ドライコンクリートとは?1袋の量・強度・使い方・値段までプロが解説【2025年版】

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Category:コラム土木

著者:上野 海

ドライコンクリートは、セメント・砂・砂利があらかじめ混合された便利な建材で、ホームセンターや通販でも手軽に購入できます。しかし「1袋でどのくらいの面積を施工できるのか」「強度やモルタルとの違いは?」など、使用に対して疑問をおもちの人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ドライコンクリートの基本情報を解説したのち、使い方、強度、価格相場、モルタルやインスタントコンクリートとの違いまでを、初心者でもわかりやすく解説します。

ドライコンクリートとは?

ドライコンクリートとは、コンクリートを形成する以下の材料を、あらかじめ乾燥した状態で配合されているコンクリートです。

  • セメント
  • 骨材(砂・砂利)

水を加えるだけで使用できる手軽さから、DIYや小規模工事、補修現場などで広く利用されています。施工の手間を省きつつ、一定の品質を保てる点が魅力です。

モルタルやインスタントコンクリートとの違い

ドライコンクリートは「構造用の強度を必要とする箇所」にも使える利点があり、以下に示す「モルタル」や「インスタントコンクリート」とは複数の違いがあります。

種類費用感構成材料
ドライコンクリート一般的なコンクリートと同等セメント+砂+砂利
モルタル安価セメント+砂
インスタントコンクリート比較的安価セメント+砂+砂利(配合簡易)

たとえば、モルタルは細かい仕上げ用で、強度が劣るため基礎用途には不向きであるほか、インスタントコンクリートは作業は簡単だが強度保証にばらつきがあります。

対してドライコンクリートは、JIS準拠の配合比に近い製品も多く、耐久性を求める施工に適しているのが特徴です。

なお、本項で紹介したインスタントコンクリートについて詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください▼

ドライコンクリートの用途

ドライコンクリートは、次のように主構造部・非構造部など、幅広い用途で使用されている材料です。

  • 土間
  • 犬走り
  • 基礎
  • ポスト建て など

通常のコンクリート材と同等の基準を満たすことから、正しい配合かつ混合比率で利用すれば、構造物のなかでも重要な基礎部としても利用可能です。

また、最初からコンクリートの元となる材料(セメント・砂・砂利)がひとまとめになっているため、DIYなど個人用の目的でも利用されています。

なお、上記で登場した「土間コンクリート」「犬走りコンクリート」の情報も知りたい方はこちら▼

ドライコンクリートの強度・硬化時間

ドライコンクリートの強度は、提供されている製品のよって若干の違いはあるものの、水分量の調整で、高い圧縮強度へと調整が可能です。

以下に「コウエイ」が提供しているドライコンクリートの強度と硬化時間の目安を整理しました。

水分量2.70kg/袋水分量2.85kg/袋水分量3.00kg/袋
28日養生約57N/㎟約52N/㎟約45N/㎟
7日養生約40N/㎟約38N/㎟約31N/㎟

出典:コウエイのドライコンクリート(パンフレット)

たとえば、国土交通省が公開している「公共建築工事標準仕様書(建築工事編) 平成31年版」では、一般的な現場打ちコンクリートの場合には、設計基準強度18N/㎟が必要であり、ドライコンクリートは当基準を満たした工事に適用できます。

(参考:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版」

また橋梁のPC桁などには、圧縮強度が50N/㎟以上必要です。これに対しても、問題なく強度を発揮できることから、手軽に入手できる非常に優秀な材料だと言えます。

ドライコンクリートの使い方・手順

はじめてドライコンクリートを利用する人向けに、一般的な使い方の手順をまとめました。

手順内容備考
STEP1材料の入手・準備・施工面を清掃して、不純物を除去する・施工面に十分な水を打つ
STEP2練り混ぜ・ドライコンクリートに適量の水を加えて練り混ぜる
STEP3打設・練り混ぜたドライコンクリートを施工面に塗りつける・小手などを使用してコンクリート表面を仕上げる
STEP4養生・製品ごとに定められた養生期間を置く

練り混ぜ以外は、一般的なコンクリートの使い方と同じです。シンプルで使いやすい製品ですので、工事業務はもちろん、DIYにも活用してみてください。

ドライコンクリートの値段・費用感

ドライコンクリートの値段は、おおよそ1kgあたり300〜500円です。基本的には1袋〇〇kgといった単位で販売されており、10kgや20kgといった単位で購入できます。

購入する重量費用目安
10kg3,000~5,000円
20kg6,000~10,000円
30kg9,000~15,000円

なお、この金額はあくまで目安です。提供しているメーカーによって提供価格が異なるため、詳しい金額についてはメーカー製品ページをチェックすると良いでしょう。

ドライコンクリートのデメリットと注意点

ドライコンクリートは、コンクリート材料がひとまとめになっている便利な製品ですが、失敗を避けるためにも、デメリットや注意点を理解したうえで購入することをおすすめします。

参考として、後悔につながりやすいポイントと解決策をまとめました。

【デメリット1】保存時はメンテナンスが必要

ドライコンクリートは、購入時に紙袋に封入されていますが、一度開封すると隙間から砂埃や湿気が入り込んで、材料自体の品質が低下することがあります。

たとえば、湿度の高い部屋などに放置しておくと、材料が水分を含んで放置している間に部分的な硬化が進んでいるといった失敗も少なくありません。

ドライコンクリートは暗所で管理することはもちろん、湿度が高すぎない環境に保存することが大切です。また、一度開封した場合には丁寧に密封しなおすほか、定期的な中身の確認を怠らないように気を付けましょう。

【デメリット2】練り混ぜ不足だと強度が低下

ドライコンクリートは、水以外の材料がまとまっている便利なコンクリート材料ですが、時間をかけて丁寧に練り混ぜなければ、骨材(砂利)などが下側に溜まり、強度不足につながるケースがあります。

特にDIYなどで素人が手混ぜだけで対応する際には、練り混ぜ不足が発生しやすく、部分的に水分が行き渡っていなかったり、骨材が均等に配置されていなかったりするケースも少なくありません。

練り混ぜ時間は、外気温が25℃未満の場合は120分以内、25℃以上の場合は90分以内が標準ですので、時間をかけて練り混ぜる必要があると覚えておきましょう。

(参考:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版」

ドライコンクリートについてよくある質問【FAQ】

ドライコンクリートは1袋でどれくらい使える?

ドライコンクリートが1袋25kgだった場合には、約0.03㎥のコンクリートをつくることができます。構造物のような大量のコンクリートを用いる部分ではなく、舗装コンクリートなど、薄く広く使う用途に適しています。

ドライコンクリートが固まり始める時間はどれくらい?

ドライコンクリートは、水を加えた瞬間から少しずつ硬化が進んでいきます。平均的には24時間程度で表面の硬貨が終わり、最低でも7日をかけることで一定の強度を発揮できるようになるのがドライコンクリートの特徴です。

まとめ

ドライコンクリートは、水を除くコンクリートを形成する材料がまとまっている便利な材料です。

主に小規模な工事で用いるケースが多く、コンクリート設計基準を満たせる品質をもち合わせています。小ロットでの購入ができることから、DIYにも向いているため、この機会にホームセンターなどで材料を購入してみてはいかがでしょうか。