CAD NXとは。住宅業界における設計と提案業務を効率化するための方法を解説

掲載日:
Category:

住宅業界でも活用されているCAD NXは、精密な3Dスキャンとシミュレーションが特徴です。設計においては、正確なプランニングを行ったり、顧客への提案がしやすくなるといった声もあります。

しかし、実際にCAD NXがどのようなものなのかを把握していないというケースもあるでしょう。そこで、この記事では、CAD NXの概要や活用事例をみていきましょう。

「トレンドワード:CAD NXとは」

CAD NXは、Siemens Digital Industries Softwareが提供する3D CADソフトウェアです。2Dの製図も可能であり、多くの場合は、自動車や航空宇宙、機械製造といった工業分野で利用されています。住宅業界では、高度なモデリング機能やシミュレーション機能に注目されています。

たとえば、次のような活用方法が可能です。

  • 新築戸建て住宅のデザインをわかりやすく提案する
  • リフォーム・リノベーション工事の結果の提示する
  • デザインの意図を顧客にわかりやすく解説する

CAD NXの主な機能

CAD NXの主な機能は、以下のような機能が代表的です。たとえば、設計中のモデルに対して、リアルタイムで高品質な画像としてレンダリングできます。そのため、完成イメージを視覚的に確認でき、顧客にも説明しやすくなります。

3Dモデリング

  • サーフェスモデリング:曲面や複雑な形状のデザインを可能にする。建物の外観やインテリアデザインに利用できる
  • ソリッドモデリング:立体的なオブジェクトを構築する。建築物の構造設計や部品の設計に役立つ
  • パラメトリックデザイン:寸法や形状をパラメータ化し、簡単にデザインを変更・再利用できる

シミュレーションと解析

  • 構造解析:建物や建材が衝撃を受けた場合に、どのように変形するかをシミュレーションできる。耐久性の確認に役立つ。
  • 熱解析:設計対象が熱にどう反応するかをシミュレーションできる。断熱性能やエネルギー効率を評価できるため、ZEBやZEHの設計に役立つ。
  • 環境シミュレーション:太陽光や風、エネルギー効率などの環境要因をシミュレーションできる。建物の快適性やエネルギー効率の向上を図れる。

BIMの活用

  • BIMデータの一元管理:設計データをBIMシステムと統合できるため、建物のライフサイクル全体で情報を管理可能。設計や施工、維持管理が効率的になる。
  • 施工図や材料表の自動生成:設計データから必要な図面や材料リストを自動で生成する。そのため、施工の材料確保や発注がしやすくなる。

住宅業界におけるCAD NXの重要性

住宅設計では、正確で詳細なモデリングが求められます。CAD NXは、シミュレーションやBIMも活用できるため、住宅設計プロセスの効率化が可能です。住宅業界でCAD NXを利用することで、設計品質の向上や施工プロセスの効率化、時間的コスト削減につながります。

また、CAD NXは建物の外観や内装、家具など、詳細な3Dモデルを作成できます。そのため、顧客に対して、デザインの意図を明確に伝えやすくなります。また、設計段階の変更に柔軟に対応できるため、顧客のアイデアを即座にビジュアル化するといった使い方も可能です。

住宅業界でCAD NXを活用する3つのメリット

ここでは、住宅業界でCAD NXを活用するメリットについてみていきましょう。

高度な3Dモデリング機能が使用できる

CAD NXが持つ高度な3Dモデリング機能は、住宅作りのプロセスをよりスムーズにすることが可能です。住宅の外観や内装の複雑な形状を正確に表現できるため、設計者は顧客に対して、これまで以上に訴求力のあるプレゼンや提案を行えます。

環境シミュレーションと解析ができる

今後の住宅設計では、建物のエネルギー効率や快適性を向上させるための環境シミュレーションが重要です。CAD NXは次のようなシミュレーションが可能であるため、スムーズなエネルギー効率の計算や耐久性の計算ができるようになります。

  • 太陽光の影響や風の流れ、熱伝導などの環境要因などのエネルギー効率や断熱性
  • 建物や部品が力を受けた場合の耐久性

たとえば、ZEHの要件を満たすための設計や構造シミュレーションに関しては、スムーズに実施・解析ができるようになります。

BIMを活用できる

CAD NXはBIMに対応しており、設計から施工までのデータを一元管理可能です。仮に、設計変更があった場合でも、迅速に施工データに反映されるため、設計・施工コストの削減につながります。

また、データが連携しており、どのような状態か把握しやすいことから、施工時の安全性確保や竣工後の保守・管理も実施しやすくなります。

CAD NX活用事例

ここでは、CAD NXの導入事例についてみていきましょう。

住宅設計会社でのCAD NXの活用

ある住宅設計会社では、CAD NXを導入し、複雑なデザイン要件をスムーズに処理できるようになっています。たとえば、高級住宅の設計プロジェクトでは、詳細なモデリングとリアルタイムのレンダリング機能を活用し、顧客に対するデザイン提案がスムーズに進行できました。

とくに提案後の修正がスムーズになったことから、設計時間の短縮や施工までのプロセス短縮につながっています。

リフォームやリノベーション事業における利用

ある住宅メーカーでは、リフォームやリノベーション事業においても、CAD NXを活用しています。既存建物に詳細な図面がなかったとしても、リバースエンジニアリング機能によって、既存建物を3Dスキャンできるため、正確なモデルを作成可能です。

CAD NXでは、新規デザインを作成・シミュレーションする場合も既存の構造や配置を意識したデザインにすることも可能です。結果として、設計の工数や時間を大幅に削減できるようになりました。

まとめ

CAD NXは、住宅業界において、設計と提案業務を効率化するために活用されています。高度な3Dモデリング機能やシミュレーション機能があるため、設計の精度を高め、顧客に対してより満足度の高いデザインの提案が可能になります。

また、BIMと統合できるため、設計から施工までのデータの一元管理、プロジェクトの全体的な効率化とコスト削減も可能です。「設計や提案に時間が掛かり過ぎる」といった場合には、CAD NXの活用を検討してみましょう。