工事完了報告書とは?目的や作成手順を徹底解説。【テンプレートも紹介】

工事完了報告書は、建設工事や修繕工事が契約通りに完了したことを証明する重要な書類です。適切に作成することで、品質保証や維持管理、支払い精算の根拠としても活用されています。
本記事では、工事完了報告書の目的や作成手順、実務で役立つテンプレートをみていきましょう。正確で分かりやすい報告書を作成し、業務の効率化を図る際に役立ててください。
工事完了報告書とは

工事完了報告書とは、建設工事や修繕工事が契約通りに完了したことを証明し、発注者や関係者に報告する公式な書類です。工事の進捗状況や施工内容、品質検査の結果を記録し、工事の完了を証明する役割を果たします。
- 証明書としての機能(契約どおりの施工を行い、発注者や監督機関に報告する)
- 品質保証と検査の記録(施工内容や使用した材料、検査結果などを詳細に記載し、工事の品質を保証する)
- 維持管理・メンテナンスの基礎資料(建物やインフラの維持管理に活用でき、どのような工事が行われたのかが把握できる)
- 支払い・精算の根拠(施工業者が工事代金を請求する際の根拠)
- 次回工事の参考(同様の工事を計画する際の参考資料)
品質保証の観点からは、使用した材料や工法、検査結果などを明確に記録することで、万が一のトラブル時にも重要な証拠となります。BIMと連携し、工事完了報告書のデータを3Dモデルと統合することで、維持管理や改修工事の効率化を実現することも可能です。
そのため、建設業における工事完了報告書はさまざまな面から重要だといえるでしょう。
工事完了報告書が必要な3つの理由
工事完了報告書が必要な3つの理由は以下のとおりです。
- 工事の適正な完了を証明するため(提出義務がある)
- 維持管理・トラブル対応の基礎資料となる
- DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に役立つ
とくに、行政への提出義務は重要な理由の1つです。公共工事や一定規模以上の建築工事では、建築基準法や各自治体の条例に基づき、工事完了報告書の提出が必須となっています。
たとえば、工事が設計図や安全基準を満たしているかを確認し、違反がないかチェックされます。また、補助金や助成金を受ける工事では、完了報告書がなければ支払いが完了しないため、工事完了報告書は必須の書類だといえるでしょう。
工事完了報告書に掲載されている内容
ここでは、工事完了報告書に掲載されている内容についてみていきましょう。工事の全体像を把握できる詳細な情報が記載されており、今後の維持管理やトラブル対応、データ活用にも役立つ重要な資料といえます。
項目 | 内容 |
工事の基本情報 | 工事名称 |
工事場所 | |
工期(着工日・完了日) | |
発注者・施工者情報 | |
施工内容 | 具体的な工事の範囲と作業内容 |
使用した材料や設備の一覧 | |
施工手順や工法 | |
検査結果 | 完了検査の実施状況 |
問題点や修正対応の有無 | |
各種検査結果(強度試験、品質検査など) | |
写真や図面 | 施工前・施工後の写真 |
施工図面や修正箇所の記録 | |
関係者の承認 | 施工者・発注者・監督者の署名 |
必要に応じて第三者機関の検査証明 |
工事完了報告書の作成手順
ここでは、簡潔に工事完了報告書の作成手順についてみていきましょう。
1. 事前準備(データ収集)
工事完了報告書を作成するには、施工内容や品質検査の記録を整理することが重要です。たとえば、契約書や施工計画書、安全管理報告書などを収集しておきましょう。
2. 基本情報の記載
報告書の冒頭には工事名や発注者、工期、契約金額などを明記し、関係者が一目で概要を把握できるようにすることが重要です。
3. 工事概要の記載
工事の目的や背景、施工範囲、技術的な特徴、施工中の課題と対応策を簡潔にまとめましょう。
4. 施工内容の詳細記録
使用した資材や施工手順、安全対策、作業工程を明記し、適正な施工が行われたことを証明します。
5. 品質管理・検査結果の記録
強度試験や動作確認、防水・防火検査などのデータを記載し、品質基準を満たしていることを示します。
6. 施工写真・図面の添付
着工前・施工中・完了後の写真、修正箇所の図面を添えて、工事の実施状況を視覚的に記録します。
最後は、元請業者や発注者が施工内容を検証し、契約通りの品質・仕様が満たされているかを確認します。そして、監督官庁や第三者機関の審査が必要な場合は、適合性の検査を受け、すべての承認が完了すれば、正式に発注者へ引き渡されるという流れです。
工事完了報告書テンプレート2選
ここでは、工事完了報告書のテンプレートについてみていきましょう。
株式会社アイピア
株式会社アイピアの完了報告書のテンプレートは、以下のURLに掲載されています。
工事完了報告書がExcel形式で複数提供されており、自社の書式に近いものを選びやすい点が特徴です。また、Excelであるため、自社に合うように変更できる点はメリットといえるでしょう。
株式会社アイピアは、建築業向けの業務管理システム「アイピア」の開発・販売・サポートを行う企業です。2018年に設立され、兵庫県神戸市に本社を構えています。施工管理の効率化を目的とし、見積書や発注書、工程表などの作成を支援するシステムを提供しています。
株式会社マネーフォワード
株式会社マネーフォワードが提供する、工事完了完了報告書のテンプレートは以下のURLに掲載されています。
https://biz.moneyforward.com/work-efficiency/templates/report
とくに、ExcelやWord形式のテンプレートが用意されており、ユーザーのニーズに合わせて選択できる点が特徴です。また、「工事手法欄あり」や「工期入力欄あり」など、特定の情報を記載しやすいように設計されたテンプレートもあります。
株式会社マネーフォワードは、クラウドサービスとして「Money Forward クラウド 経費」などを提供しています。たとえば、経費の申請から承認や仕訳、振込までを一元管理し、業務効率化を図ることが可能です。 主な特徴として、領収書やレシートをスマートフォンで撮影することで、OCR技術によって、日付・金額・支払先を自動的にデータ化する機能もあります。
まとめ
工事完了報告書は、工事の完了を証明し、品質保証や維持管理、支払い精算の根拠となる重要な書類です。適切なフォーマットを使用し、施工内容や検査結果を正確に記録することで、今後の維持管理やトラブル対応にも役立ちます。
また、行政への提出義務があるため、工事基準の遵守にも不可欠です。テンプレートを活用し、効率的に工事完了報告書の作成に役立てましょう。