルズレジデンス Bのみ、2025年8月に竣工予定となっています。
麻布台ヒルズの設計は、森ビルが行っています。
交通規制を最小限に抑える「URT工法」

麻布台ヒルズの再開発では、地区の西側に位置する六本木一丁目駅との地下接続通路が新設されました。このトンネル工事で採用された工法が、「URT工法」です。URT工法は、大規模な開削を行わず、手作業で少しずつトンネルを掘り進めていく工法です。
今回地下通路を新設した区域はかなりの交通量があることから、地上の交通規制が最小限に抑えられるURT工法が採用されました。具体的には、トンネルの外側から作業員が入った約1m四方のボックス(エレメント)を挿入し、掘削作業を行います。掘削が終わるとボックス内にコンクリートを打設して、壁の一部とすることで、トンネルが完成していく流れになっています。
現場はすべてグリーン電力を使用
麻布台ヒルズの工事では、現場で使用するすべての電力をバイオマス発電によるグリーン電力に切り替えています。2021年3月までの1年間では、グリーン電力の使用によるCO2削減効果が約775tとなりました。
これを一般家庭に換算すると、約285世帯分の年間CO2排出量になります。竣工までに、役9,700tのCO2削減効果を得られる見込みです。
デジタルサイネージなどのDXを活用
麻布台ヒルズのA街区(オフィス棟)では、工事において多種のDXを導入しています。現場作業員の入退場管理は顔認証システムを使用し、作業効率の改善につながっています。
また、現場事務所での指示伝達にはデジタルサイネージ(ディスプレイを使った電子掲示板)、分散朝礼には新開発のディスプレイを使用するなど、今後清水建設の工事現場で展開する予定の新しい技術も取り入れ、効率化を行いました。
「麻布台ヒルズ」の注目ポイント
ここでは、「麻布台ヒルズ」のコンセプトから、大きな特徴3つをご紹介します。
①六本木ヒルズに匹敵する圧倒的なスケール

麻布台ヒルズの区域面積は約8.1haと、広大なスケールです。六本木ヒルズの区域面積約11.6ha(2003年開業当時)と比較しても遜色なく、これまで森ビルが取り組んできた都市再生事業で最大規模となる大型プロジェクトです。
オフィスの就業者数は約20,000人、住宅戸数は約1,400戸となり、六本木ヒルズに比べて区域面積が小さくなったものの、就業・居住人数が大きくなっていることが特徴です。(六本木ヒルズは約15,000人、約840戸)
さらに、緑化面積が約24,000㎡とかなりの広さが確保され、緑あふれる広場を中心としたコンパクトシティのコンセプトを実現しています。
②地震発生時に「逃げ込める街」として整備

麻布台ヒルズは、災害発生時に「逃げ込める街」となるために、さまざまな施設を備えています。各高層タワーは、東日本大震災レベルの地震が起きても安心な制振装置を設置しています。さらに、風揺れを低減する大型制振装置も設置し、地震以外の揺れ対策も万全です。
メインとなる「森JPタワー」の地下には、コージェネレーションシステムと地域冷暖房設備を導入し、高効率のクリーンエネルギーを確保しています。災害時の備えとしては、地区ごとの非常用発電機を設置し、帰宅困難者約3,600人が一時的に滞在できる約6,000m²のスペースも準備しています。
③区域全体の再生可能エネルギー使用で環境負荷低減を目指す

麻布台ヒルズは、独自のエネルギープラントを使用し、区域全体でCO2排出ゼロの再生可能エネルギー電力を使用しています。その取り組みの一つが、森JPタワーに設置した高効率エネルギーセンターで、街全体にエネルギーを供給するネットワーク化です。高い効率化のためにAIも導入し、コンパクトシティだからこそできる効率的なエネルギー供給を実現しています。
さらに、下水熱の利用、雨水や雑排水の再利用、他社と協働での資源循環促進など、総合的な取り組みを行っています。このような取り組みが評価され、国際環境性能認証「LEED」のエリア開発カテゴリで、都内初の最高ランクの予備認証を獲得しました。
麻布台ヒルズ・周辺の再開発一覧
ここからは、麻布台ヒルズ周辺の再開発計画一覧をご紹介します。
2025年|麻布台ヒルズレジデンスB

2025年8月には、麻布台ヒルズの最後の一棟となる高層タワー「麻布台ヒルズレジデンスB」が竣工予定です。麻布台ヒルズレジデンスBは64階建ての複合施設で、6~64階の住宅をメインに、5階にオフィス、B1~2Fに商業施設が新設されます。施工は三井住友建設が請け負っており、完成すれば高さ約260メートルと、日本一の高さを誇る超高層マンションになる予定です。
2026年|虎ノ門一丁目東地区第一種市街地再開発事業

計画概要について,https://www.chuo-nittochi.co.jp/news/uploads/20200909_toranomonn1cyoumehigashikeikakugaiyou.pdf,参照日2025.6.19
虎ノ門一丁目東地区第一種市街地再開発事業は、虎ノ門エリアの都市交通機能の改善と、国際的ビジネスセンターにふさわしい複合市街地の形成を目的に始まった再開発です。計画面積は約1.1haで、整備内容は感染街路補助線街路等の拡幅と、新たなビルの建築とされています。
新設されるビルの高さは180mとなっており、虎ノ門グローバルスクエア周辺の新たなランドマークタワーとなる予定です。事業推進パートナーは中央日本土地建物、都市再生機構、住友不動産の三社で、完成予定は2026年となっています。
2028年|赤坂二・六丁目地区地区開発計画

,参照日2025.6.19
赤坂二・六丁目地区地区開発計画は、赤坂駅を中心とした再開発です。駅周辺の回遊性の強化、エンタテイメント産業の拠点整備、インフラ更新と防災機能の強化の3つを目的としています。
事業協力者は三菱地所とTBSで、東京メトロが進める再開発プロジェクトの対象です。また、国家戦略特別区域計画における国家戦略都市計画建築物等整備事業として、内閣総理大臣による認定を受けています。
2030年|六本木一丁目北地区計画

六本木一丁目北地区計画は、旧ホテルオークラ別館の建て替えにより、複合的な市街地を形成する再開発計画です。建築物は約225m(地上53階、地下5階)の複合ビルで、住宅、宿泊施設、店舗などが含まれる予定です。

緑化計画として、敷地の外周に高低差を活かした緑化空間を整備する計画です。六本木一丁目北地区計画の建築主は鹿島建設で、2030年に竣工予定となっています。
2030年|都市再生特別地区(六本木五丁目西地区)

都市計画(素案)の概要,https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/tokyoken/tokyotoshisaisei/dai26/siryou8.pdf
,参照日2025.6.19
都市再生特別地区(六本木五丁目西地区)は、地下鉄六本木駅近くのアクセスのよい約10.3haのエリアの再開発です。地下鉄六本木駅直結、約320mの高層タワーを建築し、都市観光施設と国際水準の宿泊施設を整備する計画です。

都市計画(素案)の概要,https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/tokyoken/tokyotoshisaisei/dai26/siryou8.pdf
,参照日2025.6.19
まとめ
麻布台ヒルズは、六本木ヒルズに匹敵する大規模な再開発です。災害時の備えの充実や、環境負荷低減を目指した高効率エネルギーシステムの設置で、未来のコンパクトシティを実現しています。周辺地域では、六本木ヒルズ2の再開発計画も進んでいます。森ビルが手がける「国際新都心」プロジェクトの完成に向けて、今後の展開に注目していきましょう。