国土交通省発表、2月建設工事統計、受注高は11か月連続で増加し9兆円超え

国土交通省が4月11日に発表した「建設工事受注動態統計調査」によると、令和7年2月における建設工事の受注高は、全体で9兆2,695億円となり、前年同月比で8.1%の増加を記録しました。これにより、受注額の増加は11か月連続となり、建設業界の堅調な動きが続いていることが明らかになりました。

元請・下請ともにプラス 下請の伸びが顕著

元請受注高は6兆314億円で、前年同月比6.0%の増加。これで5か月連続のプラスとなりました。下請工事についても、受注高は3兆2,381億円に上り、前年から12.4%増加し、11か月連続で前年実績を上回っています。

元請受注高の内訳では、公共機関からの発注額が1兆6,744億円となり、前年同月比4.8%の増加で3か月連続の上昇となりました。民間等からの受注は4兆3,570億円で、前年より6.4%多く、こちらは5か月連続の増加です。

工種別では建築・機械装置が牽引 土木はわずかに減少

工事の種類別に見ると、建築工事が3兆6,956億円(前年同月比3.0%増)、機械装置等工事は7,900億円(同47.3%増)となり、特に機械装置工事が大幅に増加しました。これにより全体の受注高を大きく押し上げる結果となっています。

一方で、土木工事は1兆5,458億円にとどまり、前年同月比では1.4%のマイナスとなりました。土木工事が減少するのは8か月ぶりであり、今後の動向に注目が集まります。

総合工事業が全体をけん引 職別工事は大幅減

業種別に見ると、総合工事業が4兆4,535億円(同11.4%増)で、12か月連続の増加を記録しています。業界全体の堅調な伸びを支える存在となっています。

これに対して職別工事業は2,648億円(同37.0%減)と大幅に落ち込み、先月の増加から一転して減少に転じました。設備工事業は1兆3,131億円(同3.0%増)で、3か月連続のプラスとなっています。

公共工事は一部で減少 特に国関連でマイナス幅が大きく

公共機関からの発注工事(1件あたり500万円以上)に限ると、2月の受注額は1兆5,579億円で、前年同月比5.6%の減少となりました。これは3か月ぶりのマイナスであり、今後の公共事業予算の動向が注視されます。

発注元別に見ると、国の機関からの工事受注額は6,095億円で、前年同月比13.9%の減少。政府関連企業等からの受注額は1,219億円で、37.8%の大幅な減少となっています。これに対し、地方の機関からの受注額は9,484億円(同0.7%増)と堅調で、とくに市区町村による発注は4,055億円と15.1%増と大きく伸びました。

民間工事は好調続く 製造業や不動産業が支えに

民間等による建築工事・建築設備工事(1件あたり5億円以上)の受注額は1兆2,548億円で、前年同月比17.9%増加しました。これは5か月連続の増加であり、建設業界における民間需要の強さが表れています。

業種別では、製造業からの受注が3,673億円(同29.6%増)、不動産業は4,184億円(同10.1%増)と堅調です。とくに不動産業による住宅工事は1,695億円、倉庫・流通施設の工事は1,265億円と高い水準を維持しています。

さらに、電気・ガス・水道業からの工事受注は687億円で、前年比960.9%の増加となっており、大規模プロジェクトの存在がうかがえます。

今後の展望と業界動向

建設業界は引き続き堅調な需要を維持しており、特に民間による大型投資や再開発事業が受注高を押し上げる要因となっています。都市部を中心に物流施設や商業施設、マンションの新設・改修が進んでおり、業種別では総合工事業と設備工事業の好調が目立ちます。

一方で、資材価格の高騰や人手不足といった課題も根強く残っており、職別工事業の落ち込みはその影響を反映している可能性があります。

今後発表される3月分の統計も含め、建設業界の動向は引き続き注目されます。

出典情報

国土交通省リリース,建設工事受注動態統計調査報告 令和7年2月分,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kakuho2502.pdf