経済産業省など3省、住宅省エネ化に最大200万円の補助金 24年度補正予算で支援拡大

政府は2024年11月29日、住宅の省エネ化を促進するための新たな支援制度を発表しました。経済産業省、国土交通省、環境省の3省が連携して実施するこの制度では、環境性能の高い住宅の新築や既存住宅の省エネ改修に対して、最大200万円の補助金が支給されます。

支援強化の背景

この支援制度は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環として実施されます。11月22日に閣議決定された総合経済対策において、建物の断熱性向上や住宅設備の省エネ化を加速する方針が示されました。特に、エネルギーコスト上昇への対策として、省エネ性能の高い住宅の普及促進が重要視されています。

新設された「GX志向型住宅」への支援

今回の制度で特に注目されるのが、「GX志向型住宅」という新しい区分の創設です。これは、ZEH基準を大きく上回る省エネ性能を持つ住宅で、以下の条件を満たす必要があります。

・断熱等性能等級が6以上

・一次エネルギー消費量の削減率が、再生可能エネルギーを除いて35%以上

・戸建住宅の場合、再生可能エネルギーを含めた削減率が一般地域で100%以上

・共同住宅の場合、階数に応じて50%~75%以上の削減率が必要

GX志向型住宅の新築には、すべての世帯を対象に160万円の補助金が支給されます。

子育て世帯向けの住宅支援

子育て世帯に対しては、以下の支援が用意されています。

■長期優良住宅の新築

・建替の場合:100万円/戸

・新築のみの場合:80万円/戸

■ZEH水準住宅の新築

・建替の場合:60万円/戸

・新築のみの場合:40万円/戸

既存住宅の省エネリフォーム支援

既存住宅の省エネ化については、複数の支援メニューが用意されています。

1. 高効率給湯器の設置支援

・一定基準を満たす高効率給湯器の導入に対して定額補助

・寒冷地での蓄熱暖房機や電気温水器の撤去と組み合わせた場合は追加補助あり

・既存賃貸集合住宅向けには、エコジョーズ等への取替に5~7万円/台の補助

2. 断熱窓への改修支援

・熱貫流率Uw1.9以下等の高性能な断熱窓への改修工事に対して支援

・工事内容に応じて補助率1/2相当、1戸あたり最大200万円まで

3. 開口部・躯体等の省エネ改修

「子育てグリーン住宅支援事業」として、以下の2つのタイプで支援。

・Sタイプ(上限60万円/戸):開口部の断熱改修、躯体の断熱改修、エコ住宅設備の設置の3種すべてを実施

・Aタイプ(上限40万円/戸):上記3種のうち2種を実施

申請手続きの簡素化

これらの支援制度は「住宅省エネ2024キャンペーン」として一括して実施され、3省の補助金をワンストップで申請できるようになります。補助金は工事を行う事業者等の申請に基づき、最終的に住宅所有者に全額が還元される仕組みとなっています。

■対象となる工事

支援の対象となるのは、2024年11月22日以降に着手する工事です。工事の種類によって着手時期の定義が異なります。

・新築注文住宅:建築工事開始時

・新築分譲住宅:住宅の引渡し時

・リフォーム:各種工事の着手時

・断熱窓改修:リフォーム工事全体の着手時

今後の予定

各支援制度の詳細については、今後設置される事務局のホームページで順次公開される予定です。なお、これらの支援措置は、国会での補正予算成立が前提となります。

この支援制度により、住宅の省エネ化が加速し、家庭部門の二酸化炭素排出量削減と、エネルギーコスト上昇に強い住環境の実現が期待されています。

出典情報

経済産業省リリース,住宅の省エネ化の支援強化に関する予算案が閣議決定されました 住宅の省エネ化支援制度案の概要をお知らせします,https://www.meti.go.jp/press/2024/11/20241129002/20241129002.html