国土交通省調査、令和6年度第2四半期のリフォーム受注、住宅・非住宅ともに減少傾向続く
国土交通省は2024年12月10日、建築物リフォーム・リニューアル工事の令和6年度第2四半期(7-9月期)の調査結果を公表しました。調査は建設業許可を持つ5,000業者を対象に実施され、元請けとして受注した工事の状況が明らかになりました。
全体の受注額は3.4兆円、前年比6.0%減
今期の受注総額は3兆4,147億円となり、前年同期と比べて6.0%減少しました。この内訳は、住宅関連が1兆132億円(前年同期比10.1%減)、非住宅建築物関連が2兆4,015億円(同4.2%減)となっています。
住宅リフォームの動向
住宅部門では、工事種類別に以下のような特徴が見られました。
・増築工事:147億円(前年同期比14.6%増)
・一部改築工事:191億円(同61.4%減)
・改装・改修工事:8,474億円(同3.0%減)
・維持・修理工事:1,320億円(同31.1%減)
構造別では、木造の一戸建住宅が4,575億円(前年同期比14.8%減)、コンクリート系構造の共同住宅が4,308億円(同7.5%減)と、主要な工事分野となっています。
発注者別では、個人からの発注が6,330億円と最も多く、次いで管理組合からの発注が1,806億円となっています。
非住宅建築物の改修状況
非住宅建築物では、以下のような特徴的な動きが見られました。
・生産施設(工場、作業場)の工事が3,334億円(前年同期比13.4%増)と増加
・事務所関連の工事が3,108億円(同32.6%減)と減少
・発注者別では民間企業等が1兆7,997億円と全体の約75%を占める
工事種類別の内訳:
・増築工事:850億円(前年同期比22.9%減)
・一部改築工事:525億円(同0.1%減)
・改装・改修工事、維持・修理工事:2兆2,640億円(同3.4%減)
工事目的と部位の傾向
住宅、非住宅ともに「劣化や壊れた部位の更新・修繕」が最も多い工事目的となっています。住宅では996,655件、非住宅建築物では565,449件の工事が実施されました。
また、省エネルギー対策も重要な工事目的となっており、住宅では84,607件(前年同期比3.9%増)、非住宅建築物では42,979件の工事が行われています。
工事部位別では、住宅は給水給湯排水衛生器具設備(365,927件)と内装(223,676件)が上位を占め、非住宅建築物では電気設備(146,045件)と空気調和換気設備(137,513件)が多くなっています。
建築時期別の特徴
リフォーム・リニューアル工事を受けている建築物の建築時期を見ると、住宅では1991年から2000年及び2001年から2010年に建てられた物件が多く、非住宅建築物では1991年から2000年に建てられた物件の工事が目立っています。これは、建物の経年による改修需要を反映していると考えられます。
今後の展望
今回の調査結果から、建築物の維持管理や機能向上のための投資は継続的に行われているものの、全体として減少傾向にあることが分かります。特に住宅部門での減少が顕著となっていますが、省エネルギー対策関連の工事は増加傾向にあり、環境配慮への意識の高まりを反映しています。
この調査は平成20年度から実施されており、建築物の維持管理や改修工事の市場動向を把握する重要な指標として活用されています。四半期ごとの調査により、より詳細な市場動向の把握が可能となっています。
出典情報
国土交通省リリース,建築物リフォーム・リニューアル調査報告(令和6年度第2四半期受注分),https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001266.html