大林組など3社、環境配慮型バイオ燃料「出光リニューアブルディーゼル」の実証実験を開始
出光興産株式会社、株式会社大林組、株式会社松林は、環境負荷の低減を目指す新たな取り組みを始めました。2024年11月中旬から、建設現場で使用する機械の燃料として、次世代バイオ燃料「出光リニューアブルディーゼル(IRD)」の実証実験を行っています。出光興産では、この実験結果をもとに2025年初めからIRDの一般販売を予定しています。
環境にやさしい新型バイオ燃料「IRD」とは
IRDは、私たちの生活から出る廃食油などの植物性原料から作られる新しい燃料です。この燃料は燃やすとCO2を出しますが、原料となる植物が育つ過程でCO2を吸収するため、全体として地球温暖化への影響が少ない「カーボンニュートラル」な燃料として注目されています。
出光興産は、欧州の厳しい品質基準(EN15940:2016)をクリアしたリニューアブルディーゼル(RD)を海外から輸入し、さらに独自の品質管理を加えてIRDとして販売します。このRDは、今ある給油設備や機械をそのまま使えるため、運送会社や建設会社での利用が期待されています。
実証実験の具体的な内容
今回の実験では、大林組の建設現場で油圧ショベルの燃料として、従来の軽油の代わりにIRDを使用します。燃料の配送は松林が担当し、建設現場まで直接届けて給油を行います。3社は協力して、IRDが建設機械に与える影響を調べるとともに、燃料の調達から配送、使用、メンテナンスまでの全過程を詳しく検証します。
各社の具体的な取り組みと将来展望
【出光興産の取り組み】
出光興産は、環境に配慮したエネルギーの安定供給に力を入れています。IRDの普及に向けて、安定的な調達と品質管理を行うとともに、全国の特約店ネットワークを活用して、使用現場までの確実な配送体制を整えます。
さらに、山口県周南市にある徳山事業所では、2028年度から持続可能な航空燃料(SAF)の生産開始を目指しています。この製造過程でRDも作られる予定で、将来的には自社製造のRDの販売も検討しています。
【大林組の取り組み】
大林組は、建設工事でのCO2排出削減を目指し、環境にやさしい燃料の使用を進めています。大阪・関西万博の建設工事では、すでに100%バイオディーゼル燃料(B100)やRD燃料の使用実験を行った実績があります。
今回の実験では、IRDの使用に加えて、B100を使用する建設機械に出光興産製の専用エンジンオイルを使用し、エンジンへの影響も調査します。これらの取り組みを通じて、環境配慮型燃料を使用する建設機械の適切な管理方法や、燃料の安定供給体制の確立を目指しています。
【松林の取り組み】
松林は、環境保護の観点から、CO2排出削減に貢献する様々な低炭素燃料の販売と提案を行ってきました。今回の実験では、これまでの経験を活かし、従来の軽油に代わる環境配慮型燃料の使用環境づくりと、効率的な配送システムの構築を進めます。
また、全国300社以上の配送協力会社のネットワークを活用して、環境配慮型燃料の導入を検討する企業への提案活動も積極的に展開していく予定です。
今後の展望
3社は今回の取り組みを通じて、持続可能なエネルギーの普及とCO2排出削減に向けた連携を強化します。これにより、建設業界全体の環境負荷低減に貢献することを目指しています。この実証実験は、より環境に優しい建設現場の実現に向けた重要な一歩となることが期待されています。
出典情報
株式会社大林組リリース,次世代のバイオ燃料「出光リニューアブルディーゼル」の実証実験を大林組の建設現場で開始,https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20241210_1.html