特別編:どうする?住宅の2025年法改正!「建築物省エネ法と省エネ計算の計算実例を紹介」
本記事は、連載「どうする?住宅の2025年法改正!」の「第四回:建築物省エネ法と省エネ計算その②」記事内の実例記事となります。まずは本編よりご覧ください。
本稿では、住宅の省エネ基準である①外皮計算(外皮平均熱貫流率UA値と冷房期平均日射取得率ηAC値)と②一次エネルギー消費量計算を、実際に神奈川県(6地域)に計画された高性能住宅の例を挙げて、具体的な解説します。
外皮計算の実際
住宅の省エネ基準が①外皮計算(外皮平均熱貫流率UA値と冷房期平均日射取得率ηAC値)と②一次エネルギー消費量計算であることは前回解説しましたが、実際の計算について解説します。
外皮計算は外皮平均熱貫流率(UA値)は以下のような順番で計算をします。
①それぞれの部位(屋根・外壁・床・基礎・開口部など)の面積を拾う。
②それぞれの断熱部位の熱貫流率を計算(部材の厚み/材料の熱伝導率)
③部位ごとの熱損失量を計算(面積×熱貫流率)
⑤その合計を外皮面積全体で割る(総熱損失量/外皮面積の合計)
国が無償提供している外皮計算ソフト、もしくは市販のCADソフトに外皮計算機能が組み込まれているか、どちらかであることが一般的です。国のソフトには現在3種類ほどがありますが、実際は住宅性能表示評価協会からリリースされているソフトを使うケースが多いようです。
神奈川県(6地域)に計画された高性能住宅の例を挙げて、具体的な解説をご紹介いたします。
屋根: セルロースファイバー300mm
外壁: 充填高性能グラスウール16k100mm+付加ネオマフォーム40mm
床 : ネオマフォーム90mm
窓 : UNILUX(ドイツ製樹脂トリプルLow-E1層アルゴンガス入)UW0.86w/㎡k、η:0.53
外皮計算結果はこちら
一エネ計算結果はこちら
・UA値は基準0.87W/㎡kに対して0.34W/㎡k、
・冷房期日射取得率は基準3.0に対して1.7
・一次エネルギー消費量は基準89.7GJに対して59.3GJ、BEI(削減率)が0.67です。
来年度から義務になるのは外皮は等級4の0.87W/㎡k、一次エネは等級4のBEI1.0以下です。
このサンプル住宅は省エネ基準に適合しており、且つ外皮が0.34W/㎡kで等級6、一次エネはBEI0.67で等級6ということになります。