大成建設が画期的な耐火木材技術を開発、環境配慮と施工効率を向上させ、大臣認定を取得

大成建設株式会社(相川善郎社長)は、環境に優しい建築技術として注目を集める「T-WOOD TAIKA」シリーズの新製品を発表しました。1時間の耐火性能を持つ木質柱・梁の開発に成功し、国土交通省から正式な認定を取得しています。

環境保護と木材活用の新たな展開

近年、地球温暖化対策の一環として、CO2の貯蔵・排出抑制効果のある木材の活用が中大規模建築物でも広がりを見せています。木材は柱や梁などの構造材料として使用することで、温かみのある快適な空間を作り出せる利点があります。

しかし、木材は燃えやすい性質を持つため、大規模な建築物では耐火性能の確保が不可欠でした。これまでは耐火被覆を施すことで対応してきましたが、従来の工法では重量が大きく、作業負担が増えるという課題がありました。また、接着剤を使用する工法では、建物の解体時に木材のリサイクルが難しいという問題も抱えていました。

画期的な新技術の特徴

大成建設が開発した新技術では、従来の重い耐火被覆に代わって「巻付けロックウール」を採用。耐火被覆の重量を大幅に軽減することに成功しました。また、接着剤を使用せずビスでの固定方式を採用することで、施工性の向上と解体時のリサイクルの容易さを両立しています。

主な特長は以下の3点です。

1.軽量化による作業効率の向上

・従来の石こう系材料と比べて9分の1という驚きの軽さを実現

・柱では1平方メートルあたり約16kg、梁では約14kgの重量削減

・高所作業での負担を大幅に軽減し、作業効率を向上

2.環境に配慮した解体とリサイクルの実現

・ビスによる固定方式の採用で、被覆材の着脱が容易

・接着剤を使用しないため、木材の純度を保ったリサイクルが可能

・解体時の作業効率も向上

3.多様な木材に対応可能な柔軟性

・あらゆる樹種に適用可能な設計

・地域の木材を活用する「地産地消」の実現

・建物の意匠に合わせた木材選択の自由度

技術認定と今後の展望

この新技術は、2024年5月に国土交通大臣認定を取得し、建物の1階から4階までの柱や梁に使用できることが認められています。T-WOOD TAIKAシリーズの新たな製品として、木造建築の可能性を大きく広げることが期待されています。

環境への貢献

大成建設は、この革新的な技術を活用することで、以下の効果を目指しています、

・木材利用の促進による CO2 削減効果の向上

・建築現場での作業効率の改善

・建材のリサイクル率向上による環境負荷の軽減

・地域の木材産業の活性化

シリーズの発展

T-WOOD TAIKAシリーズは、これまでに1時間耐火CLT現し耐火壁や1時間耐火鉄骨柱、準耐火鉄骨柱などを開発してきました。今回の新製品追加により、さらに幅広い建築ニーズに対応できるラインナップとなっています。大成建設は、この新技術を積極的に展開することで、環境に配慮した建築物の普及を推進し、持続可能な社会の実現に貢献していく方針です。

木材の特性を活かしながら安全性も確保できる本技術は、これからの建築業界に新たな可能性をもたらすものとして期待されています。今後も同社は、環境保護と建築技術の革新を両立させる取り組みを続け、より良い建築環境の創造に向けて邁進していく考えです。

出典情報

大成建設株式会社リリース,木質耐火技術「T-WOOD® TAIKA」の1時間耐火木質柱・梁を開発し、大臣認定を取得-耐火被覆の軽量化で作業負担を軽減、乾式工法で解体・木材リサイクルを容易に実施可能-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/241105_10192.html