野原グループ、【独自調査】「施工業者、職人の確保が難しくなった」との回答が23.3%

BuildApp(ビルドアップ)で建設DXに取り組む野原グループのBuildApp総合研究所(所在:東京都新宿区、代表:山梶真司)は、2024年6月の「第三次 担い手3法(品確法と建設業法・入契法の一体的改正)」の公布を背景に、全国の20代~70代の建設産業従事者1,000人を対象に働き方改革や工期の適正化等に関する調査を行いました。

調査結果の主なトピックス

  1. 働き方●2024年4月以降に「施工業者、職人の確保が難しくなった」との回答は23.3%に上り、特に大規模プロジェクトが旺盛な北海道では同項目が最多の45.2%でした。●「深刻な人手不足」や「古い慣習や仕事の進め方」等を背景に、「時間外労働時間の上限規制があっても、建設業界の働き方改革が加速しない」と考える方が約半数の48.8%を占めました。
  2. 工期の適正化●今後、時間外労働時間の上限規制が浸透すれば、「工期の適正化も進む」との回答は33.7%にとどまり、「工期の適正化が進んでも、内装仕上げ工事などの工期終盤の専門工事に工事全体の遅れがしわ寄せされるだけ」が63.4%にも上りました。●会社種類別に「工期が遅れる最大の要因」を見てみると、不動産デベロッパー(n:48)、スーパーゼネコン(n:62)、準大手・中堅ゼネコン(n:79)では「元請けと現場(施工会社・職人など)での情報連携不足(課題認識のばらつきを含む)」が最多であり、「工期の適正化」の実現には情報連携が重要な役割を果たしそうであると推測できます。
  3. 省人化●働き方改革を進めるための省力化意欲がある方は全体の62.1%を占めるものの、「業務のあり方の見直し(52.5%)」を期待する声が最も多いことが分かりました。

結果の詳細はこちらから

BuildApp総合研究所 総評

「第三次 担い手3法(品確法と建設業法・入契法の一体的改正)」では、持続可能な建設産業の在り方」のキーワードとして「働き方改革(工期の適正化)」「処遇改善(労務費)」「生産性向上」が謳われています。一方で、建設産業を巡っては、過去10年で「建設業」の倒産件数が最多ペースで推移しており深刻な「職人不足」で苦境に立つ企業が増えている状況です[i]。

官民でDXを進める動きが加速していますが、BuildApp総合研究所では、デジタル化は業務フローの標準化がされていなければメリットを十分に生かすことはできないと考えています。今まさに、建設産業は、本質的に仕事のやり方を変えていく、これまで当たり前とされていることを変えていく勇気と覚悟が問われているのではないでしょうか。

調査実施概要 (調査元:BuildApp総合研究所)

調査期間:2024年11月13日~11月19日回答数:1,000人
調査対象:全国の20代~70代の建設産業従事者1,000人調査方法:インターネット調査(ゼネラルリサーチ株式会社)

調査結果詳細|働き方改革や工期の適正化等

1.働き方改革

●時間外労働時間の上限規制から半年が過ぎ、「施工業者、職人に確保が難しくなった」との回答が23.3%。大規模プロジェクトが旺盛な北海道では同項目が最多の45.2%。

●「時間外労働時間の上限規制があっても、建設産業の働き方改革は加速しない」と考えるのは48.8%。理由は、1位「深刻な人手不足(38.7%)」、第2位「古い慣習や仕事の進め方を変えられないから(38.5%)」、3位「工期の適正化が進まない限り、工期遵守が最優先され残業や休日出勤は減らないと思うから(33.4%)」。

●建設産業従事者1000名の時間外労働に対する考えは、1位「規制があっても、建設産業の現場の「時間外労働時間」は減らない(32.9%)」、2位「残業代が減っても良いので、残業時間を減らしたい(26.4%)」、3位「残業代が減ると困るので、残業時間は減らしたくない(25.7%)」。

年代別に時間外労働に対する考えを見てみると、40代、50代、60代で「規制があっても、建設産業の現場の「時間外労働時間」は減らない」との回答が多いことが分かる。

時間外労働時間の上限規制から半年、規制内容の把握率は規制前に比べ3.5ポイントのアップにとどまり、残業抑制対策も「残業抑制対策は特にしていない(31.3%)」が最多

残業抑制対策の実施状況を会社種類別に見てみると、スーパーゼネコン(n:62)、準大手・中堅ゼネコン(n:79)、地方ゼネコン(n:96)では「新技術やデジタルツール導入による省人化」と「工期の適正化」との回答が多い傾向が分かる。

一方で、中小企業が多く現場での施工業務が多い工務店(n:82)、専門工事店(n:102)では、「残業抑制対策は特にしていない」との回答が多く、「新技術やデジタルツール導入による省人化」との回答が少なくなっている。

時間外労働時間の上限規制後の残業状況は、規制前に比べ「残業時間は変わらない」が最多の53.8%で、残業時間としては時間外労働時間の上限規制の原則である「月45時間以内」が最多の50.0%。

一方で、「月45時間以内(50.0%)」と「分からない(14.6%)」を除く354名に「時間外労働時間の上限規制の原則である「月45時間」を超えた「特別な事情」を尋ねたところ(最大3つまでの複数回答)、1位「工事繁忙期(66.1%)」、2位「納期や工期のひっ迫(納期・工期遵守)(49.2%)」、3位「予算・決算業務(20.9%)」との結果となった。

従事業務別に、「時間外労働時間の上限規制の原則である「月45時間」を超えた「特別な事情」のトップ2「工事繁忙期」と「納期や工期のひっ迫(納期・工期遵守)」の割合をみてみると、現場作業所での業務が多い施工管理(n:115)、施工(n:77)、専門工事(n:25)で「工事繁忙期」を理由とする残業が多いことが推測できる。

残業抑制に有効と期待する事項(最大3つまでの複数回答)は、1位「新技術やデジタルツール導入による省人化(33.0%)」、2位「非効率な慣習や作法等の改廃(32.1%)」、3位「工期の適正化(31.8%)」。

2.工期の適正化

時間外労働時間の上限規制から半年、規制遵守のための「工期の適正化が進んでいない」との回答は52.5%。

従事業務別に、規制遵守のための「工期の適正化」の進捗状況を尋ねたところ、現場での施工関連業務に携わる「施工管理(n:289)、施工(n:275)、専門工事(n:112)で「工期の適正化が進んでいない」との回答割合が多い傾向にある。

今後、時間外労働時間の上限規制が浸透すれば、「工期の適正化も進む」との回答は33.7%にとどまり、「工期の適正化が進んでも、内装仕上げ工事などの工期終盤の専門工事に工事全体の遅れがしわ寄せされるだけ」が63.4%。

●工期の適正化に関連して、「工期が遅れる最大の要因」を尋ねたところ、1位「施工に必要な職人数の不足(31.6%)」、2位「元請けと現場(施工会社・職人など)での情報連携不足(課題認識のばらつきを含む)(24.9%)」、3位「発注者による設計変更(22.0%)」。

会社種類別に「工期が遅れる最大の要因」を見てみると、不動産デベロッパー(n:48)、スーパーゼネコン(n:62)、準大手・中堅ゼネコン(n:79)では「元請けと現場(施工会社・職人など)での情報連携不足(課題認識のばらつきを含む)」が最多であり、「工期の適正化」の実現には情報連携が重要な役割を果たしそうだ。

3.省人化

残業抑制に有効と期待する事項(最大3つまでの複数回答)の1位には「新技術やデジタルツール導入による省人化(33.0%)」がランクイン。この「新技術やデジタルツール導入による省人化」の回答状況を年代別にみると、20代で39.8%、30代で40.2%と全体の結果を上回る数値となっている。

時間外労働時間の上限規制から半年、「規制遵守のために省人化を進めたい」との回答は62.1%。地域別にみると、四国(n:21)で71.4%、中国(n:52)で67.3%、北海道(n:42)で66.7%、九州(n:95)で66.3%、関東(n:341)で64.8%と、全国の結果を上回る数値となっている。

●時間外労働時間の上限規制から半年、「規制遵守のために省人化を進めたい」と回答した621名に、「省人化につながると考える取組み」を尋ねたところは、1位「業務のあり方の見直し(52.5%)」、2位「BIM/CIMの導入と普及(17.6%)」、3位「新工法、技術の開発(17.2%)」。

1位「業務のあり方の見直し」の回答状況を従事業務別にみると、施工(n:141)で59.6%、専門工事(n:65)で64.6%と全体の結果を上回る数値となっている。

4.一人親方

●サブコン、ハウスメーカー、住宅リフォーム、工務店、専門工事店に勤務する341名で、時間外労働時間の上限規制開始後に、規制対象外となる「一人親方」に転向したのは7.6%、「一人親方に転向したい」と考えるのは17.2%。

BuildApp総合研究所とは

BuildApp総合研究所は、建設産業におけるデジタル技術の活用とサプライチェーンの変革を推進・啓蒙するため、2024年12月に設立された任意団体です(代表:山梶真司、野原グループ株式会社グループCSMO)。主な活動内容は、建設DXやデジタルツールの活用方法に関する情報発信です。

施工プロセスの情報革新と工業化に取り組み、社会と未来への貢献を目指して、総合建設会社(ゼネコン)、専門工事店、建材メーカー、学識有識者など、あらゆる建設プレイヤーと連携してまいります。


BIM設計-製造-施工支援プラットフォーム「BuildApp」について ※登録商標取得済み

「BuildApp(ビルドアップ)」は、設計事務所やゼネコンが作成したBIM設計データをより詳細なデータに置き換え、各建設工程で必要なデータとして利活用し建設工程全体の生産性向上を実現するクラウドサービスです。

設計積算から製造・流通・施工管理・維持管理までをBIMでつなぐ複数のサービスにより、各プレイヤーに合わせたサービスを提供します。そして、設計・施工の手間・手戻りをなくし、製造・流通を最適化して、コスト削減と廃棄物・CO2削減に貢献します。

「BuildApp」は、建設サプライチェーンの抜本的な効率化と未来へ繋がる成長をサポートし、皆さまと一緒に建設業界をアップデートしていきます。

<私たちがBuildAppで実現したいこと>

  • BIM起点のデータで建設関係者を繋いで連携を生む
  • 工程の可視化や業務の自動化により業界内の無駄を解消する
  • DX による生産性向上や廃材・CO2排出量の削減を目指す建設企業とともに、サプライチェーン を変革し、「建設DXで、社会を変えていく」

<お問い合わせ先>

BuildApp WEBhttps://build-app.jp/
フォーム入力https://build-app.jp/contact/
電話03-4535-1158

参考

第三次 担い手3法の詳細は、国土交通省WEBサイトをご覧ください。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000193.html 

省人化とは、一般的に、単位経済活動あたりの労働時間や人手を減少させること。単位仕事あたりの人間の労力を減少させる省力化とは違う、と言われています。

「建設業」の倒産急増については、株式会社帝国データバンクによる2024年11月3日付け発表内容をご覧ください。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000961.000043465.html 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、経済産業省の定義によれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」を指し、単なるデジタル活用とは区別されています。

サプライチェーンとは、商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことをいいます。

出典情報など

出典:PR TIMES,【独自調査】過去10年で「建設業」の倒産件数が最多ペースで推移する中、「施工業者、職人の確保が難しくなった」との回答が23.3%,
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000307.000019866.html,参照日2024-12-12
元となる個別リリースのURLリンク:https://nohara-inc.co.jp/news/release/9864/