国土交通省、11月期の経済動向 観光・建設分野で回復基調続く、民間工事とインバウンドが牽引
国土交通省は1月20日、建設、交通、観光分野における最新の経済動向をまとめた「国土交通月例経済(2025年1月号)」を発表しました。各分野で緩やかな回復傾向が見られます。
目次
建設分野:民間工事が牽引し、受注高が増加
建設工事の受注高は、2024年11月時点で5兆7,166億円(前年同月比2.5%増)を記録しました。内訳を見ると、民間等からの受注が4兆3,396億円(同3.4%増)と好調な一方、公共機関からの受注は1兆3,770億円(同0.1%減)とわずかに減少しています。また、下請受注高は3兆8,742億円(同23.4%増)と大幅な伸びを示しました。
工事種別では、建築工事・建築設備工事が3兆7,834億円(同1.9%増)、土木工事が1兆3,689億円(同0.6%増)となり、いずれも前年を上回る実績となっています。
住宅着工:持家が増加、貸家は減少傾向
住宅市場では、2024年11月の新設住宅着工戸数が6万5,037戸(前年同月比1.8%減)となりました。種類別では、持家が1万9,768戸(同11.1%増)と大きく増加した一方、貸家は2万6,717戸(同5.5%減)、分譲住宅は1万8,146戸(同7.3%減)と減少傾向が続いています。
交通分野:航空・鉄道ともに利用者が増加
航空輸送では、2024年11月の国内線旅客数が910万人(前年同月比5.2%増)を記録。主要路線の利用者は402万人(同6.1%増)と、着実な回復を見せています。国際線も131万人(同13.6%増)と大幅に増加しました。
鉄道部門では、2024年9月のJRの輸送人員が7億844万人(前年同月比3.5%増)、民鉄が12億1,413万人(同3.4%増)といずれも増加。定期・定期外ともに利用者の回復が進んでいます。
観光分野:インバウンド需要が大幅回復
訪日外国人観光客は引き続き好調で、2024年12月には349万人(前年同月比27.6%増)を記録しました。国別では、韓国が87万人(同10.8%増)、中国が60万人(同93.4%増)、台湾が49万人(同23.0%増)、香港が29万人(同13.7%増)と、アジア圏からの観光客が大幅に増加しています。
宿泊施設の利用状況も改善が続いており、2024年11月の延べ宿泊者数は5,812万人泊(前年同月比6.7%増)となりました。特に外国人延べ宿泊者数は1,469万人泊(同22.0%増)と大きく伸び、全体の25.3%を占めています。
その他の指標:物流も堅調に推移
物流関連では、2024年10月の貨物営業用自動車の輸送量が2億279万トン(前年同月比9.1%減)となった一方、宅配便の取扱個数は3億9,190万個(同2.3%増)と増加しました。
また、高速道路の通行量も順調で、2024年10月の通行台数は1億6,879万台(前年同月比2.4%増)を記録。大型車の通行台数は3,724万台(同5.5%増)と、物流需要の回復を反映する結果となっています。
調査の詳細
本記事は、建設分野や交通分野の公的統計に加え、事業者や関係団体が公表している最新データを総合的に分析したものです。詳細なデータや統計については、国土交通省のウェブサイトでご確認いただけます。
出典情報
国土交通省リリース,「国土交通月例経済(令和7年1月号)」,https://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/getsurei/r07/01/overview.pdf