昨年の振り返りと2025年の展望:デジタル技術の進化が問いかける人間の役割
年が変わり、2025年になりました。2024年を振り返ると、デジタル技術も大きく進化し、その意義や重要度もこれまで以上に注視され、人間が行うべき業務を改めて考えさせられる年だったのではないかと思います。本稿では、そんな2024年の振り返りと2025年がどういう年になりそうかなどを簡単に述べてみようと思います。
2024年振り返り
2024年は、建設業界においても様々なことが起こりましたが、ここではデジタル技術を切り口に振り返ってみようと思います。技術の進化は時事刻々と進んでおり、年を跨いだから何か変わるということもないのですが、定期的に振り返ることで現在地を知っておくことも大切で、年の変わり目はそれを考える良い機会です。気になった技術や分野をいくつかリストアップしてみます。
AI
AIの進化は外せません。建築プロセスの各フェーズにおいて既に何かしら活用されている、あるいは活用されようとしているのではないでしょうか。特に設計においては、生成AIが活用され、もちろんまだ物足りない部分はありますが、設計プロセスの大幅な効率化を推進しています。パースやコンセプトの作成、与条件整理等できることは徐々に拡大し、その精度も向上しています。また、AIの進化に伴い、他の技術やサービスの成長速度も確実に上がってきています。
カーボンニュートラル
AI以外で注目された領域としては、グリーン関連があると思います。年々注目度が高まっていて、大きなお金も動いています。カーボンニュートラルな素材の開発や利用の他にも設計のパラメータとしてCO2排出量を予測して建築の計画を行うといった、これまでなかなか設計時から精緻なシミュレーションができていなかった領域も進化してきています。
BIM
AIほどの進化はないですが、やはりBIMも外せません。BIMを使うユーザーやプロジェクトの増加をはじめ、BIMに関する教育も着実に充実してきています。また、形状に関する情報だけではなく、それ以外のプロジェクトに関する情報もしっかり管理して活用しようという動きが出てきています。
ロボット
職人不足が叫ばれている中で、人がいなくても施工が行えるよう、現場の効率化がどんどん進んでいます。建設現場でのロボットの活用に関して、多くの実証実験が行われており、それらロボットの進化を見ていると、現場にほとんど人がいないというのも、もう近い未来にやってくる予感がします。
その他にもARやVRの活用、様々なSaaSの登場による業務効率化の推進等々挙げるとキリがありません。またそれもAIの普及により諸々のスピードが上がってきています。上記に挙げたいくつかも、それ単体ではなく多様な技術が組み合わさって、多くの価値やその成長を実現しています。多面的に捉えておくことが、今後を見据える上でも重要です。
2025年はどうなる
2025年もAIの進化から目が離せません。最近では特にAIエージェントというものが注目されていますが、建設業界にも遅かれ早かれこの波は必ずくると思います。AIエージェントについて、詳しくはこちらの記事(https://news.build-app.jp/article/33244/)でも紹介されていますので、初めて聞いたという方はご参照ください。
簡単に説明しますと、AIエージェントは、従来のAIではできなかった複数の複雑なタスクを自ら判断して実行するシステムのことです。様々なサービスやアプリケーションとシームレスに繋がり、データを活用してAIが最適なアクションを提案します。これまで人が行ってきた煩雑な作業をAIが自動的に実行し、最終確認を人が行うようになるイメージです。大量のデータを扱い、無数にあるパラメータを整理して意思決定を行っている建築の領域は、AIとの相性が良く、広まれば劇的にワークフローを変える可能性を秘めています。ただし、そこに至るには大きなハードルがいくつかあるのですが、2025年はその走りになる年になるのではないかと思います。
AIの進化とも相まって、現場ロボットの進化にもますます注目です。そして、そういった進化の恩恵を得るためにもBIMというのは建設業界において重要な役割を果たします。建物のデータをいかに活用するか、様々な技術の進化と同時に、こことどう向き合っていくかが今後の成長を考える上で重要になってくると思います。BIMによる確認申請も動いており、今後の動きにも注目です。
最後に、直接技術の話ではないですが、2025年はついに大阪万博が開幕します。開催前から多くの議論を呼び、話題になっていました。たくさんのチャレンジが詰まった作品群がベールを脱ぎます。きっとまた面白い話が出てくるだろうなと楽しみにしています。
話はまだまだ尽きませんが、今ここに書いていることだけでも、今年も既に色々なことが起こりそうですね。時代や技術の波にうまく乗って、今年を楽しみましょう。