【2025年最新】建築コスト情報とは?土木コスト情報や建築施工単価との違いも解説

建築コスト情報は、建築工事に関わる単価情報が掲載された書籍であり、建築工事業務の積算・概算工事費の算出に用いられる資料です。では、書籍にどのような情報が記載されているのでしょうか。
この記事では、建築コスト情報の概要を解説したのち、類似資料である土木コスト情報や建築施工単価との違い、さらには過去からの単価の変動・推移についてわかりやすく紹介します。
目次
建築コスト情報とは?
建築コスト情報とは、建設物価調査会から提供されている建築業界の次の単価等がまとめられた情報誌です。
- 材料単価
- 労務単価
- 施工単価(材工単価)
47都道府県ごとに建築施工の単価が掲載されており、建築コスト情報をもとに建築工事の積算や概算工事費を算出します。
なお建築コスト情報は定期的に情報誌が更新されており、その更新の都度、単価情報が書き換えられます。そのため積算および概算工事費の担当者は、常に最新の単価情報を把握しておく必要があるほか、正しい工種への当て込み等の対応が必要です。
土木コスト情報や建築施工単価との違い
建築コスト情報のような積算に用いられる資料とは別に、次のような類似の情報誌も提供されています。
- 土木コスト情報
- 建築施工単価
参考として以下に、各情報誌の違いを整理しました。
各種、業務の積算や概算工事費の算出に用いるという点は同じですが、出版元や対応業種が異なります。
例えば土木コスト情報は、土木業界向けの単価がまとめられている情報誌であるため、基本的には建築業務の積算等では用いません。(建築に関わる基礎工事や土木工事は例外)
よって、建築業務の積算や概算工事費の算出では「建築コスト情報」「建築施工単価」の2つを用いることとなります。そして出版元が異なる2つの情報誌には、おおよそ似たような単価・費用情報が掲載されているのが特徴です。
なお、2つの情報誌はどちらも異なる調査で市場単価・標準単価等が整理されていることから、類似の工法がある際には、情報誌ごとに掲載されている単価の平均を用いるといった使い方をする場合もあります。(10,000円/㎡と11,000円/㎡の場合は平均である10,500円/㎡というイメージ)
建築コスト情報には書籍版・Webデジタル版がある
建築コスト情報は、紙の書籍版とアプリケーションとして購入できるWebデジタル版の2種類が提供されています。2つの情報誌はそれぞれ同じように最新の単価情報が掲載されていますが、次の点が違います。
- 書籍版は季節ごとに安く購入できる
- 電子版はキーワードで自由に検索できる
なかでも電子版は、バックナンバー(2007年春版まで)の情報を閲覧できるのが魅力です。さらにテレワーク時にも使用しやすく、同時に3人でひとつのライセンスを利用できます。
またよく用いる単価がある場合には付箋をつけたり、書籍版よりも多くの単価情報が載っていたりするため、近年では書籍版から電子版に移行する企業なども増えてきているそうです。
2025年における建築コスト情報の最新版は?
2025年3月現在、建築コスト情報として販売されている最新号は「2025年1月(冬)」です。2025年1月〜3月までの工事業務に適用できるため、対象期間中に建築業務を受注した場合には、当情報誌を用いるようにしてください。
なお、建築工事によっては過去の市場単価・標準単価を使った積算・概算工事費の算出を求められることもあります。建設物価調査会では、書籍版のバックナンバーも販売されているので、必要なときには取り寄せを申し込みましょう。
建築コスト情報の発売日や頻度の目安は?
建築コスト情報は、毎季節ごとに発刊されている情報誌です。基本的には次のシーズンに最新版が販売されます。
- 春(4月)
- 夏(7月)
- 秋(10月)
- 冬(1月)
なお、2025年4月(春)の最新版については、3月下旬に販売される予定です。バックナンバーである建築コスト情報の2024年4月(春)は3月25日に販売されているので、おそらく同様の日程で販売されるでしょう。
建築コスト情報の販売価格の目安
建築コスト情報の販売価格を以下に整理しました。
1冊当たりの価格 | 定期購読(15%OFF) | |
書籍版 | 4,950円(税込) | 通常19,800円(税込) →17,160円(税込) |
電子版 | 16,544円(税込) ※自動更新のため1年間の契約のみ |
金額面を比較すると電子版がお得です。短期間だけ単価をチェックしたい場合には書籍版、通年で工事業務や設計業務を受注する場合には電子版を選ぶのがよいでしょう。
建築コスト情報の掲載内容
建築コスト情報に掲載されているのは、次のような内容です。
主な目次 | 概要 |
建築工事市場単価 | 建築・電気設備・機械設備工事の単価が掲載されている |
標準施工単価 | 建築に付随する土木工事を含め、各工事施工の単価がまとめられている(仮設、土工、コンクリート、タイル、防水など) |
おおよそ600ページほど単価情報がまとめられています。施工単価のみならず材料費も掲載されているため、別途提供されている「建設物価」という材料費がまとめられている書籍と組み合わせながら利用が可能です。
建築コスト情報の使い方
建築コスト情報は、掲載されている単価、そして設計・施工等に用いられる数量情報を組み合わせることで金額を算出できます。
例えば、ある工事の施工単価が10,000円/㎡(税抜)だった場合、100㎡の数量が計上されると次のように計算します。
10,000円/㎡×100㎡=10,000,000円(税抜)
なお建築コスト情報に記載されている単価は基本的に税抜きです。積算書や概算工事費の資料に整理する際には、税抜きの合計金額と別に、税込金額も出しておく必要があります。
建築コスト情報の単価傾向
出典:建設物価調査会「建設物価 建築費指数」
建築コスト情報に掲載されている情報は、季節ごとに少しずつ単価が変動しています。では、現在と過去を比べたとき、どのような単価変動が起きているのでしょうか。
参考として、建設物価調査会が公開している木造住宅に用いる建築費用指数より、詳しい傾向を整理しました。
- 2021年の半ばより建築全般の建築費指数が上昇し続けている
- 調査開始年である2015年と比較して1.45倍の上昇が起きている
- なかでも伸び率が高いのは建築費、次いで純工事費である
また、木造住宅のみならず、鉄骨造の住宅やRC造の住宅についても建築費指数の上昇が起きています。そのなかでも木造住宅は指数の伸びが大きいのが特徴です。日本の住宅のほとんどが木造であることから、今後住宅建築において新築需要が冷え込んでいくのではないかと不安視されています。
まとめ
建築コスト情報は、建築業務における積算・概算工事費の算出に用いられる市場単価・標準単価がまとめられた情報誌です。建築全般の施工単価のほか、一部材料費について掲載されており、年に4回も単価の更新が実施されています。
そのため建築関連の設計者や施工者は、建築コスト情報をチェックしながら工事業務の金額を積算していかなければなりません。3ヶ月ピッチで単価情報が切り替わっていくため、建築従事者は最新の単価を計上できるよう、常に最新版の建築コスト情報を購入しておきましょう。