竹中工務店、「森になる建築」が世界最大級の生分解性建築としてギネス認定

株式会社竹中工務店(社長:佐々木正人)は、2025年大阪・関西万博の会場内「大地の広場」で建設を進めていた「森になる建築」の3Dプリント構造体が完成したことを発表しました。この画期的な建築物は、生分解性樹脂を使用した世界最大の3Dプリント建築として、2024年10月25日にギネス世界記録TMに認定されています。

世界が注目する環境配慮型の建築技術

「森になる建築」は、万博会期中(2025年4月13日から10月13日)に来場者の休憩施設として利用される仮設建築物です。最大の特徴は、従来の建築物とは異なり、使用後に廃棄物とならず、自然に還ることができる設計となっている点です。構造体には環境に優しい酢酸セルロースが使用され、外装には伝統工芸の職人による和紙と、植物の種をすきこんだ「シーズペーパー」が採用されています。

施設の規模と特徴

建築物は直径4.65メートル、高さ2.95メートルの2棟で構成されています。主な仕上材として、外装には紙と植物の種子・苗が使用され、内装は酢酸セルロース、床には三和土が採用されています。この独創的な設計により、建築物自体が自然の一部となり、環境との調和を実現します。

アイデアの誕生から実現まで

このプロジェクトは、2020年から2021年にかけて実施された竹中グループ内の「日本国際博覧会(大阪・関西万博)パビリオンに関するアイデア」提案コンペで最優秀賞を獲得した「Seeds Paper Pavilion(シーズペーパーパビリオン)」がもとになっています。その後、技術開発体制を構築し、千葉県印西市の竹中技術研究所での試験を経て、2024年4月に実物サイズの出力試験に成功しました。

協業による技術開発

プロジェクトの実現には、多くの企業の協力がありました。主な協賛企業として、素材開発・提供を担当する株式会社ダイセル、3Dプリント機材を提供するエス・ラボ株式会社、部品開発・提供を行う株式会社ニフコ、植栽技術開発を担当する阪神園芸株式会社が参画しています。

今後の展開

現在は構造体が完成し、今後は以下の工程が予定されています。

・伝統工芸の職人による和紙の外装工事

・ワークショップで作成する「シーズペーパー」の取り付け

・福祉施設で作られた和紙の組み合わせ作業

・緑化工事

これらの工程を経て、2025年4月の完成を目指します。

環境への貢献と未来への展望

この「森になる建築」は、単なる建築物としてだけでなく、環境保護と技術革新の象徴として注目を集めています。最先端の3Dプリント技術と日本の伝統工芸を融合させることで、持続可能な未来の建築の可能性を示しています。使用後に自然に還るという特徴は、建築業界における環境負荷低減の新たな方向性を示すものとして、世界中から注目を集めています。

このプロジェクトの成功は、環境に配慮した建築の新しい時代の幕開けを告げるものとして、建築業界に大きな影響を与えることが期待されています。

技術協力企業の体制

協力企業には、3Dプリントコンサルティングを担当する株式会社ブーリアン、植栽実装コンサルティングを行うエスペックミック株式会社、植栽技術開発を担当する株式会社朝日興産、西平レース株式会社、日精株式会社が名を連ねています。

出典情報

株式会社竹中工務店リリース,大阪・関西万博会場内に提供する「森になる建築」の3Dプリントが完了 最大の生分解性の3Dプリント建築(一体造形)としてギネス世界記録TM認定,https://www.takenaka.co.jp/news/2024/11/04/