国土交通省、令和6年12月の建設出来高が5兆円超え、民間・公共とも堅調、非居住用建築が急伸

国土交通省は令和6年(2024年)12月分の建設総合統計を公表しました。この統計は国内の建設業における工事の進捗状況を金額ベースで示す重要な経済指標です。

全体の出来高は5兆円超え、着実な成長を維持

12月の建設出来高総計は5兆3,989億円となり、前年同月と比較して4.2%増加しました。これは建設業界全体が安定した成長を続けていることを示しています。

民間部門と公共部門、ともに堅調な伸び

出来高総計の内訳を見ると、民間部門は3兆678億円(前年同月比4.2%増)、公共部門は2兆3,311億円(同4.1%増)となっています。両部門がほぼ同率で成長していることから、建設需要が幅広い分野で高まっていることがうかがえます。

民間建設の詳細:土木工事が二桁成長

民間部門の内訳を詳しく見ると、建築関連が2兆4,040億円(前年同月比2.6%増)となっています。このうち居住用建築は1兆4,365億円(同3.3%増)、非居住用建築は9,675億円(同1.5%増)と、いずれもプラス成長を記録しました。

特筆すべきは民間の土木工事で、6,638億円(同10.7%増)と二桁の伸びを示しています。これは民間企業によるインフラ整備や工場建設などの設備投資が活発化していることを反映していると考えられます。

公共建設の動向:非居住用建築が大幅増加、居住用は減少

公共部門では、建築関連全体で5,161億円(前年同月比8.1%増)と好調でした。その内訳を見ると、非居住用建築が4,601億円(同10.4%増)と大きく伸びている一方、居住用建築は559億円(同7.8%減)と減少しています。

公共の非居住用建築の増加は、学校や公共施設の改修・建て替えなど、公共インフラの整備が進んでいることを示唆しています。一方、居住用建築の減少は、公営住宅の新規建設が一段落している可能性があります。

公共の土木工事は1兆8,150億円(同3.0%増)となり、全体の約3分の1を占める大きな割合となっています。道路や橋梁などの社会インフラ整備が着実に進められていることがわかります。

建設業界の動向と特徴

統計資料によれば、2023年度から2024年度にかけての建設出来高は全体的に上昇傾向にあります。グラフから読み取れる特徴として、2023年度後半からは特に民間の土木工事と公共の非居住用建築の伸びが顕著になっています。

これらの数字は、日本経済が新型コロナウイルス感染症の影響から回復し、設備投資や公共投資が活発化していることを示しています。特に民間部門の土木工事の伸びは、企業の投資意欲の高まりを反映していると考えられます。

今後の見通しと留意点

建設業界の出来高は、経済の先行指標として重要な意味を持ちます。今回の統計からは、民間・公共ともに堅調な伸びを示していることから、当面は建設需要が安定して推移することが予想されます。

なお、国土交通省では「四捨五入により億円単位の値としているため、合計値とは必ずしも一致しない」と注意点を記載しています。また、毎年6月(4月分公表時)には、確定した建設投資額の実績値から算出される直近の補正率を用いて過去3カ年分を遡及改定する場合があるとのことです。

業界全体が堅調な伸び、成長分野に注目

令和6年12月の建設総合統計によれば、建設業界全体が4.2%の安定成長を遂げています。特に民間の土木工事(10.7%増)と公共の非居住用建築(10.4%増)が二桁成長を記録し、業界を牽引しています。

一方で、公共の居住用建築のみがマイナス成長(7.8%減)となっていることから、公共事業の重点分野が住宅から他のインフラ整備へとシフトしている可能性があります。

今後も建設投資の動向を注視することで、日本経済全体の健全性や成長性を測る一助となるでしょう。

出典情報

国土交通省リリース,建設総合統計 【令和6年(2024年)12月分】,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001864147.pdf