2024国交省予算概算発表|住宅関連予算は?

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著者:小日向

トレンドワード:2024年度国土交通省予算

「2024年度国土交通省予算」についてピックアップします。内閣では「異次元の少子化対策」を掲げており、子育て世帯の住宅購入を促すための住宅ローン引き下げ等の項目が目立ちます。来年度の住宅関連の動向をチェックしておきましょう。

国土交通省予算とは?

本記事では、「令和6年度国土交通省予算概算要求概要」から建設DX関連の内容をご紹介していきます。「概算要求」とは、国土交通省が行う翌年度の予算要求のことを指します。都市局、道路局、住宅局…などの各部局ごとにかかる経費をまとめ、毎年財務省宛てに提出しているものです。

令和6年度国土交通省予算の基本方針・概要

令和6年(2024)年度の国土交通省予算は7兆389億円で、昨年度の1.19倍となっています。全体の予算は、主に下記3つのポイントを柱に組まれています。

  • ①国民の安全・安心の確保
  • ②持続的な経済成長の実現
  • ③個性をいかした地域づくりと分散型国づくり

またいよいよ「物流2024年問題」を控えていることから、モーダルシフトを強力に推進するための環境整備・再配達削減に向けた取り組みへの経費も検討される予定です。物流関連のDX化については、下記記事をご覧ください。

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住宅関連の予算

ここでは、住宅関連の予算についてご紹介します。令和6年度住宅局関係予算は、約3兆2022億円です。

住宅局の予算のポイント

令和6年度住宅局関係予算については、以下の分野における施策を中心に重点的に取り組まれる予定です。内閣では2023年1月に「異次元の少子化対策」を掲げており、将来的な子ども予算倍増に向けた考えを表明しています。これを受けて、住宅分野でも子育て支援に繋がる分野の予算が目立ちます。

  • 1.誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保
  • 2.住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現
  • 3.住まい・くらしの安全確保、良好な市街地環境の整備
  • 4.既存ストックの有効活用と流通市場の形成
  • 5.住宅・建築分野の DX・生産性向上の推進

1.誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_003149.html

具体的には「UR賃貸住宅を活用した近居による子育て支援」や、「住宅金融支援機構による子育て支援」の拡充が行われる予定です。

安心して子育てできる環境整備を図るため、緑豊かで子育て環境に優れたUR賃貸住宅を活用した近居を促進します。また子育て世帯とこれを支援する親世帯等が近居する場合における家賃減額制度(近居割)について、支援を強化します。

さらに「こども未来戦略方針」の内容を踏まえ、子育て世帯等が無理なく質の高い住宅を取得できる環境を整備するため、住宅金融支援機構の提供する「フラット35」等について、金利の引下げ等の制度見直しを行います。

2.住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_003149.html

カーボンニュートラルに関しては、「住宅局所管補助事業における省エネ基準適合」、「中大規模木造建築の普及加速化に向けた支援」といった取り組みが、昨年から継続して行われます。

令和4年度から、新築の住宅・建築物については「民間事業者等が行うものは省エネ基準適合、公的主体が行うものはZEH・ZEBレベルの省エネ水準適合」等が原則求められています。

また中大規模木造建築の普及に資する優良なプロジェクトに対して支援を行うとともに、技術開発に対する支援への重点化も予定されています。「木造化」はトレンドとなっており、高層木造建築の事例も増えています。木造建築物について詳しくは、下記記事をご覧ください。

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3.住まい・くらしの安全確保、良好な市街地環境の整備

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_003149.html

「建築物耐震対策緊急促進事業、住宅・建築物耐震改修事業」等が行われます。具体的には、大規模な建築物や緊急輸送道路の沿道の建築物等の耐震化をさらに促進するため、建築物耐震対策緊急促進事業等による支援の強化を行います。

4.既存ストックの有効活用と流通市場の形成

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_003149.html

「空き家対策総合支援事業、空き家再生等推進事業」、「フラット35における移住支援」の拡充等が行われます。

人口や世帯数の減少を背景として、全国的に空き家が増加しています。子育て世帯に対する住宅支援の強化や移住・二地域居住の促進のため、空き家の活用促進に係る取組への支援等を強化します。また、空き家対策におけるDXの推進に向けた取組強化も予定されています。

さらに東京一極集中の是正に向けた取組みとして、住宅金融支援機構の提供する「フラット35」の金利引下げ制度「フラット35地域連携型」を拡充し、地方への移住者を対象とした金利引下げによる住宅取得支援を強化します。

5.住宅・建築分野の DX・生産性向上の推進

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_003149.html

国土交通省では、建築生産プロセスの効率化や建築物の質の向上に資する建築BIM(建築物の設計、施工、維持管理に関する情報を一元化した3次元データ)の普及を推進しています。

BIMの社会実装をさらに加速化するため、中小事業者等が建築BIMを活用する建築プロジェクトへの支援を行うとともに、建築BIMによる建築確認を可能とする環境整備等の取組を進めます。

令和6(2024)年度予算概算要求額は、「建築BIM活用総合推進事業」に4.5億円、「建築BIM加速化事業」に80億円となっています。そのため、令和5(2023)年度と同様の事業が行われる可能性が高いでしょう。昨年度の事業内容について詳しくは、下記記事をご覧ください。

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まとめ

特に首都圏では住宅価格が高騰していることから、子育て世帯の住宅購入を促す取り組みが求められています。フラット35の金利引き下げや空き家の利用など、子育て支援に関する施策に注目です。