CAD利用者技術試験とは。試験概要から対策、取得後の活用方法まで解説。

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住宅業界では、顧客への提案や設計でCADを利用するケースは多いといえます。企業としても、CADをスムーズに利用・活用できるスキルはニーズが高いものです。そのため、従業員のキャリア形成においても資格取得を促すケースも予想されます。

しかし、管理者は「社内でCADの利用は活発だが、実際に従業員のスキル証明や今後のモチベーションになる資格はある?」と疑問に思うケースもあるでしょう。

そこで、本記事ではCADの利用者向けの試験の中でもCAD利用者技術試験について詳しくみていきます。

CAD利用者技術試験とは

CAD利用技術者試験とは、CADを日常的に操作するエンジニアのスキルを証明するための資格試験です。一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催し、1990年に創設されてから20年以上の歴史がある試験でもあります。

試験の種類は、次のようにわかれており、それぞれのスキルや知識に合わせて受験できます。

  • 2次元CAD利用者技術試験2級、1級(建築・機械・トレース)
  • 2次元CAD利用者技術試験(基礎)
  • 3次元CAD利用者技術試験2級、準1級、1級

受験要件としては、準1級や1級は2級の合格者でなければ、受けられません。しかし、基礎や2級であれば特に受験資格がないため、CADを普段から活用している部署や業務に関わっている場合は受験しやすいといえます。

CAD利用者技術試験の概要

ここでは、CAD利用者技術試験の概要をみていきましょう。特徴として、2次元CADの1級は「CADを実務として1年以上操作してきた人」、2級は「これからCADに関連する業務に就く人」などといった想定受験者が設定されています。

また、必要となる知識も異なるため、それぞれの試験に向けた学習が必要です。

2次元CAD利用者の試験の内容と形式

それぞれの試験内容は以下のとおりです。まずは2次元CADからみていきましょう。2次元CAD利用者2級の試験時間は60分、基礎は50分となっています。

  • 2次元CAD利用者技術試験(基礎)-CADの機能や作図データの知識、プラットフォーム、セキュリティ、製図の表現方法などが問われる。試験形式は50問の筆記試験。
  • 2次元CAD利用者技術試験-CADシステムの基本機能やハードウェア、運用や管理、3次元CADの基礎知識などが問われる。試験形式は60問の筆記試験。

2次元CAD利用者1級は共通で、実技試験と筆記試験は25問、試験時間は80分と規定されています。また、2級か1級合格者でなければ受験できない点も共通です。

  • 2次元CAD利用者技術試験1級(建築)-筆記試験は建築製図に関する基本知識や構造、材料、法規などが問われる。実技では、平面図や断面図、展開図などを作図する。実技は回答枠の事前ダウンロードが必須。なければ採点から除外。機械とトレースも同様。
  • 2次元CAD利用者技術試験1級(機械)-筆記試験は機械製図の基礎や材料、サイズ、過去方法などが問われる。実技では、機構部品の作図、数値を読み取ったうえでの作図が必要。
  • 2次元CAD利用者技術試験1級(トレース)-筆記試験は図面の名称や線の種類・用途、図記号などが問われる。実技では、図形の編集やレイヤ設定、トレース、形状理解などが知識として必要。

3次元CAD利用者試験の内容と形式

3次元CADの試験内容と形式は、以下のとおりです。

  • 3次元CAD利用者技術試験2級-選択式の筆記試験のみで、時間は60分。問われるのは、3次元CADの概念、モデリング方法や機能、管理方法などについて問われる。受験対象者は3次元CADを利用する業務に従事する人、これから業務に従事しようとする人向け、管理や営業担当者も対象。

3次元CAD利用者準1級と1級は共通で、2級に合格していなければ受けられません。試験時間は120分と規定されています。

  • 3次元CAD利用者技術試験準1級-実技しかない。文章指示からパーツモデルを作成し、体積や表面積を求める。マークシートを使用する。第三者からの指示によるイメージ作成、2次元図面からの3次元パーツの形状認識、モデリング能力が問われる。受験対象者は「オペレーターを目指す人やある程度3次元CADを把握している人」。
  • 3次元CAD利用者技術試験1級-実技のみ。パーツを作成する点や2次元図面からの読み取りは2級と同様だが、組み合わせてモデルを作成する。受験対象者は「半年以上の実務経験や1年以上の就学経験がある人」を想定。

CAD利用者技術試験の効果的な対策

ここでは、CAD利用者技術試験の効果的な対策についてみていきましょう。

独学であれば不明点を失くし過去問を繰り返す

独学で学習する場合は、参考書と過去問を1冊ずつ用意し、徹底的に学習しましょう。複数の参考書や過去問を参照するよりも一冊を徹底的に学習したほうが学習効率が高くなります。

たとえば、単語の学習からスタートし、関連する過去問を解き、CAD操作を実際に行うといった手順を繰り返すといった学習方法は実践しやすいでしょう。

スクールも検討できる

スクールの場合は、独学と比較すると、スケジュールがしっかり決まっており、学習内容もカリキュラムに沿って行われます。そのため、学習内容や計画を立てるのが難しいといった場合には、有効な方法だといえるでしょう。

企業として取得を推奨する場合でも独学とスクールのメリット・デメリットを把握しておく必要があります。

合格後の活用事例

CAD利用者技術試験の合格後は、次のような場面で活用できます。

  • 土木や建設コンサルタントでCADオペレーターとして活躍できるようになった
  • 2Dだけでなく、3Dを扱う業務にキャリアチェンジがしたかった。そして、資格の合格によって異動が叶った
  • 客観的なスキル評価によるモチベーションアップ。知識のアップグレードに加え、取得推奨資格だったため、賃金の向上にもつながった。

企業として、取得を促すケースもあれば、自発的に取得し業務やキャリアアップに役立てている事例が多いといえるでしょう。

まとめ

CAD利用技術者試験は、客観的にCADに関するスキルや知識を証明できる資格です。20年以上の歴史がある点から、業務に従事したい場合や今後のキャリアアップ手段の1つとして活用できます。

また、受験するレベルによって、問題の難易度が変わります。そのため、普段業務を行っていても取得のためにある程度の学習時間は必要です。企業として、取得を推奨する場合は独学を候補の1つとしつつ、スクールの活用も検討しましょう。