テクトム、東洋建設にディープラーニング技術を活用したトイレレイアウト自動設計AIを提供開始
株式会社テクトム(本社:東京都渋谷区、 CEO:北村尚紀、 以下テクトム)は、東洋建設株式会社(本社:東京都千代田区、 社長:大林東壽、 以下東洋建設)とデザインの発想プロセスを支援し、建築業界での長時間労働や人手不足の課題に対処するため、テクトムが開発中のAIを使用してトイレレイアウトを自動設計する実証実験を行いました。
本実証実験では、ディープラーニング(深層学習)を用いた画像生成AI技術を適用し、複数のトイレレイアウトの自動設計に成功しました。これを受け、東洋建設では「 AI Design Assistant 」としてトイレレイアウトの自動設計AIの運用を始めます。またテクトムでは、本取り組みの成果をさらに発展させ、より幅広い分野での建築設計の自動化へ展開をしていきます。
本取り組みの背景
建築業界では、年間平均労働時間が長く、人手不足の問題もあり、業界全体を通じて生産性向上と技術継承が求められています。設計業務の意匠設計においては、住居の間取りや、物流倉庫・商業施設等に対してレイアウトの企画設計が行われていますが、案件毎に顧客から様々な要望があり、提案のレパートリーと発想力が求められるため、良質なレイアウトの企画検討に時間がかかる、あるいは短時間に最良なレイアウトにたどり着けないといった課題があります。
このような背景から、東洋建設とテクトムは2021年より打合せを開始し、トイレレイアウトの自動設計AIにおける実証実験を行ってきました。本実証実験では、自動設計AIが生成する多様なトイレレイアウトの提案を通して、設計者のクリエイティブな発想を支援することを目的としています。
本取り組みの内容と成果
本実証実験では、従来の遺伝的アルゴリズムによるアプローチのみではなく、深層学習でのアプローチも用いており、東洋建設の熟練設計者が過去に作成した設計図面およそ1400枚をAIに学習させました。本手法を用いることで、自動設計結果に求める膨大なルールを記述する必要がなく、過去の熟練技術者の傾向を学習した人間らしいデザインを生成することが可能となります。
図1:深層学習によるアプローチをもとにした一連のプロセス
本取り組みの結果、ユーザーが入力したトイレレイアウトの縁取りと男女のエリア指定、大便器の数、小便器の数、便器サイズ等の条件を指定することで、複数のレイアウトを自動生成することに成功しました。
図 2:自動設計AIより提案された複数トイレレイアウトイメージ
これを受けて東洋建設では、AIプラットフォーム”Tektome”を活用した、トイレレイアウトの自動設計AIを「 AI Design Assistant 」として運用を開始します。
今後の展望
テクトムは、2024年度以降においても本取り組みの成果をさらに発展させ、物流倉庫、オフィス、医療施設等、様々な設計領域にレイアウト自動設計AIを展開していく予定です。
株式会社テクトムについて
テクトムは、建築設計AIプラットフォーム”Tektome”を提供するAIソリューション企業です。大規模言語モデル、画像解析、画像生成、点群解析などのAI技術を組み合わせ、企業固有の建築設計データをもとに、建築設計における技術継承及び生産性向上をサポートするプラットフォームを提供しています。
テクトムでは、建築設計に関するAIの研究開発を継続的に進め、蓄積された膨大な設計ノウハウから技能を引き出すAIによる建設DXを実現します。