大成建設と日本通運の建設副産物巡回回収システム、地球環境大賞で日本経済団体連合会長賞を受賞

2025年4月11日、大成建設株式会社とNIPPON EXPRESSホールディングス株式会社グループの日本通運株式会社が共同で開発した「建設副産物巡回回収システム」が、第33回地球環境大賞において日本経済団体連合会会長賞を受賞しました。この受賞は、建設業界と物流業界の協業による環境保全への取り組みとして高く評価されたものです。

地球環境大賞とは

地球環境大賞は1992年に創設された歴史ある表彰制度で、「産業の発展と地球環境との共生」を目指しています。世界自然保護基金(WWF)ジャパン(名誉総裁・秋篠宮皇嗣殿下)の特別協力のもと運営されており、日本国内の環境関連表彰制度としては最大規模かつ最も権威のあるものとされています。

持続可能な社会の実現に貢献する技術開発や環境保全活動、事業促進などを表彰することで、地球環境保全に対する意識向上を目的としています。産経新聞社が主催するこの賞は、環境分野における最高峰の評価として広く認知されています。

受賞の理由

今回の受賞は、大成建設が2014年から継続して取り組んできた不燃系建材端材の再資源化活動を基盤とし、2023年からの日本通運との協業によって発展させた点が高く評価されました。特に以下の点が評価のポイントとなっています。

・再資源化量の拡大と安定した運用体制の確立

・建設業界全体への普及促進

・運搬効率の大幅な向上によるコスト削減

・CO2排出量の大幅な削減効果

建設副産物巡回回収システムの仕組み

建設現場から出る廃材は、これまで多種多様な素材が混在しやすく、分別やリサイクルが困難でした。また、個々の現場から再資源化施設へ運搬する場合、コストが高くなり、CO2排出量も増加するという問題がありました。

このシステムでは、これらの課題を解決するために次のような工夫が施されています。

・複数の建設現場を同一車両で巡回し、分別された建材端材を回収

・品目ごとに専用の再資源化施設へまとめて二次輸送

・「NRBOX」という観音開きタイプのかご台車を活用し、視認性の高い分別管理を実現

・建材納品車の帰り便を活用することで輸送効率を向上

特に「NRBOX」の導入により、異なる品目の建材端材を一つの車両にまとめて運搬できるようになり、トラックの積載率が大幅に向上しました。また、広域認定制度を活用することで、これまで埋め立て処分されていた建材端材を建材原料として再資源化することに成功しています。

今後の展開

大成建設と日本通運は、今後もこのシステムの充実を図るため、以下の取り組みを進めていく予定です。

・回収エリアの拡大

・対応品目の追加

・協力建材メーカーの拡充

・モーダルシフトによる遠距離運搬の効率化

これらの取り組みを通じて、建設業界と物流業界における環境負荷をさらに低減し、省資源・循環型社会の構築に積極的に貢献していくことを目指しています。モーダルシフトとは、トラック輸送から鉄道や船舶など環境負荷の低い輸送手段への転換を指し、長距離輸送における環境配慮の重要な手法です。

建設副産物再資源化の取組を拡大

本システムは、建設現場から排出される廃材の再資源化を促進するとともに、輸送過程での環境負荷を低減する画期的な取り組みとして、今後の建設業界全体の環境対策のモデルケースとなることが期待されています。

大成建設(相川善郎社長)と日本通運(竹添進二郎社長)の両社は、この受賞を契機に、より一層環境に配慮した事業展開を推進し、持続可能な社会の実現に向けて取り組みを強化していくとしています。

出典情報

大成建設株式会社リリース,大成建設と日本通運が取り組む「建設副産物巡回回収システム」が、「第33回地球環境大賞 日本経済団体連合会長賞」を受賞,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/250411_10431.html