国土交通省調査、大手建設会社の受注2か月連続増加、2兆1千億円でサービス業好調

国土交通省が発表した最新の建設工事受注統計によると、令和7年4月における大手建設会社50社の工事受注額は、前年同月と比較して大幅な増加となりました。この統計は、建設業界の動向を把握するための重要な指標として、毎月公表されています。

目次
受注総額は2兆円を突破
4月の受注総額は2兆1,213億円となり、前年同月比で52.7%の大幅な増加を記録しました。これで2か月連続の増加となっています。
国内での受注が特に好調で、2兆1,021億円(前年同月比54.2%増)となりました。この中でも民間からの工事受注が大きく伸びており、公共工事は減少傾向を示しています。
民間工事が牽引役に
民間工事の受注額は1兆8,621億円と、前年同月比85.0%の大幅な増加となりました。これで5か月連続の増加です。
業種別の動向
民間工事では、業種によって明暗が分かれています。
■増加した業種
・サービス業
・不動産業
・金融業・保険業
■減少した業種
・情報通信業
・製造業
・鉱業・採石業・砂利採取業・建設業
製造業向けの工事は9.7%減少した一方で、非製造業向けは118.7%の大幅な増加となりました。
工事の種類別では
建築工事と土木工事の両方で増加が見られました。特に以下の分野で伸びが目立ちます。
■増加分野
・宿泊施設
・倉庫・流通施設
・事務所・庁舎
■減少分野
・建築その他
・住宅
・工場・発電所
公共工事は3か月連続で減少
一方、公共工事の受注額は1,902億円となり、前年同月比39.1%の減少となりました。これで3か月連続の減少です。
発注機関別の状況
■国の機関
・前年同月比56.4%の大幅減少
・すべての機関で減少
■地方の機関
・前年同月比50.5%の増加
・市区町村からの発注が増加
・地方公営企業、都道府県、地方その他は減少
工事種類別では
公共工事では、建築工事が増加する一方で、土木工事が減少しました。
■増加分野
・鉄道
・事務所・庁舎
・教育・研究・文化施設等
■減少分野
・道路
・治山・治水
・上水道・下水道
海外工事は減少傾向
海外での工事受注額は192億円となり、前年同月比27.1%の減少となりました。これで3か月連続の減少です。
今後の見通し
民間工事の好調さが全体の受注増加を支えている状況が続いています。特にサービス業や不動産業からの需要が高まっており、これらの分野での投資活動が活発化していることがうかがえます。
一方で、公共工事の減少傾向は継続しており、国の予算執行状況や地方自治体の財政状況が影響していると考えられます。
建設業界全体としては、民間需要の拡大により堅調な成長を続けており、今後の動向が注目されます。
データの詳細
この統計調査は、建設業者の工事受注動向と公共機関・民間からの受注工事の詳細を把握することを目的として実施されています。発注者別、業種別、工事種類別、地域別の詳細なデータが政府統計の総合窓口「e-Stat」で公表されています。
建設工事受注動態統計調査は、建設業界の現状を把握するための重要な指標として、関係者や投資家から注目されている統計です。
出典情報
国土交通省リリース,令和7年4月の建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)結果,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001891025.pdf