国土交通省、令和6年9月の建設工事受注動態統計調査結果、大幅減少 不動産業からの発注低迷

国土交通省は10月31日、大手建設会社50社を対象とした令和6年9月の建設工事受注動態統計調査の結果を発表しました。建設業界の景気動向を示す重要指標である本調査では、民間工事を中心に受注が大きく減少したことが明らかになりました。

受注総額の状況

受注総額は1兆6,514億円となり、前年同月と比較して21.3%減少しました。これは3か月ぶりの減少となります。内訳を見ると、国内における受注は1兆6,714億円で、前年同月比18.3%の減少となりました。

民間工事の詳細分析

民間工事の受注額は1兆1,835億円で、前年同月比23.6%減となり、2か月連続で減少しました。業種別では以下のような特徴が見られます。
・製造業:前年同月比21.8%増と好調
・非製造業:前年同月比32.8%減と大幅な落ち込み

■発注者別の特徴的な動き
・増加:情報通信業、サービス業、製造業等
・減少:不動産業・運輸業・郵便業・金融業・保険業等

■工事種類による分析
・増加:工場・発電所、倉庫・流通施設、教育・研究・文化施設等
・減少:事務所・庁舎、宿泊施設、建築その他等

公共工事の状況

公共工事の受注額は4,410億円で、前年同月比1.6%増となり、2か月連続で増加を記録しました。内訳は以下の通りです。

発注機関別の動向

■国の機関:前年同月比44.8%増
・すべての機関で増加傾向

■地方の機関:前年同月比53.8%減
・都道府県:増加
・市区町村:減少
・地方その他:減少
・地方公営企業:減少

■工事種類別の特徴
・増加分野:道路、土木その他、治山・治水
・減少分野:倉庫・流通施設、港湾・空港、建築その他

海外工事の動向

海外工事については、3か月ぶりの減少となり、200億円のマイナスを記録しました。

今後の展望

建設業界は依然として不透明な状況が続いていますが、以下の点に注目が集まっています。

・製造業からの受注増加傾向
・公共工事における国の機関からの発注増
・情報通信分野における需要の高まり

データの活用について

本調査結果は、政府統計の総合窓口「e-Stat」で詳細データが公開されています。建設工事の受注動向や公共機関・民間等からの受注工事の詳細(発注者別、業種別、工事種類別、地域別)を把握することができ、建設業界の動向分析に活用されています。

出典情報

国土交通省リリース,令和6年9月の建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)結果,https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001259.html