団地のリノベーションとは|無印良品の取組事例やメリット・注意点まとめ
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トレンドワード:団地のリノベーション
「団地のリノベーション」についてピックアップします。テレビドラマ等で団地暮らしの注目が高まっている中で、地域課題を解決する手段として「団地再生」の取り組みが行われています。そこで本記事では、団地のリノベーション事例やメリット・注意点についてご紹介します。
団地のリノベーションが人気
最近では団地を舞台にしたテレビドラマが話題となっており、「団地暮らし」が注目されています。団地のレトロなデザインやシンプルな間取りは、近年のミニマル志向やヴィンテージブームにマッチしています。個性的な空間を楽しむために、あえて古い団地を選んでリノベーションする人も多いです。
これには、新築住宅価格の高騰も関係しています。新築物件に比べて価格が手ごろで、購入後にリノベーションすることで理想の住まいを実現できるのが大きなメリットです。
特に都市部での団地再生プロジェクトが増えており、このトレンドはさらに広がりを見せると考えられます。
団地とは|簡単に解説
ここでは、団地の概要や特徴について簡単に解説します。
団地の概要・歴史
一般的に「団地」とは、1950〜70年代の高度成長期に建設された集合住宅のことを指します。都市の住宅需要を満たすために、郊外や都市部に大規模に開発されました。
建築当時は団地生活が「理想的な生活空間」と支持され、最先端でおしゃれな住宅とされていました。しかしその後人口減少や老朽化が進むとともに団地の需要が減り、近年はリノベーションによる再活用が進められています。
団地とマンションの違い
団地は、UR都市機構や自治体が管理しているものが多いのが特徴です。一方でマンションは管理組合が存在し、住民自らが管理に関与するという違いがあります。
また団地は「住むための場所」として経済的に利用されるケースが多いですが、マンションは資産価値としての側面も重視される傾向があります。このように団地とマンションにはそれぞれの特徴があり、生活スタイルや価値観に応じて選ばれています。
団地のリノベーション事例|おしゃれな暮らしを低価格で実現
ここでは、実際に団地をリノベーションしている事例をご紹介します。おしゃれさや快適性を重視している事例も多く、団地のイメージが変革しつつあります。
無印良品|MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト
無印良品とUR都市機構は、2012年より共同で「MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト」を行っています。築年数の古い団地をおしゃれにリノベーションすることで、若い世代が入居するきっかけを作り出しています。
具体的には団地住戸のリノベーションといった空間構成だけでなく、設備や部材アイテムについても開発してきました。床材や建具、水まわりに至るまで、その数は10以上に及びます。
現在では千葉県千葉市の花見川団地等、周辺の屋外施設や商店街区までリノベーションの対象を広げる「団地まるごとリノベーション」にも取り組んでいます。地域コミュニティの形成にも取り組むことで、団地を拠点とした地域の生活圏を活性化するのが狙いです。
ビレッジハウス|低価格賃貸住宅サービス
ビレッジハウス・マネジメントは、雇用促進住宅を一括取得して「ビレッジハウス」へリブランディング、リノベーションして賃貸住宅として提供しています。
住宅を建て替えるのではなく、既存の建物を有効活用、長く使用することで低賃料を実現し、民間会社で唯一大規模にアフォーダブル・ハウジングを提供しているのが特徴です。低所得者層を含む全ての人へ安心安全な賃貸住宅を供給することで、よりよい日本の住宅環境を築くことを目指しています。
三重県四日市市にある「ビレッジハウス笹川」は、築53年の団地を再生した物件です。2DK(38.16㎡~43.46㎡)を30,000円~41,000円など、4DKまでの物件を低賃料で提供しています。さらにオプションでエアコン、ガスコンロ、温水洗浄便座、TVドアホンの追加設備にも対応可能です。
今後も地域での住み替え需要、法人による複数戸のまとめ借り、外国人労働者の住まい探しなどに応えるため、順次リノベーションを行う予定です。
団地をリノベーションするメリット
ここでは、団地をリノベーションするメリットについてご紹介します。
住宅取得費用を節約できる
団地のリノベーションは、新築住宅に比べて費用を抑えられます。建物が古い分、物件の購入費が比較的安く抑えられることが理由です。
しかしリノベーションを行うことで、内装や設備を新築同様に仕上げることは可能です。そのためトータルで掛かる費用を含めても、比較的手頃な価格で理想の住まいを取得できます。
好立地で環境が良好
多くの団地は、駅や商業施設に近い利便性の高い場所に建てられています。また敷地内には公園や緑地が整備され、自然に囲まれた環境も魅力です。
このように都市の喧騒から少し離れた落ち着いた環境で生活しながら、生活の利便性も享受できるのが団地の強みです。
持続可能な都市開発の実現
既存の建物を活用するリノベーションは新築に比べて廃材が少なく、環境への負荷も抑えられます。また既存インフラや地域資源を活用することで都市のスプロール化を防ぐことにつながり、持続可能な都市開発にも貢献します。
さらにリノベーションにより古い建物の耐震性や断熱性を向上させることで、長期的に使用できる安心な住まいに生まれ変わります。そのため持続可能な社会づくりにも貢献できる方法として、人気が高まっています。
団地リノベーション物件の注意点
団地のリノベーションにはメリットが多いですが、いくつかのデメリットや注意点も存在します。事前に知っておくことで、住宅取得時の後悔を防ぎましょう。
エレベーターが無いことが多い
多くの団地にはエレベーターが設置されておらず、階段のみの場合が多いです。そのため高層階を検討する場合、日常の上り下りが負担になる可能性があるため、体力面や家族構成を考慮する必要があります。
特に高齢の家族や小さなお子さまがいる家庭では、気をつけたいポイントです。
大規模な間取り変更は難しい
団地は一般的に壁や柱で区切られており、建物の構造上、大規模な間取り変更が難しいことがあります。特に耐力壁やコンクリート壁が多いため、壁を取り払って広々とした空間にするなどのリノベーションは制限を受けることが多いです。
そのため希望するリノベーションが可能かどうか、事前に専門業者に確認することが重要です。
近隣住民との相性が重要
団地には長年住んでいる住民が多く、住民同士のつながりが強いコミュニティが形成されているケースが一般的です。そのため、近隣住民との相性やコミュニケーションの良し悪しが生活の快適さに影響することがあります。
新たに団地に入居する際は、周囲の住民と良好な関係を築けるかどうかを考慮しておきましょう。
まとめ
以前は「団地は古びた集合住宅」といったイメージがありましたが、最近では無印良品による再生団地プロジェクトの浸透により変革が起こりつつあります。好立地の物件を低価格で取得できることから、若い世代を中心に人気です。今後は団地周辺の地域全体の活性化を見据えた、総合的な計画の重要性も高まっていくと考えられます。