国土交通省主導でBIM活用拡大へ、第21回建築BIM環境整備部会を開催

建築分野におけるデジタル技術の活用促進を目的に、2025年3月18日(火)に「第21回建築BIM環境整備部会」がオンライン形式で開催されました。本会議では、各タスクフォース(TF)の今年度の成果報告と来年度の取り組み方針、ガイドライン改訂に関する議論などが行われました。
目次
BIMの活用促進を目指す官民の取り組み
BIM(Building Information Modeling)は、設計・施工・維持管理の各プロセスで情報を統合し、建築の効率化を図るデジタル技術です。国土交通省は、この技術を活用し、生産性向上を推進するための環境整備を進めています。今回の部会では、令和6年度の活動成果を振り返るとともに、今後の指針を策定するための議論が行われました。
会議の主要議題
当日の議題は以下のとおり。
・各タスクフォースの今年度の成果報告
・BIM関連ガイドラインの改訂案
・BIMの普及状況と活用実態調査の結果
・建築BIMデータの標準化と活用の方向性
・建築GX・DX推進事業に関する最新動向
BIM標準化TFの活動報告
BIMの標準化を推進するタスクフォースでは、建築情報の統一基準を確立するための「標準属性項目リスト」と「解説書」の作成が進められています。これにより、異なるソフトウェア間や外部データとの連携が強化され、より一貫性のあるBIMデータの運用が可能になります。
BIM普及状況の実態調査
国土交通省が実施した最新のBIM普及状況調査では、建築業界におけるBIMの導入率が前回調査よりも向上していることが明らかになりました。特に、意匠・設備・積算分野におけるBIM活用が進んでおり、今後さらなる普及に向けた課題の整理が求められています。
ガイドライン改訂の方向性
今回の部会では、BIMガイドラインの改訂案についても議論されました。改訂の主なポイントとして、以下の点が挙げられます。
・LOD/LOI(詳細度)の統一基準の策定
・BIMマネージャーの役割と必要スキルの定義
・設計変更への対応方針
・BIMデータの著作権・契約上の取扱い
建築BIMデータのあり方検討会の成果
維持管理・運用段階におけるBIMデータの活用促進に向けた検討が進められています。特に、不動産オーナーや建物管理者向けに、BIMデータの有効活用方法を示すガイドラインが策定されており、今後の建築データの利活用の枠組みが整備されていく見込みです。
建築GX・DX推進事業の最新動向
建築業界の脱炭素化(GX)とデジタル化(DX)を支援する「建築GX・DX推進事業」に関する情報も発表されました。補助金制度を活用し、BIMを用いたLCA(ライフサイクルアセスメント)の実施や、建築データの効率的な管理が進められる予定です。
参加方法と今後の展望
今回の会議はオンライン形式で実施され、一般の傍聴も可能です。会議資料や議事録は、後日国土交通省のウェブサイトに掲載される予定です。BIMの更なる普及と実務への適用を促進するため、関係者の積極的な参加と意見交換が期待されます。
今後のBIM活用の展望について、引き続き注目が集まることになるでしょう。
出典情報
国土交通省リリース,建築分野におけるBIMの推進等を議論します~第21回建築BIM環境整備部会を開催~,https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_001048.html