国土交通省統計、令和6年建設受注121兆円で過去最高を更新、民間投資9.6%増で市場けん引

令和6年の受注高総額は121兆5,371億円(前年比9.9%増)と大幅に増加しました。建設市場全体が着実に成長していることを示す重要な指標です。

元請・下請別の状況

・元請受注高:78兆3,567億円(前年比7.7%増)

・下請受注高:43兆1,804億円(同14.1%増)

年間を通じても下請の伸び率が元請を上回っており、建設市場における専門工事の重要性が高まっていることを示しています。

業種別の状況

・総合工事業:73兆842億円(同13.4%増)

・職別工事業:17兆9,076億円(同3.2%増)

・設備工事業:30兆5,453億円(同6.3%増)

すべての業種で増加していますが、特に総合工事業の伸びが顕著です。

元請受注高の内訳

■発注者別

・公共機関からの受注:22兆7,606億円(同3.5%増)

・民間等からの受注:55兆5,961億円(同9.6%増)

民間からの受注が公共を大きく上回る伸びを示しています。民間投資が好調であり、建設市場の成長をけん引しています。

■工事種類別

・土木工事:21兆2,078億円(同5.5%増)

・建築工事:48兆8,067億円(同9.4%増)

・機械装置等工事:8兆3,421億円(同3.9%増)

建築工事の伸びが目立っており、住宅や非住宅建築物の需要が堅調であることがわかります。

公共機関からの受注工事(令和6年計分)

令和6年の公共機関からの受注工事額は22兆1,453億円(前年比4.6%増)でした。

■発注機関別

・国の機関:7兆2,739億円(同5.6%増)

内訳:国(4兆90億円、同1.5%減)、独立行政法人(5,712億円、同22.6%減)、政府関連企業等(2兆6,937億円、同29.4%増)

・地方の機関:14兆8,714億円(同4.2%増)

内訳:都道府県(5兆3,356億円、同1.3%増)、市区町村(7兆1,320億円、同11.0%増)、地方公営企業(1兆6,569億円、同15.2%増)、その他(7,470億円、同34.5%減)

国からの直接発注は微減したものの、政府関連企業等からの発注が大幅に増加しました。地方では市区町村と地方公営企業からの発注が好調でした。

民間等からの受注工事

・建築工事・建築設備工事

令和6年の建築工事・建築設備工事の受注工事額は16兆9,374億円(前年比21.9%増)でした。

■主な発注者別

・農林漁業:1,505億円(同235.3%増)

・製造業:3兆4,551億円(同14.6%増)

・不動産業:6兆1,749億円(同18.0%増)

・サービス業:2兆8,348億円(同27.0%増)

不動産業とサービス業からの発注が特に大きく増加しており、住宅や商業施設の建設需要が高まっていることを示しています。

・土木工事及び機械装置等工事

令和6年の土木工事及び機械装置等工事の受注工事額は9兆8,598億円(前年比3.8%増)でした。

■主な発注者別

・製造業:3兆1,325億円(同7.1%減)

・電気・ガス・熱供給・水道業:2兆8,145億円(同16.8%増)

・運輸業、郵便業:1兆6,124億円(同6.4%増)

エネルギー関連と運輸関連の投資が増加する一方、製造業の土木・機械投資は減少しています。

市場動向分析と今後の見通し

令和6年の建設市場は、民間投資を中心に大きく成長しました。特に不動産業やサービス業からの発注増加が目立ち、住宅や商業施設の建設需要が市場をけん引しています。公共投資も全体としては増加していますが、国直轄事業の減少など一部に弱さも見られます。

業種別では総合工事業が大きく伸長し、設備工事業も堅調な伸びを示しています。職別工事業も増加はしているものの、他業種と比べて伸び率が低く、専門工事の分野で競争が激化している可能性があります。

今後の見通しとしては、不動産市場の動向や製造業の設備投資計画、公共投資の推移が市場全体に影響を与える可能性があります。また、建設資材価格の変動や人手不足、働き方改革への対応など、業界が直面する課題にも引き続き注意が必要でしょう。

出典情報

国土交通省リリース,建設工事受注動態統計調査報告 令和6年12月分及び令和6年計分,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001861674.pdf