宅配ボックスで「ラストワンマイル」解消|戸建てでの後悔と解決策も
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「宅配ボックス」についてピックアップします。最近では物流の人手不足が問題となる中で、宅配ボックスの需要が増加しています。本記事ではマンションや戸建てにおける対策やDX活用事例について、詳しくご紹介していきます。
ラストワンマイル問題とは
「ラストワンマイル」とは、商品やサービスが消費者に届けられるまでの最終区間のことを指します。具体的には配送センターや倉庫から自宅やオフィスまでの区間のことを指し、物流全体の中でも特にコストが高く、効率化が難しいのが特徴です。
配達距離が短いにもかかわらず、1軒ごとの配達に人手がかかるため、配送効率が低くなりがちです。また都市部では交通渋滞や複数の配送業者による重複配達で、CO2排出が増える要因となります。
ラストワンマイルの問題は、物流業界だけでなく環境問題や都市設計にも影響を与える重要なテーマです。そのため、技術革新や社会的な取り組みを通じた解決策の模索が進められています。
ラストワンマイルの原因
ラストワンマイルの問題は、下記のような原因で発生していると考えられます。そのため社会状況を鑑みて、適切な対策を行う必要があります。
配達量の増加
インターネット通販の急速な普及により、個人向けの配達需要が急増しています。特に食品や日用品などの即日配送サービスの拡大が、物流の負荷を増大させているのが現状です。
配達件数が増えることで、従来の物流インフラでは対応が追いつかなくなっています。また都市部では交通渋滞や配達効率の低下を引き起こすこともあり、解決が求められます。
人手不足
生産年齢人口の減少により、人手不足が課題となっています。また配達業務を担うドライバーや物流スタッフの高齢化と、新規労働力の確保の難しさも問題です。
さらに労働条件の厳しさや長時間労働により職業としての魅力が低下しており、配達員1人あたりの業務量が増えることで過労や離職率の上昇も招いています。
再配達の増加
配達日時の指定サービスを利用していない場合、配送のタイミングが合わないケースが多いです。そのため不在の場合、商品が受け取れず再配達が必要になります。
これにより物流コストが増加するだけでなく、人手不足の問題がさらに顕在化しているのが課題です。特に都市部ではラストワンマイルの効率化が難しいため、物流全体のコストや環境負荷が増す負のスパイラルに陥りやすくなっています。
ラストワンマイル対策|DX活用事例も
ここでは、配達でのラストワンマイル問題を解決するための具体事例をご紹介します。DX技術を活用することで、幅広い問題解決につながります。
国交省|大型マンションの駐車場設置義務化
最近増加しているタワーマンションでは、路上駐車が長引き交通渋滞を引き起こすことが課題となっています。駐車スペースがない場合、離れたコインパーキングに駐車して荷物を運ぶ必要があるため負担が増加してしまいます。
そのため国土交通省は「標準駐車場条例」を改正する方針を示しました。具体的には、大型マンションの敷地内に「荷さばき駐車場(荷物を運ぶための専用駐車場)」を設置することを義務付けるものです。
これにより、配達効率の向上や路上駐車を減らして交通渋滞を防ぐことにつなげます。既存マンションや小規模な新築マンションでは、住民用駐車場が余っている場合にそれを荷さばき駐車場として利用するよう促します。
大和ライフネクスト|マンション内配送サービス
大和ライフネクストは、「マンション内配送サービス」の実証実験を開始しました。これは物流業界におけるラストワンマイル問題の解決や、マンション居住者の利便性向上を目指す新たな取り組みです。
具体的な流れは、下記のようになっています。
- 1) マンション管理員が宅配会社(日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便)の荷物を全住戸分一括(※)で受け取り、専用倉庫に納品。
- 2) マンションを熟知した管理員が、宅配会社に代わって各住戸に荷物を配達。不在の荷物は、マンションごとの管理ルール内で宅配ボックス・置き配を積極的に活用。
- 3) 上記の方法でも配達できなかった荷物は、管理事務室および専用倉庫で一時的に保管。管理員の業務時間内であれば管理事務室(受付)でいつでも受け取り可能(宅配ボックスへの配達時と同様に、不在票を投函し居住者にお知らせ)。
※冷蔵・冷凍・代引き・郵便物(書留含む)・貴重品便等の一部の荷物を除く
将来的には配送管理アプリを開発し、「宅配会社からの荷物の受け取り」および「居住者への荷物の配達」の記録も可能にしていく予定です。
JDSC|不在配送ゼロ化AI
AI・データサイエンスでDXを支援するJDSCは、「不在配送ゼロ化AIプロジェクト」を開発しました。これは各戸に設置されたスマートメーターから取得される電力データをAIが学習し、配送時刻における在宅予測に基づいて優先的に配送するルートを自動生成するシステムです。
人工知能が不在先を回避するルートを配送者に示したことにより、配送成功率は98%というデータが得られています。また人の判断で配送した結果と比較すると、現状発生している不在配送の9割以上が削減されることが実証されました。
さらに、これまで特定されていた“不在”というプライバシー情報が配送者に伝わることがなくなり、より個人情報保護が強化されるというメリットもあります。
デジタル宅配ボックス
LIXILでは「スマホとリンクもできる宅配ボックス」を販売しています。+IoTの技術で進化した最先端の商品では、スマートフォンと連携することで通知機能や録画・視聴機能、遠隔操作が可能になっています。
また宅配業者のサービスを利用すれば、宅配ボックスから荷物を発送できます。集荷用のパスワードが設定できるので、セキュリティも安心です。フリマアプリ等に出品する場合は集荷依頼が多くなるケースがあるため、便利に活用できます。
戸建宅配ボックスでよくある後悔と解決策
ラストワンマイルには宅配ボックスの活用が有効ですが、下記のような後悔が生じるケースもあります。そのため解決策を知ることで、適切に対策しましょう。
サイズが大きすぎた
実際の使用頻度や荷物の種類に比べて大きな宅配ボックスを設置してしまうと、庭や玄関スペースを圧迫することがあります。
この場合、事前に必要なサイズを確認することが重要です。最近ではスリムタイプや埋め込み型など、省スペースで設置可能な製品も登場しているため検討してみましょう。
荷物が盗難されてしまった
宅配ボックスのロックが簡易的だと、悪意のある第三者に荷物を盗まれるリスクがあります。特に設置場所が通行人から見える位置だと、盗難リスクが高まるため注意が必要です。
できれば配達員が鍵をかけて施錠するタイプや、スマートロックなどを採用するようにしましょう。加えて防犯カメラやセンサーライトを併設すると、さらに効果的です。
設置費用が掛かる
宅配ボックスそのものの購入費用に加えて、設置工事費用(地面の整備や固定)が必要な場合には費用が高くなってしまいます。
費用重視の場合には、工事不要で地面に置くだけの簡易型や、家の壁に直接固定できるタイプが手軽で低コストになります。また一部の自治体では、防犯や環境負荷軽減を目的とした宅配ボックス設置への補助金制度を提供している場合があるので確認してみましょう。
まとめ
最近では宅配需要の増加により、マンションへの荷さばき駐車場設置や宅配ボックスの活用が注目されています。最近のAIを用いた対策も登場しており、さらなる技術開発が期待されます。