竹中工務店、日本建築学会賞で技術・奨励・新人賞の三冠達成、若手活躍と環境技術が高評価

2025年5月14日、株式会社竹中工務店(社長:佐々木正人)は、国内建築分野で最も権威ある「日本建築学会賞」において、複数部門での受賞を果たしました。技術部門、奨励賞、作品選集新人賞の3部門で同時受賞という成果を収めています。

資源循環システムが技術賞を受賞

建築技術の発展に大きく貢献した成果に贈られる「日本建築学会賞<技術>」では、「建物内完結型バイオガスシステムの開発と展開」が選ばれました。このシステムは、建物内で発生する生ごみや厨房排水の汚濁物質をエネルギー化し、廃棄物の運搬・処分コストと二酸化炭素排出量を削減する画期的な取り組みです。

従来は難しいとされていた1日当たり約1トンの生ごみが出るショッピングモールや食品製造工場などでも、高い経済性を保ちながらリサイクルと環境負荷低減を実現しています。また、ディスポーザーで細かく砕いた生ごみを配管で移動させる仕組みにより、衛生面の向上と作業効率化にも貢献しています。

この技術は、建物内で発生する生ごみの再利用という新たな可能性を示すものとして、また同様の課題を抱える海外での応用性の高さから、高い評価を受けました。受賞者は竹中工務店の舟川将史氏、奈良知幸氏、坂口佳史氏、加藤利崇氏の4名です。

室内環境の健康性向上に貢献する研究が奨励賞を受賞

将来性のある優れた研究に贈られる「日本建築学会奨励賞」には、「室内環境中におけるハウスダストへのDEHP吸着特性及び吸着予測モデルの構築」が選出されました。この研究は、近年注目される室内汚染要因である準揮発性有機化合物(SVOC)の一種、フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)に関するものです。

野村佳緒里氏による受賞論文は、ハウスダストの状態(浮遊・堆積)による吸着の違いを明らかにし、これらを統合した新しい予測モデルを構築しました。この成果は、より健康で快適な室内環境づくりに大きく貢献するものとして評価されています。

若手建築家による6作品が新人賞を受賞

41歳未満の若手建築家による優れた設計作品に贈られる「日本建築学会作品選集新人賞」では、竹中工務店の若手建築家による6作品が選ばれました。

受賞作品は「名古屋機材センター」(石黒紘介氏)、「堂島実践倫理会館」(加藤実悠氏)、「エア・ウォーター健都」(河崎菜摘氏)、「警固竹友寮」(木下美佳氏)、「代々木参宮橋テラス」(栗田実氏)、「トヨタ下山環境学習センター」(吉田敦氏・金子侑樹氏)の計6作品です。

これらの作品は、それぞれの用途や立地条件に応じた独創的な設計アプローチが評価されました。特に「警固竹友寮」は木造と鉄筋コンクリート造を組み合わせた5階建て、「トヨタ下山環境学習センター」は木造/地上1階の構造で、環境配慮型の学習施設として設計されました。

日本建築学会賞について

一般社団法人日本建築学会が設けている日本建築学会賞は、国内で最も権威ある建築の賞とされています。建築・建設分野で顕著な功績をあげた個人や団体を表彰するものです。

「日本建築学会賞(技術)」は近年完成した優れた建築技術に、「日本建築学会奨励賞」は独創性と将来性のある研究論文に、「作品選集新人賞」は41歳未満の作品選集掲載作品の筆頭設計者に、それぞれ贈られます。

竹中工務店は今後も、社会に貢献する技術開発や魅力ある建築作品の創出に向けて、一層の努力を続けていく姿勢を示しています。

出典情報

株式会社竹中工務店リリース,2025年「日本建築学会賞(技術)」、「日本建築学会奨励賞」、「日本建築学会作品選集新人賞」の3部門で受賞,https://www.takenaka.co.jp/newslog/2025/05/01/