国土交通省発表、建設工事受注が4年連続増加し民間が牽引、製造業も回復傾向

国土交通省は4月30日、令和6年度(令和6年4月~令和7年3月)における建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)の結果を公表しました。この調査は、建設業者の受注状況と、公共機関・民間からの受注工事の詳細を把握するために実施されているものです。

令和6年度の受注総額、前年度比5.3%増
令和6年度の建設工事受注総額は18兆9,558億円となり、前年度と比較して5.3%増加しました。これは4年連続の増加となります。国内建設工事の受注総額は18兆3,169億円で、こちらも前年度比5.6%増と5年連続で増加しています。
民間工事は堅調に推移
民間からの受注工事額は13兆6,457億円で、前年度比8.9%増となりました。これは4年連続の増加です。特に製造業からの受注が3兆5,181億円(前年度比10.1%増)と好調で、前年の減少から再び増加に転じました。
また、非製造業からの受注も10兆1,276億円(前年度比8.4%増)と2年連続で増加しています。
業種別では明暗が分かれる
民間工事を業種別に見ると、以下の業種で増加が見られました。
・サービス業
・製造業
・電気・ガス・熱供給・水道業
一方、以下の業種では減少しました。
・不動産業
・運輸業・郵便業
・鉱業・採石業・砂利採取業・建設業
公共工事は減少に転じる
公共機関からの受注工事額は4兆1,130億円となり、前年度比4.1%減と3年ぶりに減少しました。このうち国の機関からの受注は2兆8,629億円(前年度比1.6%減)、地方の機関からの受注は1兆2,501億円(前年度比9.2%減)で、いずれも3年ぶりの減少となっています。
発注者別の状況
公共機関の中で、国の機関では政府関連企業からの受注が増加した一方、独立行政法人と国からの受注は減少しました。
地方の機関では、地方公営企業と都道府県からの受注が増加したものの、市区町村と地方その他からの受注が減少しています。
工事種類別の状況
■建築工事は7.8%増加
建築工事の受注高は13兆826億円で、前年度比7.8%増と4年連続で増加しました。工事種類別では、住宅、工場・発電所、建築その他などが増加した一方、娯楽施設、医療・福祉施設、教育・研究・文化施設などは減少しました。
■土木工事はわずかに増加
土木工事の受注高は5兆8,732億円で、前年度比わずか0.1%増にとどまったものの、3年連続の増加となりました。工事種類別では、港湾・空港、道路、上水道・下水道などが増加し、鉄道、治山・治水、土木その他は減少しています。
■海外工事は減少
海外工事の受注高は6,389億円で、前年度比2.6%減と4年ぶりに減少しました。内訳を見ると、建築工事は1,950億円(前年度比22.6%減)と大幅に減少した一方、土木工事は4,440億円(前年度比9.8%増)と増加しています。
■大規模工事の状況
受注高10億円以上の国内大規模工事の件数は2,604件、受注高は13兆7,274億円で、国内工事全体に占める割合は74.9%となりました。前年度比では7.6%の増加となっています。
建設業界全体の受注動向まとめ
令和6年度の建設工事受注動態統計調査結果から、国内の建設市場は引き続き堅調に推移していることがわかります。特に民間工事が牽引役となり、サービス業や製造業からの受注が増加しました。一方、公共工事は減少に転じており、今後の動向が注目されます。
建設業界全体としては4年連続の増加となり、市場の安定した成長が続いていることが示されています。特に製造業関連の工事需要の回復が顕著であり、設備投資の活発化がうかがえます。
出典情報
国土交通省リリース,建 設 工 事 受 注 動 態 統 計 調 査 報 告 ( 大 手 50 社 調 査 )( 令 和 7 年 3 月 分 、 令 和 6 年 度 計 ) に つ い て,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001886596.pdf