見やすい工程表の秘訣!効率的な作成方法とは?

工程表は納期を守りつつ、余裕を持った工事の実施を行うために役立つ表です。工事現場ではよく活用されており、作業実施における円滑なコミュニケーションを図れるだけでなく、他社や協力業者に説明する場合にも活用できます。
しかし、見やすい工程表が作れているかと問われたときに、自信を持ってイエスと応えられるケースは少ないのではないでしょうか。
そこで、本記事では見やすい工程表に必要なポイントについてみていきましょう。とくに、工程表を作成する際に意識したい重要なポイントにもふれているため、参考にしてみてください。
目次
工程表を活用する3つのメリット

工事において工程表を活用する3つのメリットは、以下のとおりです。
- 内外を含めた事業者スケジュールの把握・管理がしやすくなる
- 厳格なコスト管理と作業効率の向上が図れる
- トラブルや工期遅延のリスクを事前に防ぐことができる
たとえば、以下のようなスケジュールが決まっていた場合、それぞれの事業者に「スケジュールを調整してもらい、期日までに作業を完了してもらう」必要があります。加えて、作業の進捗も把握しなけばならないため、口頭だけでなく、工程表を用いることで把握しやすくなるといえるでしょう。
仮にトラブルがあった場合でも、遅れに対するスケジュール調整や発生するコストを確認しやすくなるため、協力業者ともコミュニケーションが取りやすくなります。
工種 | 作業内容 | 施工日程 | 必要な調整 |
基礎工事 | 掘削・コンクリート打設 | 3月1日~3月7日 | 他の工事と重ならないよう調整 |
鉄筋工事 | 配筋・型枠設置 | 3月8日~3月15日 | コンクリート打設完了後に実施 |
設備工事 | 配管・電気工事 | 3月16日~3月22日 | 内装工事の前に完了させる |
工程表によって工事の進捗に加え、現在の状況も把握できるため、トラブルや遅延にも早めに対処しやすくなります。そのため、分かりやすい工程表によって、工事が進まないといった状況も回避しやすくなるといえるでしょう。
また、もう少し工期が長い工事であれば、予定期日などを提示しておくと「期日に余裕が少しあるので、別工区の○○の作業をスタートできるけど、調整してきますか?」という管理者からの提案も可能です。無理に協力業者のスケジュールを詰める必要もないため、予定にない作業の実施なども避けられます。
工程表作成前に整理する項目
管理者が工程表を作る前に、整理する項目は次のとおりです。
- 施工手順・余裕を含んだ施工期間の決定
- 各工事の人材配分や機器の使用に関する調整
- 資材・設備の調達スケジュールの確認
作業の流れを把握したうえで、人材や資材及び設備の調達スケジュールを踏まえて、工程表を作成する必要があります。たとえば、建築工事の場合は必ず基礎工事から始まり、構造、外装といった順番で進んでいくといえるでしょう。
そして、電気設備や空調衛生設備業者であれば、建築工事に合わせて工事を進めていく必要があるため、より事前のスケジュール・設備の使用時間なども把握しなければなりません。また、工期の違いによって、余裕を持てる日程の長さも変化します。
見やすい工程表の書き方に必要なポイント
ここでは、見やすい工程表の書き方に必要なポイントについて詳しくみていきましょう。
一目でわかる項目を設定する
専門業者だけでなく、発注者や他事業者がみても分かりやすい内容にすることが重要です。たとえば、基礎工事の場合だけでも、項目名として以下のような名称であれば、他事業者であってもある程度の内容が把握できます。
- 掘削
- コンクリート打設
- 鉄筋の敷設
また、作業工程ごとに割り切っていくことになるため、鉄筋の敷設後に型枠を設置しなければコンクリート打設ができないといった工程の順番に合わせることも重要です。期間を明確化する場合には、以下のようなバーチャート図は活用しやすいでしょう。

バーチャート図は特に短期工事であれば活用しやすいといえます。ただし、検査日や完了日といった重要な項目に関しては、分かるような表記を入れておくことも大切です。とくに、発注者に対して明確な説明ができるように以下のようなルールを決めて、記入しておけばより分かりやすいでしょう。
- 完了した工程に関しては「完了」と記載する
- 工期に重大な影響がある工程には「重要工程」
アイコンや記号を決めておくことも効果的です。
デザインも含めて情報は簡潔にわかりやすく記載する
工程表のデザインに関しても、視覚的・直感的にわかりやすいデザインにすることが大切です。 たとえば、以下のガントチャートでは、明確に色分けがされており、進捗率も把握できる内容となっています。

工種ごとに異なる色で管理することで、重要な工程から付随する工事を視覚的に把握できるようになります。また、ツールを使用する場合は、フォントの文字の大きさを統一したうえで、重要部分を太文字にするといった使い方をすると、より内容がわかりやすくなるでしょう。
工区や時間単位で切替ができるようにする
大規模な工事になればなるほど、工区によって日程や施工内容が異なります。たとえば、
「今週はA工区のコンクリート打設と検査があるが、B工区は再来週」といった場合、工区ごとの工程表が必須です。
また、資材搬入のスケジュールを組んでいても物流の影響で遅れることも考えられるため、柔軟な対応も求められます。加えて、午前と午後で施工箇所が異なる場合もあるため、そういった場合もわかりやすく工程表に記載すると円滑なコミュニケーションが図れるようになるでしょう。
より詳しい工程表の種類や工程表アプリを知りたい方は以下の記事から。
まとめ
工程表は、工事の初期段階で策定されるものも多いといえます。そのうえで、見やすい工程表を作成することで、トラブルの防止や円滑なコミュニケーションの促進も図れるといえるでしょう。
とくに、管理者側からすれば、効率的な管理が実施できるようになるため、これまで以上に生産性を高めることも可能です。そのため、自社における工程表の内容を見つめなおし、より工事に活用しやすい工程表を作成していきましょう。