無料で使用できるCAD5選。2D・3Dで使い分けよう

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建設・住宅業界では、多様なCADを使用し、設計や施工の効率化を図っています。それぞれのCADは、建築設計や土木工事、設備設計など特定の用途に特化しています。そのため、会社によって使用するCADが異なるケースも多いといえるでしょう。

そこで、今回は無料で使用できるCADを5つみていきます。2Dのみ、2D・3Dどちらにも対応しているものもあるため、自社の提供するサービスを検討したうえで使用してみましょう。

「トレンドワード:無料 CAD」

CADは、無料で使用できるものと有料でしか使用できないものに分かれます。無料CADは下書きや練習、有料CADは提出書類を作成するといった使い分けを行っている事業者も多いでしょう。また、2Dや3Dに特化しているものも多いため、CADの種類を把握しておくことは大切だといえます。

使用するCADによっては、顧客への提案や説明に使用できるものもあるため、使い分けを意識しましょう。

1.Jw_CAD

Jw_cadは、日本国内で開発された無料の2DCADソフトウェアです。2Dの建築図面や製図に特化した直感的な操作が可能な点が特徴です。

1997年7月に、設計で活躍していた清水治郎氏・田中善文氏の2名によって開発されました。バージョンアップが繰り返されており、現在は2022年の8.5までリリースされています。

基本的な機能は以下のとおりです。

  • レイヤー管理:複数のレイヤーを管理し、効率的に図面を整理できる。
  • 寸法記入:正確な寸法の記入が可能。
  • ブロック作成:繰り返し使用する図形をブロックとして登録し、再利用もできる。
  • ファイル互換性:DXFファイル形式のインポートとエクスポートが可能。

また、公式サイトやユーザーコミュニティによって多くのチュートリアルやマニュアルが提供されているため、初心者でも使用しやすいといえるでしょう。とくに、基本的な平面図や立面図を使用する、建築設計・土木設計ではふれる機会が多いCADソフトです。

2.FreeCAD

FreeCADは、オープンソースの3DCADです。オープンソースソフトウェアであるため、世界中の開発者コミュニティによってメンテナンスされています。開発者はJürgenRiegel氏、WernerMayer氏、YorikvanHavre氏の3名です。

基本的な機能は以下のとおりです。

  • 3Dモデリング:Parametric(パラメトリック)モデリングをサポートしており、モデルの各部分をパラメータで定義し、後から簡単に変更できる。
  • Sketcher:2Dスケッチを基に3Dモデルを生成する。寸法や拘束条件を設定できる。
  • パートデザイン:機械設計に特化したツールセットで、ボディの作成、編集、結合なども可能
  • FEM(有限要素法)解析:メッシュ作成や応力解析、熱解析が可能
  • 建築設計用のツールセットがあるため、BIMにも対応

機械設計の部品や建築モデルの作成・解析に使用されるCADだといえます。ただし、機能についてのマニュアルがないケースもあります。そのため、近くに機能を知っている設計者がいるか、オンラインなどで聞ける体制がなければ問題の解決が難しい点は知っておきましょう。

3.Blender

Blenderは、オープンソースの3Dグラフィックスソフトウェアです。厳密には、CADの代用として使用できるソフトウェアだといえるでしょう。多くの機能があるため、建設業でもさまざまな用途で使用されています。トン・ローセンダール氏によって、1988年にリリースされ、以後20年以上使用され続けています。

Blenderの基本的な機能は、以下のとおりです。

  • 3Dモデリング:メッシュ、スカルプト、カーブなどの多様なモデリング手法が可能。建築モデルや構造物の詳細な3D設計が可能。
  • レンダリング:内蔵レンダラーとしてCyclesとEeveeを提供している。そのため、高品質なレンダリングができ、リアルな建築シミュレーションが可能。
  • アニメーション:建設プロジェクトの進行状況や施工手順をアニメーションで表現可能。また、ビデオシーケンサーを内蔵しているため、建設プロジェクトの紹介動画やプロモーションビデオを作成できる。

建築物のシミュレーションや施工のシミュレーションなどでは、実際にBlenderを使用する事例などもありました。今後、3Dによるシミュレーションや映像によるプレゼンが必要となる場合には役立つソフトウェアだといえるでしょう。

4.AutoCAD 360

AutoCAD 360は、アメリカのソフトウェア企業であるAutodeskによって開発されました。1985年代には、3DCADをリリースしており、35年以上の歴史があるソフトウェアとして知られています。また、無料で使用できる条件は以下のようになります。

  • 30日間の体験版を使用する
  • 学生・教育機関、スタートアップで収入が10万ドル以下であれば、1年間無償で利用できる(無料ライセンス登録)

基本的な機能は以下のとおりです。

  • 2D・3Dモデリング:基本的な2D図面の作成、編集、および3Dモデリングが可能。
  • クラウドストレージとの統合:図面をクラウドストレージに保存できる。そのため、どこからでもアクセス可能。主要なクラウドストレージサービス(GoogleDrive、OneDrive、Dropboxなど)と連携。
  • リアルタイムコラボレーション:複数のユーザーが同時に図面を閲覧、編集できる機能。チームでの協力作業が効率的に行える。
  • ファイル互換性:AutoCADのネイティブファイル形式であるDWGの読み書きが可能。AutoCADとのシームレスなデータ交換が可能。
  • 基本的な描画ツール:線、円、ポリライン、テキスト、寸法記入などの基本的な描画ツールが使用できる。

2Dから3Dまで対応できることに加え、インターネットがあればどこからでもアクセスできます。ICT施工や複数人での共同編集にも対応できるため、大規模な工事現場でも活用できるでしょう。

ただし、シミュレーションや拡張機能へのアクセスは制限があるため、必要な場合はサブスクリプションへの課金が必要です。

5.TinkerCAD

Tinkercadは、Autodeskが提供している3DCADです。元々、別の企業が開発していたものの、Autodeskが買収したことでツールの提供・開発が続けられています。

基本的な機能は以下のとおりです。

  • 3Dモデリング:ブラウザベースの簡単な3Dモデリングツール。形状の作成、編集、結合が直感的に行える。
  • ドラッグ&ドロップインターフェース:図形をドラッグ&ドロップして配置することで、初心者でも簡単に3Dモデルを作成できる。
  • 複雑なモデルの作成:立方体、球、円柱、円錐などの基本形状を利用して、複雑なモデルを作成できる。
  • グループ化と穴あけ:複数の形状をグループ化して一体化、形状を使って他の形状に穴をあける操作が可能。
  • コードブロックの実装:モデルの生成や変更を自動化する。

とくにシンプルな3Dモデルを作成する場合には、役立つCADだといえるでしょう。

まとめ

さまざまなCADは、インターネットベースの柔軟なアクセスやリアルタイムコラボレーション、高度な2Dおよび3Dモデリングを可能としています。とくに、設計図の作成・編集、共有が容易になるため、建設プロジェクトの効率化と品質向上につながるといえるでしょう。

CADは、特定の用途やニーズに合わせて最適化されていることから、自社の業務範囲に合わせて適切なものを選択することが大切です。