国土交通省統計、建設業界が8.1%成長、民間・公共ともに前年比プラス成長

令和7年5月20日、国土交通省総合政策局建設経済統計調査室から発表された最新の建設総合統計によると、2025年3月の建設業界の出来高総計は5兆3,269億円となり、前年同月と比較して8.1%の増加となりました。民間・公共ともに堅調な伸びを示しており、特に公共部門の成長が目立つ結果となっています。

民間部門は7.1%増、住宅建築も好調
民間部門の出来高総計は3兆80億円で、前年同月比7.1%の増加となりました。このうち建築分野は2兆2,488億円(前年同月比4.7%増)を記録しています。
民間建築のうち、居住用建築は1兆3,350億円となり、前年同月と比較して6.4%増加しました。一方、オフィスやショッピングモールなどの非居住用建築も9,138億円(同2.4%増)と着実な成長を見せています。
特筆すべきは民間の土木工事で、7,591億円(同14.9%増)という高い伸び率を示しました。これは民間企業によるインフラ整備や再開発事業の活発化を反映していると考えられます。
公共部門は9.4%増、土木が牽引
公共部門の出来高総計は2兆3,190億円で、前年同月比9.4%の増加となりました。内訳を見ると、建築分野が4,877億円(同6.7%増)、土木分野が1兆8,313億円(同10.1%増)と、特に土木工事が大きく伸びています。
公共建築のうち、非居住用建築は4,381億円(同9.9%増)と好調な一方、居住用建築は495億円で前年同月比15.3%の減少となりました。これは公営住宅などの建設ペースが一時的に落ち込んだためと考えられます。
業界全体で堅調な成長を維持
今回の統計結果から、建設業界全体として堅調な成長を続けていることが確認できます。特に以下の点が注目されます。
・民間・公共ともに前年同月比でプラス成長
・民間土木(14.9%増)と公共土木(10.1%増)の伸びが顕著
・民間の居住用建築も6.4%増と底堅い
こうした状況は、コロナ禍から回復した経済活動や、インフラ整備の積極的な推進などが背景にあると考えられます。
今後の見通しと注意点
国土交通省の発表によれば、これらの統計値は今後変更される可能性があるとのことです。毎年6月(4月分公表時)には、確定した建設投資額の実績値から算出される直近の補正率を用いて、過去3カ年分を遡及改定しています。
また、算出に使用している基礎統計等の品質改善に対応して遡及改定する場合もあるため、最新版の利用が推奨されています。
建設業界は日本経済の重要な柱の一つであり、その動向は他産業や雇用にも大きな影響を与えます。今後も継続的な成長が期待される一方、建設資材の価格動向や人手不足など、業界が直面する課題にも注目が必要です。
※本記事は国土交通省総合政策局建設経済統計調査室が令和7年5月20日に公表した「建設総合統計【令和7年(2025年)3月分】」のデータに基づいています。
※四捨五入により億円単位の値としているため、合計値とは必ずしも一致しない場合があります。
出典情報
国土交通省リリース,建設総合統計 【令和7年(2025年)3月分】,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001889453.pdf