ペロブスカイト太陽電池とは|実用化時期や課題

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「ペロブスカイト」についてピックアップします。次世代の太陽光発電システムとして注目されており、技術開発が進められています。本記事ではペロブスカイトのメリットや課題、具体事例について詳しくご紹介します。

ペロブスカイト太陽電池とは

出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/green_innovation/green_power/pdf/006_03_00.pdf

ペロブスカイト太陽電池は日本発の次世代太陽電池技術で、従来のシリコン太陽電池に比べて低コストという点が注目されています。この技術には、ペロブスカイト構造と呼ばれる結晶構造を持つ材料を使用して、光を電気エネルギーに変換する仕組みが応用されています。

再生可能エネルギー分野において重要な役割を果たす可能性がある技術で、今後の研究と開発に注目が集まっています。

ペロブスカイト太陽電池のメリット

ペロブスカイト太陽電池のメリットとしては、下記の点が挙げられます。

  • 軽量
  • 曲面への設置可能
  • 主原料を日本で産出可能
  • 低コスト
  • 環境負荷低減

ペロブスカイト太陽電池は軽くて曲面にも設置可能なことから、ビルの壁面といった新たな設置場所での活用が期待されています。将来的には日傘やリュックサックといった携帯デバイスへの応用など、フレキシブルなデザインも可能です。

また製造プロセスが比較的単純で、低コストな点も魅力です。ペロブスカイトの主材料であるヨウ素は日本が世界2位のシェアであることから国内生産が容易で、低コスト化に繋げられます。こういった特性により太陽光発電の一般普及が進むことで、化石燃料の使用を減少させ、環境への負荷を低減できます。

ペロブスカイト太陽電池の取組事例

ここでは、ペロブスカイト太陽電池の具体的な取組事例をご紹介します。すでに、実用化に向けた本格的な運用がスタートしています。

①パナソニック|ガラス建材一体型ペロブスカイト

パナソニックは、ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池のプロトタイプを開発しました。この「発電するガラス」を神奈川県藤沢市にあるモデルハウス「Future Co-Creation FINECOURTⅢ」の2階バルコニーに設置し、2024年11月まで長期実証実験を行う予定です。

従来の結晶シリコン系の太陽電池では、透光性やデザイン面の観点から窓などのガラス部への設置が課題でした。しかしガラス建材一体型のペロブスカイト太陽電池なら建物に違和感なく溶け込み、美観も損ねません。今後、複層窓やカーテンウォールへの応用も検討されています。

②三井不動産レジ|住宅用ペロブスカイト

三井不動産レジデンシャルは、京都大学発のスタートアップ・エネコートテクノロジーズと、住宅におけるペロブスカイト太陽電池の活用に関する共同研究を開始しました。

2023度中に、三井不動産レジ供給マンションの共用部分における照明や家具、居室内のインテリアにペロブスカイト太陽電池を設置する予定です。日中の太陽光を蓄電することで、夜間利用などへの活用が計画されています。

③積水化学工業|国内初・外壁にペロブスカイト実装

2023年10月、積水化学工業は国内で初めてペロブスカイト太陽電池を壁面に実装しました(設計施工:大林組)。本社のリニューアル工事に合わせて設置することで、ビルの環境負荷低減を図ります。

またペロブスカイト太陽電池による発電量のモニタリングや経年変化など、長期的な品質評価に活用する予定です。

実用化はいつ?国のペロブスカイト関連事業

岸田首相は10月3日に行われた企業幹部との意見交換会の中で、ペロブスカイト太陽電池について「2025年の実用化を目指す」という考えを表明しました。各省庁でも、実用化に向けた取り組みが進められています。

経産省|2030年にペロブスカイトを社会実装へ

経済産業省では、2030年の社会実装に向けてペロブスカイト太陽電池の活用に向けた取り組みを行っています。具体的には「次世代型太陽電池実用化事業」を立ち上げ、製品レベルの大型化を実現するための各製造プロセス(例えば塗布工程、電極形成、封止工程など)の個別要素技術の確立に向けた研究開発を行います。

事業期間は2021~2025年度までの5年間とし、ナノレベルで均一に塗布する技術など、各製造プロセスにおける要素技術を開発する予定です。開発には積水化学工業、東芝といった企業が参画します。

環境省|2024年度から補助金導入

出典:環境省ウェブサイト(https://www.env.go.jp/content/000156332.pdf

環境省の2024年度予算には「新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業」が盛り込まれています。

この中の「窓、壁と一体となった太陽光発電の導入加速化支援事業」では、建材一体型の太陽光発電の設置に補助金が交付される見込みです。補助率は2/3、1/2で、実施期間は2024~2025年度が予定されています。

ペロブスカイト太陽電池のデメリット・課題

ペロブスカイトにはメリットが多いですが、課題もあります。

  • 外的影響による不安定性
  • 発電効率アップの必要性
  • 大型化・耐久性向上の課題
  • 毒性物質の使用

ペロブスカイトは、水分や酸素といった条件による外的影響を受けやすいのが特徴です。また変換効率に関しても、従来の太陽光発電が20%程度なのに対し、ペロブスカイトは15%程度とまだまだ低くなっています。

そして現在ペロブスカイトの製造方法は確立していないため、大型化・耐久性向上のための技術開発が求められています。また原料として有毒な鉛が含まれることから、環境負荷も懸念されています。

まとめ|ペロブスカイト太陽電池に期待

ペロブスカイト太陽電池は、次世代技術として期待されています。小型で軽量なため、今後は一般住宅の外壁や家具といった分野にも広がっていくでしょう。社会実装に向けた実用化の必要性が迫っており、技術開発に注目です。

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