国土交通省、建設業の働き方改革を支援、効率的な工事推進モデル事業の成果公表

令和7年3月24日、建設業における効率的な工事実施に向けたモデル事業の成果がまとまりました。この事業は、令和6年4月から適用された建設業の時間外労働上限規制を踏まえ、働き方改革の実現に向けて実施されたものです。
建設業が直面する働き方改革の課題
昨年4月、建設業界に罰則付き時間外労働上限規制が適用されました。これにより、業界全体で働き方改革の推進がこれまで以上に急務となっています。特に建設業の効率化と生産性向上は喫緊の課題となっていました。
しかし、多くの建設現場では依然として効率的な工事が十分に実施されておらず、様々な課題が存在していることが明らかになっています。長時間労働が常態化している現場も少なくなく、作業の非効率性や古い慣行が残っている状況です。
モデル事業の実施と成果
この背景を受けて、効率的な建設工事の実施に向けた課題を実践的に解決するため、公募によりモデル事業者を選定し、効率化促進のための取り組みを実施しました。このたび、その成果をまとめた事例集が完成し、公表されることになりました。
モデル事業では、建設現場における効率的な工事の実施に向けた具体的な課題に取り組み、実践的なノウハウが蓄積されました。例えば、ICT技術の活用など、現場の効率化を図るさまざまな工夫が行われています。
これらの知見は今後の建設業界全体の働き方改革の推進に貢献することが期待されています。特に中小建設業者にとっては、限られた経営資源の中で効率化を進めるための参考になるものです。
普及促進のための資料公開
事例集の普及を図るため、モデル事業の実施内容を記録した動画やパンフレットも併せて作成されました。これらの資料は、建設業界における効率化の好事例として参考になるものです。
公開された資料には以下のものが含まれています。
・働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業に係るモデル事業事例集
・補助金ガイドブック(巻末資料)
・モデル事業パンフレット
・広報動画
効率的な建設工事の重要性と期待される効果
建設業界では、時間外労働規制の適用により、限られた労働時間内でいかに生産性を高めるかが重要な経営課題となっています。今回公表された事例集は、現場レベルでの効率化の実践例を示すことで、業界全体の働き方改革を後押しするものです。
効率的な工事の実施は、労働環境の改善だけでなく、コスト削減や工期短縮にもつながる可能性があります。また、建設業の魅力向上にも寄与し、将来的な人材確保にも効果が期待されています。
さらに、このモデル事業の取り組みは、デジタル技術の活用や施工方法の工夫など、建設業のイノベーションを促進する契機にもなっています。従来の「経験と勘」に頼る部分が多かった建設現場に、データに基づく合理的な判断や最新技術の導入が進むことで、業界全体の近代化にも貢献すると考えられます。
今後の展望
今回のモデル事業で得られた知見を踏まえ、今後は効率的な工事手法の標準化や、好事例の横展開が進められる見込みです。また、建設業の効率化と働き方改革を一体的に推進するための支援策も検討されています。
建設業は国の基幹産業として重要な役割を担っていますが、高齢化や人手不足などの構造的な問題も抱えています。今回公表された効率化モデル事業の成果が、こうした課題解決の一助となり、持続可能な建設業の実現に向けた第一歩となることが期待されます。
出典情報
国土交通省リリース,「働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業」のモデル事業の事例集を作成しました~今求められる建設工事の効率化による働き方改革の実現とは~,https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00282.html