大成建設、台車下に潜り込む超低床型の自律走行ロボットMogLifterを新開発

大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、建設現場のデジタル化を進める取り組みの一環として、ラピュタロボティクス株式会社と株式会社匠と共同で、新たな自律走行搬送ロボット「MogLifter」を開発しました。このロボットは、台車の下に潜り込んで資材を運ぶことができる超低床型の自律走行ロボットです。
進化する建設ロボット「T-DriveX」シリーズ
大成建設では、2023年から「T-DriveX」シリーズとして、パレット型とフォークリフト型の2種類の自律走行搬送ロボットを開発し、建設現場での実証運用を進めてきました。今回新たに開発された「MogLifter」は、この「T-DriveX」シリーズの3機種目となります。
従来の課題を解決する画期的設計
これまでのパレット型やフォークリフト型のロボットでは、長い資材を運ぶ際にいくつかの課題がありました。例えば、幅の広い通路が必要になることや、荷物を降ろす際に何度も切り返しが必要になるなど、効率よく作業するには制約が多かったのです。
「MogLifter」は、こうした課題を解決するために開発されました。建設現場でよく使われる長い鉄骨フレームなどが積まれた台車の下に潜り込んで、自動で運搬することができます。実際の建設現場を想定した環境での実験でも、その実用性が確認されています。
「MogLifter」の革新的機能
1. 全方位移動を実現する球体駆動技術
「MogLifter」は、360度全方向に進むことができる球体駆動方式を採用しています。これにより、長い資材を運ぶ際でも、現場の通路状況に合わせて移動方向を自由に選べるため、効率よく搬送することができます。
2. 状況に応じて変化するバッテリーシステム
「MogLifter」は、用途に応じてバッテリーの積載量を調整することができます。台車の下をくぐり抜ける必要がある場合には、バッテリー積載量を最小にして高さを低くし、くぐる必要がない場合には、長時間稼働できるようバッテリー積載量を最大にして作業することができます。
3. 作業者を守る先進安全機能
自律走行時の安全対策として、「MogLifter」にはLiDARセンサーを搭載し、障害物を避けることができます。また、万が一何かに接触した場合には、テープスイッチが作動して停止する安全装置も備えています。
4. チームワークで効率化するロボット連携
「MogLifter」は、「T-DriveX」シリーズの他の機種、例えばフォークリフト型ロボット(Rapyu.)などと連携して資材の受け渡しを簡単に行うことができます。これにより、現場の状況や作業内容、用途に応じて最適なロボットを選んで使うことができ、効率的な資材搬送が可能になります。
デジタル時代の建設現場へ
大成建設は、今後も「T-DriveX」シリーズの3機種の自律走行搬送ロボットの実証運用を続け、これらを連携させて効果的に使い分けることで、建設現場における資材移動の効率化と作業の省力化を進め、生産性向上に取り組んでいく予定です。
このような革新的な技術の導入により、建設業界のデジタル化がさらに加速することが期待されます。「MogLifter」は、その形状と機能から、特に狭い場所や複雑な経路が多い建設現場での活躍が見込まれています。
ロボット活用で進化する建設現場の働き方
人手不足が深刻な建設業界において、このような自律走行ロボットの開発と導入は、作業の効率化だけでなく、働く人々の負担軽減にもつながる重要な取り組みといえるでしょう。
大成建設は、「DX認定」企業として、このような技術革新を通じて、建設業界全体のデジタル変革を牽引する役割を担っています。
出典情報
大成建設株式会社リリース,超低床型自律走行搬送ロボット「MogLifter」を開発-「T-DriveX」シリーズのラインアップ拡充により資機材移動の更なる効率化を実現-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/250214_10333.html