設備設計専用CADのTfasとは。導入するメリットから活用事例まで解説

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Tfas(ティーファス)は、空調衛生工事や電気設備工事など、設備設計に特化したCADソフトです。とくに設備業界で幅広い活用実績があり、設計から施工までの一貫したデータ管理やBIM連携が強みだといえるでしょう。

この記事では、Tfasの概要や導入メリット、実際の活用事例について解説していきます。これから設備設計専用CADの導入を検討している企業やTfasの利便性をさらに深く理解したい企業は参考にしてみましょう。

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Tfas(ティーファス)は、空調衛生設備工事や電気設備工事に特化したCADソフトです。住宅の建築設計では使用するケースは少ないものの、配線や空調衛生に関する配管設備などで使用されます。Tfasを活用した場合、次のようなメリットがあります。

  • 空調衛生設備設計:ダクトの配置や冷暖房システム、給排水や衛生配管など、建物内の衛生設備設計がスムーズになる
  • 電気設備設計:電力配線や通信配線の経路を容易に設計できる

とくに、初めてTfasを使用した場合であっても、設備設計に必要な記号やダクト、配管などの部品を簡単に設置可能です。そのため、建築工事用のCADを使用するよりもスムーズな設計・図面変更ができるようになります。

Tfasは1969年に設立されたダイテックが開発・管理しています。また、ダイテックに関しては、Tfasだけでなく、石油販売業用のPOSシステムや土木CAD、施工管理アプリなども提供している企業です。

Tfas(ティーファス)の基本的な5つの機能

Tfas(ティーファス)の基本的な機能は次の5つです。

1.設備専用の記号ライブラリとパーツ配置機能

Tfasは、設備設計に必要な専門的な記号やパーツが豊富にある。設備設計用の記号やパーツを簡単に配置できる機能があるため、業界標準のシンボルを活用をスムーズに活用できる。そのため、作図の効率化やエラー防止が可能。

2.BIM連携機能

BIMとの連携が可能。Tfasは、BIMソフトウェアRevitAutodeskとの連携)と互換性があり、設計データを3Dで確認・共有、リアルタイムで変更内容を反映できる。

3.図面作成と配管・配線ルート生成機能(ルーティング)

配管や配線のルートをコマンドを切り替えずに作成できる。たとえば、空調や給排水設備における配管やダクトのルートなどを、障害物を避けながら効率的な経路を設計可能。また、図面に必要な部品や材料のリストも提案されるため、その後の工程でも効率的に使用できる。

4.自動計算機能

空調の風量計算や電気負荷計算、配管の圧力損失計算など、設備設計に必要なさまざまな計算を自動で行える。

5.冷媒管作図/シミュレーション作図

空調衛生設備工事における冷媒管の大きさや分岐も含めて、作図ができる。単線だけでなく、複線や3管式冷媒管の作図や傍記の表示ができる。

Tfasが使用される3つの理由

ここでは、Tfasが使用される3つの理由について解説します。

専門事業者用の機能や記号が揃っている

Tfasには、各業界で標準的に使用される記号や部品のライブラリが揃っています。そのため、ゼロから記号を作成する必要がなく、空調ダクトや給排水配管、電気配線などの配置を効率的に行うことができます。

たとえば、空調の風量ダクトやフィルター、電気設備の照明器具や電線などは簡単に表現可能です。加えて、各業種に伝わる記号を用いているため、情報共有も容易になります。

業務効率化とコスト削減につながる

Tfasは空調、配管、電気設備の配線や配管ルートを自動的に最適化する機能があります。そのため、ルート設計の手間を省くことができ、手動でルートを設定するよりも時間が短縮され、業務効率が向上するといえるでしょう。

また、設計中にエラーや配管の干渉があれば、自動的に表示します。施工段階での手戻りやミスを防げるため、全体的なコスト削減が可能です。

設計から施工までの一貫したデータ管理ができる

Tfasは、作成した設計図と材料リスト、機器リストをリンクできます。そのため、図面の変更があればリストにも自動的に反映され、設計変更後もリストの不一致を防ぎ、正確な材料手配や発注が可能です。

BIMデータを活用し、3Dモデルと情報を統合すれば、関係者全員がリアルタイムで設計データを共有・確認できるようになります。情報共有がスムーズに行われるため、プロジェクト全体の透明性向上や施工ミスの軽減につながるといえるでしょう。

Tfasの活用事例と効果

ここでは、実際の活用事例についてみていきましょう。

大規模オフィスビル建設における空調設備設計の効率化

ある大手ゼネコンでは、これまで空調衛生設備工事の設計に多くの時間を割いており、とくにダクトの配管ルートに頭を悩ませていました。加えて、手戻りなども発生しており、スケジュール遅延も発生しやすい環境でした。

そこで、Tfasを導入した結果、空調設備の設計期間が従来の30%短縮され、施工段階での手戻りも大幅に減少しています。とくに、配管ルートの注意表示・シミュレーションによって効率的な調整ができるようになったことから、コスト削減や時間短縮につながったといえるでしょう。

BIMとの連携による異業種間のスムーズなコミュニケーション

ある大規模な建設プロジェクトでは、建築や設備、電気など複数の業種が同時に作業を行う状況でした。ただし、各業種はそれぞれ異なる設計を行っており、従来のやり方では各業種間での調整作業が煩雑化してしまい、ミスや手戻りが頻繁に発生していました。

また、設計変更が発生した際、変更内容を全チームで共有するのに時間がかかるため、スケジュールが遅延するリスクもある状況だったといえます。

Tfasを導入し、BIM連携機能を活用することで、すべての関係者がBIMデータをリアルタイムで共有できるようになりました。設計の調整や変更が迅速かつ正確に行われるようになり、手戻りやスケジュール遅延もなくなっています。

まとめ

Tfas(ティーファス)は、空調衛生設備や電気設備に特化したCADソフトです。設備設計に必要な専門的な機能や記号が豊富であり、BIM連携や一貫したデータ管理機能が特徴です。

Tfasを導入することで、設計期間の短縮やコスト削減、手戻りの防止といった業務効率が期待できます。

Tfasは設備設計に関わる企業にとって、設計精度を向上させつつ、コスト削減や業務効率化が可能なソフトウェアだといえます。まだ導入していない場合は、導入を検討してみましょう。